第2話「面接」
「あぁ、君、旧宗なの?じゃあ、もういいや。」
面接官が冷たく突き放す。
ヒンロは18歳。この日は就職の面接だった。
ボサボサの髪に浅黒く日焼けした肌。ヨレヨレのシャツにシワだらけのスーツ。靴は擦れて傷だらけである。ネクタイは無し。そんな高いものは買えない。
身体は逞しいが、スポーツで鍛えた訳ではなく、工事現場や倉庫作業といった力仕事のバイトで自然に鍛え上げられた。
「君は新宗なんだ。へーっ、学業優秀なんだね。」
面接官が楽しそうに話すのは、隣の椅子に座るトミリである。
綺麗に切り揃えた髪に透き通る肌。パリッとしたシャツにスーツを纏い、お洒落で高価なネクタイを首に絞めていた。靴は良く手入れされて光沢を放っていた。
サッカー部に所属しており、エースだ。スポーツで鍛え上げられた逞しい身体を持つ18歳である。
「えーっと、君、名前何だっけ?まぁいいや。出てっていいよ。トミリ君はまだいてね、大切な話があるから。」
ヒンロは面接官に部屋を追い出された。
そのまま会社の外に出た。もう何社目だろうか。
ヒンロは深く溜め息を付いた。
「確かに俺、見た目が悪いよな…。仕方ねぇか…。」
すると、暫くしてトミリが出てきた。
「おまえ。汚ぇんだよ、見た目がさ。それに、旧宗だから臭いしな。」
彼はそう言うとヒンロを鼻で笑いながら軽やかに立ち去った。
ヒンロは力なく家路についた。