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あの後しばらくして医者が来てダットレイが大丈夫かどうかいろいろと質問して意識障害の有無を確認したあと、ダットレイの状態の説明を始めた。
どうやら左脇腹の骨にヒビが入っているらしく2,3日入院しなければならないと言われた。その間に脳に異常がないかも検査するらしい。
その説明を一通り聞いて医者が部屋から出て行ったあとにダットレイはポールに電話をした。
その時、携帯電話が壊れてしまったことを知ったので看護師に付き添ってもらって病院の公衆電話から掛けた。
ポールはダットレイが携帯以外で掛けてきたことを訝しんだが、、、今すぐ病院に来るように言いうと了解してくれた。
それからダットレイは病室に戻ってベットで横になりつつ考えをまとめていた。
ポールは案外早く来た。電話してから15分くらいだ。
「ダットレイさん、一体なにがあったんですか?」
「実は、犯人を見つけた。」
「犯人を!」
それからダットレイはポールに何が起こったのかを説明して自分の入院している間アッシュウェイトの張り込みをしてくれないかと頼んだ。
「張り込み?逮捕じゃなくて?」
「まだ証拠がないからな、強制逮捕するにももっと確実性が欲しいせめて被害者が監禁されている場所のあたりぐらいはつけたい」
「そうですか、、、分かりましたダットレイさんが入院している間俺がしっかり彼女を張り込みましょう」
「ありがとう、、頼んだぞ」
「はい、まかせてください」
これで分かるはずだあいつが犯人かどうかが。
一つの疑問要素としてはどうやって彼女が他の人間から奪った学生カードを使っているかということだ、それはポールも同じように思っていた。
だが、方法はある。それは別の人間に変装するということだ。さらった相手に変装しその人間として普段通り生活する。だがこの仮説が成り立つためにはダットレイの予想したある一つの条件が満たされていないといけない。
その調査もポールに頼んだのだ。
これで疑問が払拭されたならば後はどこに監禁されているのかさえ分かれば逮捕に踏み切れる。