第4話「対照的」
暫く経った日の事だった。
卒業後も職に有りつけずにブラブラしていたヒンロは、居住区内の一角に人集りが出来ているのを目撃した。
近付いて野次馬の一人に聞いてみた。
「おじさん、何があったの?」
すると、その中年の失業中の男性が言うには、居住区の子供が警備の国軍兵士に投石した。
そして発砲されたそうだ。
「その子はどうなったの?」ヒンロが聞くと、男性は首を振った。
どうやら亡くなったようだ。
珍しくも何ともない光景だった。居住区ではいつものことだ。
「俺達みたいなゴミくずにはお似合いだな。」
ヒンロはそう言うと、通りに座りこむ大勢の失業者やホームレスらの群れをやり過ごしながら歩いていった。
トミリはその頃、住宅地のグラウンドでボールを蹴って汗を流していた。
輝く汗と眩しい太陽。
仲間との時間。
休暇中にトミリは仲間との会話に花を咲かせた。
「でさぁ、どの会社にしようか迷ってるんだよ。」
すると仲間が答えた。
「お父さんの会社を継いでデカくしなよ。」と。
するとトミリが返した。
「体力を活かして軍に入隊するのもいいかもな。汚なくて臭い旧宗連中をゴミ箱に葬るのも悪くねぇ。」
そう言うとトミリと仲間は大笑いした。