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青年期 十八歳の晩春 七三

 私が物心ついた頃には、もう殆ど見られなくなったもののネタとして残っている企画があった。


 下らない“ドッキリ”の定番ではあるものの、やはり人間は寝ている時にたたき起こされるのが一番精神にクるからこそ流行したのだろうか。


 それはお茶の間に一瞬の笑いをもたらす(バラエティー)番組でも同じだが、戦術上においても重要。寡兵が圧倒的な敵に対抗する戦術とし常道中の常道。


 「おはよーございまーす」


 そう小声で呟き、私は腰の小物入れに潜ませていた物体を投擲した。


 紐に括られた、掌大の巨大すぎる薬のカプセルめいた金属筒は甲高い音を立てて飛翔。気分は戦闘において何より重要な先制判定を振る斥候の気分だ。ある一定上のLvになってくると、戦闘は如何に先手を取って敵の手足を捥ぐかに左右されてくるからな。


 まぁ、もう肝心の先制自体は、我が多脚の幼馴染みによって取れている訳だけど。


 サイコロの代わりにブン投げた“触媒”は、綺麗な弧を描いて荒ら屋の屋根にぶつかって盛大に爆ぜた。


 「ははっ、玉屋ぁ!」


 私の歓声は吹きすさぶ轟音によって仲間の耳には届かなかったであろう。


 引き起こされたのは盛大な爆炎と大気を薙ぎ払う衝撃波。壮絶な威力の爆轟によって、地表が薙ぎ払われて盆地の中が綺麗に“整地”されていく。


 『君、こんなおっかない物を作るのを僕に手伝わせたのかい!?』


 「だが素晴らしい威力だろう?」


 『僕だけならまだしも、エリザまで手伝わせるとはどういう了見だ!』


 「彼女には“危ないところ”はやらせてない! 混ぜ合わせるヤバいところは、私がウビオルム伯爵に監督して貰いながらやったから安心したまえ」


 爆発に備えて伏せていろと言った一党の中で、マルギットの背中に張り付いていたフローキに意識を移しているミカがいち早く正気を取り戻して怒鳴り声を上げる。


 そう、彼が言うとおり、この<複合爆薬>の術式は、品切れになった<焼夷テルミット術式>や<気化爆弾術式>の補填として、空いた時間に急造した代物だ。


 今更熟練度を使って雑魚散らしの術式を作っている時間的な余裕も熟練度の貯蓄もなかったのだが、そういえば今は会いに行ける場所に魔導師が二人もいるじゃないか、と思い至って急遽制作した。


 エリザには高濃度に精製した酒精に転変の魔法で性質を変えて貰った。彼女が得手とするらしい香水、即ち“アルコール”を初めとした化学物質の扱いに慣れていると踏んで助力を請うたが、狙い通りだった。


 僅かな材料からでもベンゼンを抽出でき、そこからトルエンに変質させ、ミカの助力で硝石から“ニトロ”を精製、最終的に化合させて雛菊の華と同じ触媒に詰めて生まれたのが、トリニトロトルエンこと“TNT”と呼ばれる軍用炸薬の一種である。


 核爆弾の威力を示すNメガトン相当のメガトンとは、このTNT爆薬Nトン分の爆発力であり、一種の基準となるほど普及した優秀な爆弾だ。


 安定したTNTを触媒の中で精製させ、そして一気に膨張、爆発させることで軍用爆弾にも劣らぬ火力を発揮する。純粋な熱と衝撃による攻撃なので、相当頑丈な種族や魔法には物足りないものの、雑魚散らしには丁度良い。


 後は、寝入っている敵に浴びせる冷や水としても。


 「さぁ、それより会戦だ! 突っ込むぞ!」


 「またえげつないことしやがる! どうせヤベぇのが起こるたぁ思ってたがよぉ!」


 「い、いつもこんな調子なんですかね!?」


 「慣れろ! この馬鹿、物ぶっ壊すことや嫌がらせすることに関しちゃ、この辺境で一等賞だからな!!」


 ぐちぐちと文句を言う前衛を連れて立ち上がり、盆地の淵を駆け下りる。あとジークフリート、その物言いだと私が悪趣味な危険人物か愉快犯的爆破犯みたいだからやめてくれないか。凄く外聞が悪い。


