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ぴちゃぴちゃ。


薄暗い路地裏の冷たい石レンガの上に血が垂れ落ちる。


垂れ落ちた血の横には大きな血だまりとそこに横たわる死体。


血を滴らせる斧の持ち主は佇んでその死体をジーっと見つめている。レインコートを目深く被った顔のその口元に不気味な笑顔を浮かべながら。


「こりゃひどいな」


ダットレイ警部は思わずそうこぼした。


ダットレイは54歳だもう30年ぐらいこの仕事をしている。いろいろな事件を見てきたしその中には人死にもあった拳銃を構えて殺人犯を追い詰めたこともある。


そんな彼にもこれは異常事態だった今月だけで3人年の初めからだと13人殺されている。


夏の猛暑に当てられた太ましい顔からあふれ出す汗をハンカチで拭いながら彼は自分の手帳に事件現場の情報を事細かに書き記してため息を吐いた。


「警部!これを見てください」


そんなダットレイの下に一人の男が駆け寄ってくる。黒いスーツを皺ひとつなく着こなしたその男はいかにも大変だという顔をしながら手に持った白い布を差し出してきた。


彼の名前はポール。今年入った新人で捜査の補佐としてダットレイと行動を共にしていた。


「なんだ騒々しいな」


ポールの騒がしさに眉を顰めながらも自分も布を取り出してそれを取ってみると。


それはコートについているようなボタンだった金色の塗装の上に何かの紋章の様なものが彫り込まれていた。


「・・・これは、どこにあった?」


「捨てられていたレインコートの中に落ちていたそうです。」


「そうかそうだとすると・・・!」


ボタンに彫り込まれている紋章はウーウェール学園のブレザーについているものだった。


被害者は30代後半の独り身の男で普段は町の工業地帯にある自動車会社の工場で働いていた。ウーウェール学園があるのは工業地帯から遠く離れた町の西側だ。


そして16か17そこらの学生が工業地帯になんか行くとは考えにくい。


つまり犯人はウーウェール学園の関係者それも生徒のうちの誰かである可能性がある。


「おい!そこのお前」


その考えが頭の中でまとまった瞬間すぐにダットレイは近くの現場検証官を読んでボタンについている指紋を調べるように言ってから立ち上がり自分のパトカーに乗り込む。


ダットレイが動いたのを見てすぐ後に走ってついてきたポールがシートベルトを締めるのもまたずに車を発進させた。



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