顧問
16時30分
今日も号令が聞こえる
今日は顧問の橋谷京子先生が居られるので私たちの出番はない。
音合わせが終わると
「じゃあ今までの練習成果見してもらいます。」
「「「はい!」」」
〜♪〜〜♪〜
演奏し終わると、先生はすぐにこう言った。
「うん。さすがだね。楓と鈴華が教えたってだけはある。1週間だけでこんなに上手くなるんだね。だけど、なんでそんなに下手くそなのかな?」
・・・え?どういうこと?
確かに昨日と何も変わってない。
でも、下手くそ?
「楓、鈴華。あんたたちは、細かいことばっか気にしてて全体の音楽を見てない。だから、1人1人が自分だけで吹いてる。吹奏楽は、1人1人の個性を出すのも大切よ。でもね、それをまとめなければ、中国大会には行けない。」
「・・・っ」
私がいきずまると、先生が言った。
「みんなを考えて、みんなの良いところを引き出しながら、音楽を作ってみなさい」
「はい…」
こうして、今日の合奏は終わった
帰り道、落ち込んでいる私に隣にいた衣玖が言った。
「楓ちゃん?どうしたの?」
「・・・なんでもないもん」
「・・・とても、大丈夫そうには見えないけどな。」
「・・・」
私は、いつの間にか涙を流していた。
「大丈夫じゃないじゃん…」
そう言うと、衣玖は私をギュッと抱き締めて
「なにがあったのか言ってごらんよ。相談、のるよ?」
「・・・うん。うん。」
私はいつの間にか衣玖を抱き返していた。