 私は斬る必要があれば斬るし、燃やすか爆破する方が効率が良いなら遠慮無く燃すし発破もするが、全て必要に応じてやっているんだから。


 決して、アレ纏めて吹っ飛ばしたら気持ちいいだろうなぁ……という快感を求めてやっている訳ではないのだ。


 「ああ、これ、また私のせいにならなければいいんですが……」


 そうぼやきつつ、打ち合わせしていたようにフローキを通じてミカが作った、泥と石の掩蔽壕に入り込むカーヤ嬢には、申し訳ないとしか言いようがないのだけれど。


 実際、ノルトシュタットの人々から“火葬の慈母”とか、敬ってんだか畏れてんだか微妙な異名を囁かれるようになっていたからな。大方ボーベンハウゼン卿の御配下が、敵陣を焼き払った業火の凄まじさを武勇伝として市民に語りでもしたか。味方の戦果を伝えることで、籠城した都市の士気を上げたい気持ちは分かるが、私の肩身が狭くなるので加減して欲しいところである。


 また今度、カーヤ嬢には詫びとして何か良い薬草でも都合しなければ……。


 一瞬だけ顕現した昼間のまぶしさに薙ぎ払われた盆地の中には、残骸しか残っていない。爆轟によって破壊され尽くした家屋と倉庫は砕けた木片の山となり果て、警戒のために配備されていた動死体達も殆ど原型を留めていなかった。


 単なる万が一の警戒用に立たされていた立哨と探査用の動死体だ。戦闘に備えた改造など施されてはおるまいし、爆破の威力には耐えられなかったか。


 『さぁ、やるよ! 退けなくなるけど、覚悟はいいね!』


 カーヤ嬢の肩に移ったミカの声に押し出されるように速度を上げた。覚悟など疾うに決めている。今欲しいのは逃げ場ではなく、集中して戦う場所なのだ。


 『唾を三つ(トイ トイ トイ)ノックを三回(トイ トイ トイ)、そして去りゆく三つの夷狄(トイフェル)!』


 魔導具を通じて溢れる補助詠唱。相応に大規模な魔法を行使する際、普段は大仰で格好悪いとして嫌う術式陣や詠唱を魔導師でも使うことがある。


 『親指出して(トイ トイ トイ)掌に握る砂糖菓子(トイ トイ トイ)! あらうっかり(アンブルフェン)、はご不要に! 舞台は浪々(トイ トイ)さぁ頑張れ(トイ)!』


 耳に心地好い歌声が紡ぐのは、民間での悪魔避けの儀式を模した童謡の旋律。彼は即興補助詠唱に歌を使うことを好み、それが上手く働いて優しいが効率的な術式が世界を意のままにねじ曲げてゆく。


 術式が走り、魔力が溢れて盆地が丸く切り取られた。立ち上がるのは一定間隔で突き立つ三m程の細い木の柱。林立する柱から鋼の茨が生えて行き、隣接する同胞と手を繋ぐかのように輪を描く。


 有刺鉄線の防壁だ。外から駆けつける敵を阻み、余計な横やりを入れさせぬ措置。魔宮の迷宮にて彼が重装備の動死体を絡め取った術式を壁に使った物だ。


 外には多くの立哨がいたため、時間を掛ければ増援として再編成されかねない。個々に押っ取り刀で駆けつけてくる分には脅威ではなかろうと、流石に百や二百の軍勢となって押し寄せてこられると難儀する。私達にはもう、大量の敵を薙ぎ払う手段は残されていないのだから。


 『これで横やりは心配ないよ! 千でも万でも、騎兵の突撃でも絡めて止める!』


 「感謝する!」


 流石だ我が友、これで背中は心配ない。後は真正面から全力を叩き着けるだけである。


 「クソ! 慮外者共め! どうやってここまで……」


 本命はどっちかと思っていると、納屋の残骸からローブ姿の男が瓦礫を撥ね除けて這いだしてきた。アレで本命を殺したとは思っていなかったが、平気でいられるとやはり傷つくな。これだから魔導師って連中は殺しにくくて嫌になる。


