・・・・・、最後の学校
夏というにはまだ早い、そんな衣替えまであと少しの時期。
学校帰りにふと忘れ物に気付く。どうするかと少し迷うが特に予定もないし取りに戻ることにする。
グラウンドで部活中の生徒達を横目に学校に入り教室に向かう。
すると教室にから話し声が聞こえてきた。入りづらいじゃないか。誰が居るんだか。
まあ、入らないという選択肢は無いんだがね。意を決して扉を開けると、男二人、女二人の四人組がいた。羨ましい。仲間に入れて欲しいもんだ。まあ、入ったら100%居心地悪いけどね、お互いに。
扉を開けた瞬間にお喋りが止まり沈黙でワタクシを見るのは止めていただきたい。と思っていたら話しかけられた。勿論男の子からですけどね。
「アレっ? 松本君じゃん。珍しいね。放課後に残ってるの」
「イヤ、残念ながら忘れ物を取りに来ただけだよ」
「そうなんだ。オツカレー」
と自分に笑顔で接してくれた男Aこと古久東龍馬君。仲はそんなに親しくはないけどたまに喋りかけてくれるくらいだ。他の三人は名前くらいしか知らない。目立つグループだからね。容姿もいいし。
自分の机まで行き中を漁り目的の物を探し出す。あったあったと思っていたら、不意に後ろから悲鳴にも似た困惑声が聞こえてきた。
「きゃっ!」「おわっ!?」「えっっ?」「なっっ!!」
虫でも出たのかな? なんて振り向いたら四人を中心に魔方陣が脈打ちながら広がっていた。
「うん?」
この言葉を最後に魔方陣から光が輝き出して、目を開けていられなくなり腕で顔を隠した。すると体がふわっと持ち上げられ、まるで漫画みたいにぐるぐる回りながら魔方陣に吸い込まれた。
ーーそして教室は静寂を取り戻した。何もなかったかのように。全ての物を無くして。