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学園で3人の生徒の住所を貰ってから2週間が立っていた。
ここ2週間事件は起こっていない、だが新しい情報が1つ。あの事件現場で血だまりの中から血濡れた一枚のカードが見つかった。
その表面は長いこと血の中にあったせいでボロボロに劣化していたが、分析官の調査によってかろうじで読み取られたのが、ウーウィール学園という文字だった。
どうやらそれはウーウィール学園の学生証らしい。
これでウーウィール学園の生徒が犯人であることが確定した。学生証は学校の勤怠管理に使われている。
教室に入るときカードを通すことで登校が確認されるのだ。
そのほかにも生徒食堂への出入り、部室への入室、パソコンの起動、学園生活のありとあらゆる場面で学生証は必要になる
生徒数が多く教室移動の多い学園ではこの方法でなければとても全生徒を管理しきれないからだ。
そしてそんな大切な学生証をもしなくしてしまったのだとしたら、普通再発行するのだが学園に問い合わせてみたところここ半年間学生証の再発行は行われていなかった。
学校をすでに卒業したり退校したりしたものの学生証は回収され学校側で処分する
これで学生証が盗まれたものだったり、学校をすでに辞めたもののものであったりする可能性はなくなった。
そして不思議なのは犯人は学生証なしで学校生活を送っている可能性が高いことだ。学園の情報によると不信な生徒情報は見つかっていない。
一体どうやって?ダットレイはその疑問を感じながらも唯一の可能性であるボタンの失くし主の張り込みを続けていた。
「で、そちらの調査では何か進展はあったのか?」
「いえ、特には」
そうか。そう言ってダットレイはブラックコーヒーに口をつける
「こっちもまあ同じもんだやっていることと言えば学校帰りにゲームセンターや本屋に寄り道をするぐらい、いつも6時ぐらいには家に帰っていく」
「俺が担当しているやつもおおむね警部と同じような感じです」
「・・・そうか、とりあえずあと2週間くらいは続けてみよう」
「では、私はもう戻ります」
「ああ、よろしく頼むよ」
ポールは席を立ってそのまま喫茶店から出ていく。
「すいません。お話いいでしょうか」
しばらくぼーっとしながら道の反対側にあるバスケットコートでバスケットをしている張り込み対象を眺めていると不意に声をかけられた。
「なんだお前は」
眉を顰めて言葉を返す頃にはその声の主はすでに4人席の反対側に座っていた。
「こんにちは私はアッシュウェイトと言いますウーウィール学園の生徒です」
「ウーウィールの生徒が私に何の用だ」
「実は私の友人が最近いつも誰かに見られている気がするというのでねここ1週間彼の周りを見張ってみたんです。」
その女は170cmくらいの金髪できれいな碧眼の顔の整った女だ。来ている真っ白の制服は確かにウーウィール学園のものだったのでそこの生徒であるというのは本当らしい。
「それで彼を監視しているのが私だと?」
「ええここ1週間学校から帰る彼の後ろをついて見ていましたがいつもあなたの姿が見えたので」
まさか2重尾行されていたなんて気づきもしなかった迂闊だったな。そう反省しつつもダットレイはすぐに口を開いた。
「・・・ああそうだ君の予想通りだよ、、、」
「あなたは一体誰でしょうか?」
「・・・警察だよ君の友人にはある事件の容疑がかけられていてね、それで張り込みをしていたのさ」
「あいつが犯罪を?」
「まあまだ疑いの段階だがね・・・これからはもっと気を付けるようにしよう。それでこのことは他言無用でお願いしたい。もし彼が無実だというなら私が尾行を続けることはその証明になるしね。いいかな?」
「ええそういう事情であれば構わないのですが、、、また警察ですか最近事件が多いな」
「”また”だって?君の周りで他にも事件が?」