 「我が師の邪魔はさせぬぞ! ゆけ!」


 男の指示に従って、納屋の残骸からゆらりと影が立ち上がる。動死体が十数体、納屋に庇われて完全破壊されなかった防衛用の個体か。


 だが、そんな乱造した、ただ殺しにくいだけの粗製品が多少増えたところで……と、思っていると、瓦礫を吹き飛ばしながら巨大な影が二つ起き上がった。


 「げぇっ……」


 その悍ましさ、そして深く考えずとも察せられる“ヤバさ”に、絞められる鳥みたいな呻き声が溢れた。


 敵の魔導師に命じられて起動したのは、比喩の表現が語彙を納めた脳を浚いに浚っても見つからぬ醜悪な動死体であった。


 強いて言うならば、全体的な陰影は四足獣のそれであるが、巨鬼の雌性体にも迫る体高を誇るそれを獣と見間違うことはないだろう。


 胴部は多様な種族の胴体と金属の骨格を滅茶苦茶に組み合わせて作った、痩せ細った犬の如き細く歪にねじくれた構造。頭部に当たる部分では、表裏を互い違いに縫い付けられて背面で手を組んだ、ヒト種の女性の――更に悪趣味なことに、見目麗しい童女を使っていやがる――胸から上が溶接されて顎を模す。


 顎を構築する死体、その背中に当たる部分では魔導合金製の鋭い牙が犇めき、舌部の代わりに咥えた獲物を粉砕する丸鋸が増設され、飢えによって分泌される唾液の代わりに甲高く高速回転を繰り返す。


 巨体と比べれば細く貧弱な四肢は、漸う見れば全て人間の手足が絡み合って出来たものであり、足に当たる部分は手に握られた緩く湾曲する鎌のような刃物に置換されていた。


 あれが、噂に聞くが見る者は極めて少ない、落日派の冒涜舞踊。死者を合成して高性能な戦闘兵器に造り替える技術の極地……モッテンハイムで遭遇した、術師の護衛をやっていた動死体の何倍も露悪的な見た目をしているじゃないか。


 一体何食って生活してきたら、あの意匠が脳内に湧いてくるんだ。魔導のキめ過ぎて変な幻覚が見えているとしか思えん。


 だが、あの生命に対する侮辱を感じる外見は、戦場において強い威圧感を発するために作り出されたもので、単なる悪趣味や性癖でやっているのではなかろう。巨体がもたらす破壊力と制圧力は言うまでもなく、どこか洗練された美しさを宿す程に悍ましく悲惨ですらある外見は敵の士気を著しく下げる筈だ。


 覚悟の決まっていない徴収兵では正視した瞬間に心が折れて、上も下も“ダダ漏れ”になって逃げ散ってもおかしくない。いや、動死体や魔物との戦闘に慣れた冒険者でもキツかろう。いわばセットアップで此方にデバフを飛ばすような能力と考えられる。


 「チッ、ボチボチ多いな! 雑魚と一つは私が殺る!」


 「応! 援護しろヨルゴス!」


 が、そんなものは私達にとって大した問題ではない。これでいて死線を何度も潜っているのだ。存在そのものが精神攻撃になる敵など何度も見てきたし、圧倒的な強者の威圧でねじ伏せてくる敵手も倒してきた。


 あんな壊そうと思えば壊せるだけの敵、気分は悪くなるがビビるようなものでもない。我々の心を折りたいなら刃も魔法も通じない、人間ではどう足掻いても対抗できないような存在になって出直してこい。


 まぁ、ヨルゴスは「うえぇぇ!? マジですか!?」と些か及び腰であるが、それは言葉だけで体はしっかり動いているため影響はなさそうである。多分、我々二人が何でもなさそうに振る舞っているため、釣られて抵抗に成功したのかもしれない。


 瓦礫に潰されて骨折でもしているのか動きがおかしい動死体が先行し、巨大な動死体の支援をしようとしているようだが話にならん。


 ある程度の戦闘用調整を受けているようだが、ある程度止まりではものの数でもないわ。今回は短期決戦で全てを決めると判断しているため、<見えざる手>の剣軍を即座に最大数で展開してけしかけた。


