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ブーン
10年物のパトカーに積まれたエンジンが生み出す振動を体に感じながらダットレイは一路車を走らせていた。
「ウーウェール学園に向かってるんですか?」
となりに座っているポールが話しかけてくる。この黒いスーツを着こなした爽やかなイケメンは黙っているのが苦手なタイプだった。
「いや、まず最初に行くところがある。」
「だってあのボタンはウーウェール学園のものなんでしょだったら学園に直接言った方がいいんじゃないんですか?」
「確かにあのボタンはウーウェール学園の物だったがだからといって犯人が学園の関係者だと決まるわけじゃない、たまたま拾ったってこともあるだろうし第一学園の関係者の誰かが犯人だったとしてそいつを絞り込むのは難しい、、、だから確かめに行くんだよ」
「確かめるってどこに?」
「仕立て屋さ、ウーウェールは結構な名門でなブレザーは量産品だがボタンだけは全部オーダーメイドにしてるんだ、、だからボタンをなくしたりした場合はいちいち店に注文しないといけない」
今回の被害者は町のスラムのそれもあまり人が通らないところで殺されていたせいで発見が遅れて発見されたのは死亡してから3日以上たってからだった。その間に注文が入っている可能性は高い。
「ああ!そうかじゃあ誰かが新しくボタンを注文していたらそいつが犯人かもしれないってことですね」
「ああもし犯人がボタンを失くしたことに気づいたとしたら注文して新しいもの得ようとしていても不思議ではないからな」
「そして、もしボタンを注文できるならばそれは学園のそれも生徒であるかもしれないってことですね」
ポールはそう言って話の締めを持っていく。
「・・・ああそう言うことだ」
「・・・でその仕立て屋っていうのは何ていう店なんですか?」
「確か、、、ギファバー制服店とかいう名前だったと思うんだが」
「どこにあるんですその店は」
「・・・ほら、あれだよ」
そう言ってダットレイはすぐ先の交差点の角に立っている店を指さす。
ギファバー制服店と、その店に掲げられている看板にはそう書いてあった。
チャリンという音を鳴らして店の扉を押し開けると店の奥から一人の男が出てきた。
「はいなんの御用でしょうか?」
「我々はこうゆうものなんだが」
そう言ってダットレイは胸ポケットから警察手帳を取り出して開いた。
「警察の方がどうして?」
「いや、今殺人事件の捜査をしていましてね。それでおたくに確認したいことがあるのですよ」
「はあ」
店長は少し訝し気な顔をしながらもダットレイの話を聞いてくれた。
「・・・最近ウーウィール学園のボタンが注文されなかったかな?もしそうなら誰がいつ注文したかを教えてほしいのだが」
「ウーウィールのボタンですか、、、確か、ちょっとお待ちください」
そう言って男は店の奥に消えて、しばらくして一冊の台帳を持って戻ってきた。
「これは店の注文表なんですがね、見たところここ1週間で3つ注文が来てますね」
「3人か・・・ちょっとそれを見ても構わないかね」
「ええどうぞ」
手渡された台帳に乗っている表には日付、商品名、数、注文者名、受取日など詳細な情報が記載されていた。
記されている商品名の中かからウーウィールのボタンらしきものを探してみると確かにここ1週間のうちに3つ注文が入っていた。