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ポンタの愉快でサスペンスな日々☆☆☆

ポンタの愉快でサスペンスな日々☆☆☆


~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


Scene.01



ある秋の雨の夜、家出した僕はとうとう迷子になってしまった!

細い小道をトボトボと歩き続けるも、もうヘトヘトさ。

僕のお家はどこだよぅ・・・困ったなぁ。



山の中にたどり着く頃、ある一軒の家の窓明かりが灯っていた。

使用が無いから今日はここにお邪魔しようか。

その家のデッキの軒で雨宿りすることにした。



僕はタヌキのポンタ。

だけど飼い主は僕のこと犬だと勘違いしているようだ。

まぁ別にいいけどね。

いつも美味しい食事をくれるもん。

至って快適な住処だった・・・それまでは。



だけどね、ご主人の奥さんが大の犬嫌いときたもんさ。

今日だって僕が犬小屋をカリカリかじっていたら

すんごいヒステリーで僕を怒ったんだ。

ご主人は本当にいい人だけど出張で当分帰ってこないから

だから僕はご主人を探しに行くことにした訳。

そう、家出・・・皆んなには内緒だよ!



~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~



「あれ?デッキに何かがいるぞ!」

家主ヨネキチはデッキの片隅でうずくまるポンタに気がつく。

なんともずんぐりむっくりな犬がそこにいた。


「ま、そっとしておこう。そのうち居なくなるさ」

ヨネキチは晩飯の支度に取り掛かった。

食事を終えて床につくころ、もう一度デッキをのぞく。

そのずんぐりむっくりな犬はすやすやと眠っていた。

雨が上がったら帰ればいい、ヨネキチも寝床に入った。



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☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



明くる朝―――


ヨネキチはいつものように5時に目覚める。

そしていつものように朝飯の支度をし、朝食を済ませる。


「そういえば、あの犬まだ居るかなぁ」


気になって窓越しにデッキの上を見る。

相変わらずそいつはそこで眠っていた。


「まぁいい、そのうち何処かに行くさ」


ヨネキチは支度を済ませると仕事へと向かう。

静かに寝ている犬を起こさないように出かけていった。



~*~*~*~*~*~*~*~*~*~



「あら、あの犬何処へ行ったのかしら?」


出張に行ったロドリゲスの変わりにポンタのエサやりにきたセザンヌはポンタが居ないことに気づく。


「あらそう、家出しちゃったのね。ま、これで面倒から開放されたわ!フフッ」


何ということでしょう、ロドリゲス妻セザンヌは居なくなったポンタを探すでもなく、ただ厄介払いできたことに喜んでいたのだった。

セザンヌのスマホが鳴る。


「おはよう、セザンヌ。ポンタは元気かい?」


「え、ええ。いつもどうり元気よ。食欲旺盛で」


「そうか、ならいいが。いやね、夕べ奇妙な夢を見て気になったんだよ。ポンタが夜な夜な家出して迷子になっちゃって、山で遭難した夢をね・・・」


セザンヌは思わずギクッとした。

まるでポンタが脱走したことを見透かしたようなロドリゲスの言葉に・・・


「あら、それはそれはご心配には及びませんわ。もう朝から何いっちゃって!」


何とかそう言って誤魔化す悪女セザンヌは、とりあえずその場をかわした。



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☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



ヨネキチが家につくころ、デッキが見えてきた。

どうやら今朝まで居た犬の姿が見えないことに気付く。

どうやら無事ご帰還されたようだ・・・あのずんぐりむっくり・・・

一先ず安堵したヨネキチは家に入った。


風呂に入り夕食を済ませてしばらくテレビを見ていると、何かがデッキの上をトコトコと歩く音がする。

そっと窓の外をのぞくと、夕べのずんぐりむっくりが、やはり夕べ寝ていた場所でうずくまっていた。

これにはヨネキチも驚いた。

何たってご帰還されたはずの犬がまた来ていたのだから・・・

今日は雨など降っていないのに一体?

思わず表に出てみるヨネキチ。

それに驚いて逃げるポンタ。

やれやれ、逃げて行ったか、と思うも束の間、二つの眼が木陰からこちらを伺っているではないか!

そうか、もしかして此処が気に入ったのかな?

