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「透、ごめんな」
帰る途中、一意は透にぽつんと謝った。
透の機嫌が最悪なのは、さっきの相手の所為だ。
自分が、正直に答えたから。
その結果、付いて行くと言われて。
不愉快な思いをさせてしまったのだ。
悪かった。と、素直に謝る。
「あいつとは、仲良いんか?」
「いや。挨拶するくらいやで。ほとんど付き合いはないねん」
本当に。
挨拶以外にほとんど話したことはない。
だから、家にまで付いてくるなんて思いもしなかった。以前付いて来られた時も驚いたけど。
「そうなん?」
「うん、ごめんな。君に不愉快な思いさせて」
「一意は何も悪くない」
でも、と、まだ何か言いかけた一意の頭を、ぽんぽんと透は優しく叩く。
いつもなら、子ども扱いして、と腹が立つのに、今の一意にはその透の優しさが嬉しかった。
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放置していてごめんなさい。
今回短め。
完結させます。