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ベビーブーム【第一】  作者: anan
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波紋

まだまだ寒いですね。

どうもananです。


今回は少し長めです。

次からはトリミング頑張ります。

次からは。


それではどうぞ。

防護服に身を包んだ彼らは、体育館内にいる女性をひとりひとり調べているようだった。

突然なんだ?疫病かなにかか?

なぜ女性だけ調べている?

家を飛び出したときから怒涛のように押し寄せる疑問に押しつぶされそうだった。


そのとき、

「この女性です!」

と防護服のひとりが叫んだ。

その女性は先ほどタカちゃんがと泣きじゃくっていた母親らしき女性だった。


とっさに防護服の男に事情を聞こうとした。

何があったんですか。

これは何の検査なんですか。


防護服の男は無言だった。

しかし、噛み締めるかのように、断腸の思いであるかのように、ただ一言。

「すまない。」


防護服の男達は集まってその女性を連れ出していった。



そして外に出たかという頃合に、

女性の叫び声。


人が本当に恐怖したり抵抗したりしているときの叫び声は、常軌を逸した、とてもいうであろうか、一線を画すものがある。

聞いているだけでこちらの心が絞め殺されるようだ。


なにより、その断末魔の叫びだけで女性の身に危険が迫っていることが明白にわかる。


そして彼女の、

最後のSOSでもあるのだ。


しばらく続いた後に、


けたたましい破裂音が鳴った。

おそらく銃声だろう。




女性の声は聞こえなくなった。

おそらく撃ち殺されたのだろう。




なぜか恐怖や疑問よりも、怒りが早足で心を蝕む。




亡くなったか生き別れたか、

自分と同じであろう名前をもつ子どもの母親だ。

少しくらいは感情移入してしまう。


次に入ってきたら問いただしてやろうと心に決めたが、その後には防護服を着た人は入ってこなかった。


なんとも虚しい気持ちだった。あの人が殺されることを止められなかった。

当たり前だ、撃たれるなんて思ってもいなかったのだから。

それでも……



後に聞く話だと、この場にいる女性はひとりひとり検査したときに血液を採取されたらしい。


女性だけ血液を採取されるなんて特殊な病気なのだろうか。


冷たい床に腰を下ろした。

とりあえず落ち着いていなければ。

パニックに陥るのが一番危険だ。

自分にとっても、周りにとっても。



俺は病気に博識な訳ではない、が、今の状況がどれほどに危険なのかはわかった。

なぜなら、彼らは防護服を着ていたからだ。つまりここにいる全員は、なにかの病原菌に感染しているという可能性が高い。


しかし、特に外に出てはいけないと言われたわけでもない。


まだわからないことが多すぎる。


明日、起きたら外に出てみよう。

そう決めて硬い床に寝そべった。

寒くて冷たくて固くて、地獄のような寝心地だったが、あまりに疲れていたのかすぐに寝入った。




ふと目が覚めるとまだ早朝のようだった。気づけばひとりひとりにダンボールと毛布が支給されている。

自分のいた場所にダンボールを敷き、

体育館を出た。



風の音が聞こえるほどそとは静かだったが、歩いている人も少しは見かけた。

まずは情報を得たい。昨日からテレビを見ていないので、とりあえず自分の家に戻ることにした。


昨日は走っていて気づかなかったが、あの商店街の他にも破壊されている形跡がある家や店がある。


これもあの赤ん坊がやったのだろうか。


いまだに信じられないあの光景。


15mはあろうかという赤ん坊が商店街を破壊していた。字面だけ見れば少しおかしな話に見えるが、実際はそうじゃない。


あの赤ん坊の手には、人が握られていたのだ。いや、人だった、と言う方がいいかもしれない。

ザクロのようとはよく言ったもので、まさに赤ん坊が握りしめたそれは、赤い鮮血を滴らせ、撒き散らしながらボトボトと地面にこぼれ落ちた。


しかし、そのとき赤ん坊は、おそらくあの表情は、楽しんでいた。


遊んでいた。



子どもは平気で虫を潰したりものを壊したりする。

その物の価値を知らないからだ。

そして潰したり壊したりという経験を積むことで、巧緻性を高め、中枢から末端、つまりは、器用になってゆく。


あの赤ん坊は、成長するのだろうか。



そんなことを考えているとあの商店街にたどり着いた。


なんだかとてつもない腐臭と、魚のはらわたの臭い。


なんだこの臭いは……

これじゃあ家にたどり着くまで、

俺の吐き気をとどめておけるか……


ザワザワと騒がしい。

人が大量に集まっていた。先ほどの静けさが嘘のようだ。

人の壁を押しのけながらやっと最前列にたどりつく。



そこは、あたり一面の赤だった。



どうでしたでしょうか。

ananです。


昨日は夜に弁当を食べていたら、

おかかの匂いにつられて猫が方まで登ってきました。


それではまた。

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