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ガチャと音を立てて車のドアを開き外に足を延ばす。
ここはウーウィール学園の駐車場だった。
タッタッ革靴の足音を石作りの道の上で響かせつつダットレイとポールは学園の正面玄関を目指す。
丁度昼飯の時間で二人の歩く中庭には結構な人数の生徒の姿があった。
一部の生徒は見知らぬ二人の男に向けて不思議そうな視線を向けていたが特に気にすることもなく二人は正面玄関のガラス戸を押し開ける。
「事務所はどこでしょうか?」
「こっちだついてこい」
ダットレイは特に迷う素振りもなくスタスタと廊下を進んでいく。
しばらく歩いていると事務の窓口が見えてきた。すぐ横には第二玄関があった。
「すみません」
ダットレイは窓の奥に座る女性に声をかける。
「なんでしょうか?」
「我々はこうゆうものなのですが」
警察手帳を開いて見せる。
「・・・警察の方ですか」
「ええ私たちが担当している事件にそちらの学生が関わっている可能性がありまして、、学園長にお取次ぎ願えますか」
「・・かしこまりました少々お待ちください」
そう言って女性は手元に置いてあった固定電話の受話器を手に取ってボタンを操作する。
「・・・警察の方がいらしてまして・・・はい・・・・はい・・わかりました」
ガチャン受話器がフックにかけられる。
「今、学園長が参りますのでしばらくあちらの方でお待ちください」
言われた通りにダットレイたちがロビーおいてあるソファに腰かけて待っていると小柄なおじいさんが黒スーツのお供を連れてやってきた。
それを見たダットレイは席から立ち上がってその男に挨拶をしてそれを見たポールもそれに倣った。
「こんにちは、、、私はダットレイ刑事です」
「わ、私はポール刑事補佐です」
「私は学園長のホロックです。・・・それで事件というのは」
「はい、最近起きている連続殺人は知っていますか」
「・・・ええ」
「その13人目の事件現場でウーウィール学園のボタンが見つかったのです」
「ボタン、ですか」
「ええ、それで学園からのボタンのオーダーメイドを請け負っている制服店に問い合わせたみた所、ボタンの注文が事件発生後にされておったのです。ですので我々は犯人がボタンを注文した可能性があると」
「つまりこの学園の生徒の中に犯人がいると?」
「まだ推測の段階ではあるのですが、、」
「そうですか、それで私は何をしたらよいのですか?」
「ボタンを注文した3人の住所を教えてもらいたいのです。」
そう言ってダットレイは手帳にメモした3人の名前を学園長に示した。
「・・・わかりました、、、3人の住所をお教えしましょう、、おいティット」
学園長は後ろに控えていた黒服に耳打ちをすると黒服はどこかに電話をかけた。何やら情報を確認した後電話を切った黒服は学園長にメモを渡した。
「どうぞこちらが3人の住所です。」
そう言って渡された紙きれにはそれぞれの住所が記されていた。
「捜査へのご協力ありがとうございます」
そう言った後ダットレイとポールは席を立って正面玄関に向けて歩いて行った。
「しばらくは俺とお前と後一人引っ張ってきて3人の尾行をするぞ」
「はい」
そんなことを言いながら中庭を歩いていていった。