 都合一二本の剣を全力で振り回せば、最早その空間は粉砕機に掛けられたようなもの。隔離障壁の援用による単分子原子の薄さを得た刃によって、動死体はあっという間に四肢を切断され戦闘力を失った。


 「ぐっ、猪口才な! 征け! 多少魔法の心得があろうと所詮は人間よ! この質量の前で何ができるか!!」


 賑やかしが時間稼ぎにもならぬ短時間で潰された死霊術師は、負け惜しみめいたことを呟いて異形に前進を命じた。


 さて、大物が二つ……粉砕された味方を刃物の足で蹴散らしながら突っ込んで来る、縫合された亡骸の獣をどう調理してくれようか。


 一体は目論見通り私に、そしてもう一体は敵を分断することを意図して僅かに距離を空けたジークフリート達に向かっている。我が戦友は相変わらずいい位置取りをしてくれるものだ。言わずともやってくれる戦友は有り難すぎて、ついつい頼りすぎていかんね。これだから即興の面子と組んだ時は、突出しすぎて“命知らず”と勘違いされてしまう。


 「で、どういたしますの?」


 「感覚器……いや、チマチマやってもキリがなさそうだ。手早く済まそう、援護よろしく」


 「ええ、畏まってございますことよ」


 いつの間にやら先に駆け出した私に追いつき、背に飛びついて来るマルギットの問いに指示を返す。頭部が複数ある上、あの巨体だ。死角を補うための目がそこかしこに埋め込んであると見てよかろう。腹の下に潜り込まれるだけで戦闘力が削がれるザルな設計ではないはず。


 動死体は巨体を活かし、まずは顎を大きく開いての突進を仕掛けてきた。可動域が広い関節構造を遺憾なく発揮し、顎は地面すれすれの高さにあるため、すり抜けるのは無理か。


 あれだけ柔軟な関節を持っているならば、左右に飛んでの回避も直ぐに追いつかれよう。


 後ろに逃げるのは論外である。馬よりちょっと遅いかな、くらいの速度でつっこんで来る相手に間合いを空けようとしたところで、精々死ぬまでの時間が一秒か二秒伸びるだけ。


 そして、疾駆する巨体が秘めた暴力的な運動熱量は、一二本の剣と私を合わせても止めきれるものではない。戦車を前にした土嚢の掩蔽壕より儚く蹴散らされて終いだな。


 なら、前に出る他に何ができよう。


 私は剣軍を引き連れて前進。合成速度も相まって見る間に間合いが詰まる中、際の際を見て跳躍した。


 されど、相手も純戦闘用と言うべきか、反応が良く、更に逃げ場が上しかないことを分かって行動していたらしく、地面を掘り上げる勢いで顎をカチ上げて追いすがって来た。如何にも暴れ回るだけのようなナリをして、頭まで良いとは始末が悪い。


 しかし、それくらいはするだろうと読んで動いているのだ。驚きはしないさ。


 「何!?」


 私は、そこから更に上方へ飛び上がった。“剣の階段”を足場にして。


 六本の剣が作る階段を駆け上がり、後足で立ち上がろうと届かぬ高みへ逃れつつ、残った六本を顎門が食らい付いてくる軌道へ“垂直”へ突き立てる。


 異形の動死体は急制動など間に合わず、自らを裂く剣を貪った。


 すると何本かの刃は牙や丸鋸に噛み砕かれたものの、合間をすり抜けた数本が深々と口腔を貫通する。顎が閉じる動作によって深く深く刺さったそれは、支え棒となって顎が閉じることを妨げる。


 戦場で拾った剣とはいえ、楊枝のような気軽さで使い捨てるのは気が咎めるが、まぁ必要経費として割切ろう。


 それに、残った剣も使い捨てねばならぬのだし。


 私は“送り狼”以外の剣を天から降り注がせ、麗しい少女の顔を貼り付けた上顎を貫かせた。


 見た目通り頑丈ではあるが硬くはない肉体へ、鋼が突き立ち頸木となって稼働を妨げる。これで主兵装は使えまい。


 吹き上がる無色の液体は煙を放ちながら大気を穢しているが、戦闘用の動死体が強酸を体液とすることで反撃に転用していることは学習済みであるため<隔離結界>を体の周りに張ることで対処している。


