第6話「入隊検査」
トミリの進路の悩みは決着が付いたようだ。
彼は鍛え抜いた体力と身体を活かして、王立陸軍レインジャー部隊への入隊を志願した。
春が本格的に訪れる頃、彼は家族に別れを告げた。
「国の為に力を尽くせよ。」父が言う。
母はといえば涙を流しながら、ただただ「身体に気を付けてね。」を繰り返した。
「じゃあ行って来る。」トミリは旅立った。
軍の基地までは、電車に揺られて10時間の長旅だ。
「さぁ、待ってろよ、俺の未来!」
彼は自信で満ち溢れている。
車内で昼食を摂り、軽く仮眠をとる。
電車はやがて終点となる。
最後の駅から徒歩で5km歩いた。
遂に基地に到着する。
たくさんの志願者達でごった返していた。
トミリ達は順番に検査を受けていく。
身体測定に体力測定、基礎運動能力など。
検査は一日続いた。
その日の夜は、基地が準備した宿舎で一夜を過ごした。
「やるべき事はやった。あとは結果を待つだけだ。俺なら出来る。」
彼はいつの間にか夢の中へと落ちていった。
翌朝。5時に目を覚ました。
結果発表は7時からだ。
再び基地内の体育館に志願者達は集合した。
順番に番号が呼ばれる。
「862番!」
トミリの入隊が決まった。
彼は飛び上がり、満面の笑みを浮かべた。