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プロローグ

前の作品に加筆修正したものです。



此方は連載用です。




気が向いたら続きを書きます

    






 白い。



 




 白い雪が舞っている。









 チラチラと。

 チラチラと。











 ずきずきと痛む後頭部を摩る。

 はあ~~とため息が出た。

 僕は鞄を抱え直す。

 


「あ~~痛かった」


 後頭部の痛む。


 原因は家で家事をしている時に不注意が招いた結果だ。


 幸い病院に掛かるほどの傷ではないから良かった。

 大きな瘤が出来たのは御愛嬌だろう。



 派遣先の食品加工工場のから帰宅したのは良い。

 良いのだが残業が多く遅くなった。



 最終電車を乗り損ねなかったのは運が良いと思う。

 

「季節的に寒くなったな~~」




 季節は秋から冬。



 本格的に冷えてきた。


 空を見上げる。



 時間的に言えば深夜。






 見渡す限りの満天の夜空。



 綺麗だ。


 その美しさに僕は感嘆の息をつく。



 四十代後半。


 出会いもなく気が付けば此の年だ。


 最早結婚は無理だろう。



 両親は既に七十代後半。

 何時お迎えが来ても可笑しくない。


 兄弟は兄と姉が一人ずつ。

 自分が末っ子だ。


 残りの家族と言えば猫ぐらいだろう。


 兄と姉は既に結婚しており子供もいる。


 其れに比べ自分は結婚どころか出会いすら無い。



 目下の悩みは其れだ。



 まさしく何処にでもいるモブのような人生だ。


 僕は目を伏せて考え込む。



 後は……。




 うん?



 僕は後ろから人の気配を感じた。

 



「此の後カラオケ行く?」

「行くっ!」

「良いねっ!」


 十代の若者だ。



 白い息を吐きながら後ろから僕を追い抜く。


 近くのカラオケボックスに行く気だろう。

 いい気なものだ。



 将来も何も不安が無いんだろう。



 まあ~~人は人。


 僕は僕だ。


 

 そんな時だった。

 其れが現れたのは。






「「「キイイイイッ!」」」






 奇声が聞こえた。


 奇声が。


 何処からともなく現れ奇声を上げる男たち。

 正確に言えば全身黒ずくめの男たち。



 顔まで黒い布で覆われた其れ。



 其れは異常者と呼ぶに相応しかった。




 異常者にして異常な者たち。




 そう呼ぶ理由も有る。


 全身を覆う布はごく一部を除き目しか外気に晒して無かった。

 手には棒のような武器を持っている。



 それだけではない。


 異常者にして異常な者たちというにも理由が有る。

 眼の白目が無く黒かったからだ。




 人ではない。



 人にしては異常。

 異常にして異形。



 異形の化け物。



「ひっ! やめろっ!」

「うわっ!」


 それらは僕を追い越した若者たちを打ち据えた。

 おいおい。

 人間の出せる速度ではないぞ。


「ふふふっ!」



 何処からともなく辺りに響く声。

 思わず周囲を見回す。


「喜ぶがいい」



 声の聞こえる場所が分かった。

 地面だ。

 地面の影。

 其処から人の声がする。


「貴様らは我が秘密組織【ケッター】の構成員に選ばれたのだからな」


 影の暗闇から現れた新たな異形。

 影から顕現した異形。



 そう。




 其れは異形と言って良い。


 顔は獅子だった。


 正確には獅子の仮面を被った異形。



 胴体は人を模した獣の姿を持つ異形。




 そう異形。


 そう明らかに異形の者だった。




 異形……明らかに其れは異形。


 異形と言うには遥かに格上の存在。



 仮に怪人と呼んだほうが良いだろか?

 

 そう怪人と呼ぶに相応しい姿の者だ。

 




「なんなんだよ御前らっ!」

「警察に通報するぞっ!」

「ひっ!」


 悲鳴を上げる通行人。


「フンッ!」


 ザシュッ!



 肉を斬る音がする。

 その後起こる血しぶき。

 ゴロリと丸いものが落ちていく。

 

 血しぶきと共に落ちた其れ。

 其れは人の首だった。


「ぎやあああああああああああっ!」


 真っ青な顔をして悲鳴を上げる若者たち。

 だけどそれ迄だった。


「ひいいいいっ!」

「「いやああああっ!」」


 何かが切られる音と共に悲鳴が上がる。

 切られたのだ。

 再び怪人に。

 若者の一人が片手を切られていた。


「見せしめに二人ぐらい殺しといていいか……うん?」


 にいい~~と醜悪な笑みを浮かべる怪人。

 其れはあまりにも非現実的な光景だった。

 

「貴様……」

「はい?」



 其の時だった。




 何故か怪人は今初めて気が付いた。

 等と言わんばかりに僕を見る。

 其の目に戸惑いが見える。

 何故か分からない。


「何時から其処に居た?」

「はあ? 最初から居ましたが?」

「気にいらん」

「はい?」


 怪人の言葉に僕は内心首を傾げる。


「何故貴様は怯えない?」

「どうして……ていわれても……」


 予想外の事を言われ僕は苦笑いする。





 あれ?



 おかしいな?


 何で僕は目の前の光景に混乱してない?



 何故か酷く冷静だ。

 というかこの光景を見慣れてる気がする。

 何でだ?



「気に入らん」





 眼前の怪人は何やらポツリと呟いた。




「は?」



 思わず僕はマヌケな顔をする。


「気に入らんぞ貴様」


 何がだろう?

 全然怖くない。

 何でだ?




 

「まてええええええっ!」






 そんな時だった。


 その声が聞こえたのは。

 何処かで聞いた声が。



「何奴っ!」



 その声と共に僕らは一斉に振り返る。

 声の主の方に。




「ふ……」



 場所ははるか上。




 大きな月が輝いていた。

 大きく美しい月が。



 其れを遮る影。



 其処に一人の老人が居た。





 月を背に背負い佇む一人の老人。







 電柱の頂点に佇む老人。

 その人は此方を見下ろしていた。






 

「まさか……」





 怪人の言葉に釣られ僕はそちらを見る。







「貴様生きていたか」









 怪人の顔は作り物とは思えないほど歪んでいた。


 其の顔が作り物ではなく生物の様な感じで。




「生きていたのかっ! 貴様っ!」



 その表情は驚愕。








 驚き困惑し愕然としていた。


 信じられないという顔とも読み取れる。





「ママチャリライダーアアアアアアアアアアアアアッ!」





















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