 空中で蜻蛉を切って姿勢を正した私は、異形の背中に軽やかに着地。すると、背中で折りたたまれるように格納されたいた“四本の腕”が展開し、無賃乗車を咎めようと短刀もかくやのツメを生やした手で四方から掴みか掛かって来たが、それでもまだまだ考えが浅い。


 「ああ、もう、どんな頭をしていれば、こんな仕掛けが思いつきますの?」


 「全く同感」


 死角を補う副兵装なんて、お約束中のお約束だ。来ると分かっていれば、それが何であれ対処は十分に可能である。


 前二本は温存していた“送り狼”を握った<見えざる手>と自前の手で振るう“渇望の剣”により切り飛ばし、後方の二本はマルギットが両手で操る二挺の東方式弩弓によって吹き飛ばされた。


 再装填の手間はあれど、彼女は器用なのでやろうと思えば二挺同時に操ることもできる。故に彼女が使えるよう、私の腰に一挺吊してあるのを自分の判断で使ってくれたらしい。


 さぁ、仕上げだ。望まぬ乗客を振り落とそうと身もだえする巨体を一一本の手で強引に抑え込み、そして大上段より振り下ろす剣で四肢の付け根を斬り裂いた。


 苦痛を感じる“機能”がないのだろう。痛みに悶えることもなく、ただそうある構造に従って動死体は崩れ落ちた。突き立った剣で斜めに寸断された顔の中、潰れず生き残った右目が縋るようだと感じたのは、単なる私の感傷であろうか。


 「眠れ、悪夢はもう終わりだよ」


 この縫い合わされた肉体の中に魂が残っているのか、単なる術式で動かされているだけか判断はできなかったが、せめてもの慰めになればと一言かけて剣を振るう。


 微かに括れた獣の首を断ち、巨体は最後の蠕動の後に沈黙した。


 「何故だ! 何故起きぬ!?」


 死霊術師が動死体に仕込んだ何らかの術式を励起させているようだが、それも無意味だ。


 <概念破断>により内部の術式は繋がりを断たれており、更には動死体としての本質そのものが破壊されている。どのような術式であろうと、最早一から再構築するよう規模で手を入れねば小傷さえ癒やせまい。


 斬り落とされれば脚は脚としての機能を失って肉の棒と化し、破壊された肉体は魂や術式の入れ物としての役割を失う。常識の否定に対する否定もまた<概念破断>の領分なのだ。


 試運転はしていたが、殆どぶっつけ本番に近い運用だが上手くいって何より。ヤツの口ぶりからして、再生能力も当然の権利の如く仕込んであったか。


 さて、こちらは戦利品として蓄えた名剣を殆ど失ったが、向こうは……順調そうだ。まぁ、魔法使い二人と熟練の冒険者、そして経験は浅いが肉体的には誰より恵まれた戦士がいる。あれくらい、頭を捻ればどうとでも調理できる。


 では、人形を失った人形師の手並みとやらを見せて貰おう。


 もうお察しだろうが、これでいて結構キレているのだ。気分の悪い物を見せたのは其方なのだから、相応の対応をされて怒るような狭量度合いを見せてくれるなよ…………?












【Tips】一般的に許容されることはないため落日派が動死体の兵器転用を公に行うことはないが、時に切り札として密かに建造する者も存在する。死なず、生者より無理が利き、効率にのみ拘れる兵器の性能に魅せられるのも人の業か。

久し振りに長めになりました。

次回はジークフリート達視点。


そして、5巻の予約が各所で始まり、特典小説の情報が公開されました。

詳細はTwitterにて。

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― 新着の感想 ―
概念破断に装甲無視で、一度は苦戦したクッソタフな敵にも余裕で勝てるようになってるな
[気になる点] 再装填の手間はあれど、彼女は器用なのでやろうと思えば二挺同時に操ることもできる。 とんだ一発野郎ですな。射た後は何もできない瞬間が訪れますよね?
[良い点] 戦うならやっぱり寝込みを襲う先制攻撃ですね [気になる点] TRPGのステ振りに準拠した権能があるのに奥の手が前世知識の兵器なのは権能と作品タイトルが形骸化してる [一言] テルミット、酸…
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