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女を作って婚約破棄したというのに私が裕福になったら寄ってくるというのはどうかと思います。  作者: 四季


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2/2

ー後編ー

「そうじゃない!」

「なら何ですか」

「そういう話なら、お前とやり直してやってもいい、と言いに来たんだ!」

「お断りします」


 もう終わったのだ。

 それ以上でもそれ以下でもない。


「な、なぜ!? 俺とやり直せる機会なんて滅多にない! それを逃すのか!? 逃してしまうつもりなのか!?」

「貴方に関心はありません」

「こんなに魅力的なのに!?」

「婚約者を理不尽に切り捨てるような方に興味はありません」

「あ! ああ! それは! 負け惜しみだな!? そうだろ!? な、なぁ、なぁそうだろ? 負け惜しみおっつぅ~ん!!」


 彼がそんな失礼な言葉を発した瞬間、彼の背後の草むらから謎のおじさんが飛び出してきた。


「おまえ! それはひどいぞ! ひどすぎるぞそのものいいは!」


 上半身は虹色のフリルがついたブラウス。下半身は上に回しを着用しているように見えるようなデザインのダメージジーンズ。足もとは裸足に艶のある革靴。よく見ると片手首にはグリーンの腕時計。


「おんなのこいじめは、おじさんがゆるさないないないぞお!」


 謎のおじさんはロマインスに走って近づくと、鳩尾に曲げた肘を叩き込む。


「……ぐ、はっ」

「いたいめにあいたくなかったらいじめをやめるんだあ」

「な、何だよ、お前……」

「おまえじゃあない。おじさんだあ。もうすこしあたまをつかってことばをはっするようにしないと。おじさんにざまあされるぞお」


 おじさんの言葉に呆れたような顔をするロマインス。


「は? 何だよ不審者か……って、ぎゃあッ!!」


 だがそれから数秒も経たないうちにロマインスの身体は吹き飛ばされる――真っ直ぐに宙を飛んでいったその身はやがて一本の太い木に激突した。


「これでもまだおじさんにさからうか? ぼうや」

「い、って……」

「おじさんはこのせかいでゆいいつのまほうつかいだ。まださからうというのなら、ようしゃはしない。いじめをするようなやつにはてかげんしない、それがおじさんのしゅぎなんだよ」

「くそ……何なんだ、本当に……」

「おんなのこからはなれなさあい!」


 するとロマインスは慌てて立ち上がり「き、きもっ! もういい! やはりリザリーは呪われた女だ!」と言いながら走り去ろうとする。


 だが手遅れだった。


 その時には既に謎のおじさんが魔法を放っていたのだ。

 虹色の光はロマインスを追っていて。

 やがて逃げる彼の背中をその光が貫いた。


「は……? う、うわあ!!」


 虹色の光に貫かれたロマインスは一瞬にして消え去った。


「おじょうさん、あんしんしなさい。かれはしんだのではない。じごくのようなばしょへおくられただけ」

「え、ええっ……そう、だったのですね……」

「いじわるはいやだね、もう、ほんとうに。では、おじさんはこれで」


 謎のおじさんは去っていく。


「あ、あの! このたびは助けてくださってありがとうございました!」

「れいなどいらないよ」

「ですが本当に助かりました! なので言わせてください、ありがとうございました!」


 感謝の言葉が届いたのかどうかは分からない。



 ◆



 ロマインスはあのまま戻ってこなかった。


 ということはつまり、あのおじさんの言っていたことは正しかったということなのだろう。


 彼はきっと今も地獄のような場所にいる。

 そして痛い目に遭っている。

 死よりも辛い状況の中で苦しみ続けているだろう。


 そして、ロマインスを奪ったあの女性だが、彼女のもとにも謎のおじさんは洗われていたそうで――噂によれば、彼女もまたおじさんの魔法によって消されてしまったのだそうだ。


 ただ、ロマインスとまったく同じ展開、というわけではなかったようだ。


 その時の謎のおじさんは「彼女は飛ばした先にて永遠に焼いた石の上に立つことになる」と言い残していたらしい。

 なので彼女への罰はロマインスへの罰とは少し違ったものだったのかもしれない。


 だが、いずれの場合も、痛い目に遭っていることは間違いない。


 謎のおじさんは悪人に罰を下す役割を担っていたのかもしれないな、と、密かに思ったりした。



 ◆



 あれから数年、私は、純粋に想い合える素敵な人と結婚することができた。


 今とても幸せです。


 ありがとう、みんな。


 ……あと、謎のおじさんも。



◆終わり◆

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