或いは腹でも減っているのだろうか。

ヨネキチは家に入ると夕食の残りをデッキの上に置いてみる。

尚も二つの眼が木陰から光っている。

まぁいい、とりあえず家の中から様子を見よう・・・・


暫くしてまたデッキの上をトコトコと歩く音がした。

そおっと窓越しに覗くヨネキチ。

やはりあの犬だ。

夕食の臭いをクンクン嗅いでいる。

躊躇しながらも我慢できなくなった様子のずんぐりむっくりが食べ始めた。

やはりお腹がすいていたらしい。

そうだ、今度は・・・と何やらそそくさと押入れを開けると使い古しの毛布をもってデッキに向かうヨネキチ。


再び驚くずんぐりな犬はまたまたトコトコと逃げてゆく。

が、先ほどの木陰から遠巻きにキョロキョロこちらを伺っているではないか!

逃げるでもなく・・・・


ヨネキチはデッキの上に毛布を敷いて家に入る。

それから2時間くらい経ったであろうか、再び覗いてみると、今度は毛布の上にずんぐりむっくりが丸くなっていた。

やはり此処が気に入ったのかなぁ、ヨネキチも床に着いた。



QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ

☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



明くる朝もヨネキチは5時に起床、そそくさと家を出た瞬間、デッキを見るとスヤスヤと眠るずんぐりがそのままに居るではないか。

まぁいい、そのうち帰るさ。ヨネキチは仕事へと向かった。


この日から来る日も来る日も同じように一週間ほどそれが続いた。

とうとうこの犬はウチに居候してしまったとヨネキチはずんぐりを飼う事にした。



~*~*~*~*~*~*~*~*~*~



「あら、あの犬、まだ帰ってこないの?」


さすがに悪女セザンヌもロドリゲスの溺愛しているポンタが行方不明になったことで私に当たるのではないかと心配に成ってきた。


「そうね、じゃ警察に捜索願でも出しましょうか・・・でも犬なんか探してくれるわけないし、そんなことしたら良い笑い者よね」


そして思案に暮れるセザンヌはひらめいた。


「そう、確かスマホに・・・あった!」


スマホの画像の中からポンタの写真を見つけると、普段やっているSNSにUPした。


「さ、これで良し!」


なんとも適当なセザンヌはもうポンタのことを忘れたようにレストランの予約をして外に出て行った。


食事の前にブティックをウィンドゥショッピング、小腹をすかせて予約席にたどり着く。


「ああ、奥様。ようこそ、今日はお一人で?」


「ええ、主人は出張なの。それで」


「本日は良いオマール海老が入っていますが」


「じゃ、それお願い。あと白ワイン」


そう言うとセザンヌはペラペラとMENUをめくる。

次の瞬間ダンナから電話が入る。


「セザンヌか、ポンタは元気かい?」


「え、ええ。それよりいつ帰ってくるのよ」


「どうやら仕事が長引きそうだ」


「それは大変ね。ちゃんとポンタの世話はしてるから心配しないでね」


そう嘯くとセザンヌは白ワインをゴクリとやる。

う~ん、中々の美酒。ついつい呑みすぎちゃいそうね。ま、亭主元気で留守がいいって言うじゃない、しかもポンタも家出してくれたお陰でこうしてご馳走にもありつけて、もうHAPPYね、フフッ!

ただ残念なことに、嬉しさのあまりセザンヌはへべれけになるまで酔っ払った。



~*~*~*~*~*~*~*~*~*~



そしてポンタはヨネキチのところに正式に居候として居住することになった。

動物病院で予防接種を終え、ヨネキチは市役所に登録へと向かう。


「さて、なんて名前にしようかなぁ・・・ずんぐりむっくりでタヌキによく似ているから、そうだ、ポンタにしよう。ピッタリだ!」


なんとも不思議なことにポンタはこの家でもポンタと呼ばれることになるのであった。






~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


Scene.02



「おい、どうなっているんだ、セザンヌ!」


ロドリゲスがセザンヌへの電話越しに大声で叫ぶ。

どうやらSNSでポンタの捜索を見つけてしまったらしい。

セザンヌとしたことが・・・


「だってぇ~ポンタが勝手に・・・」


「オマエって奴は、それにしても私には元気だって言っていたじゃないか!SNS配信日からもう1ヶ月も経っているじゃないか!」


「もういい、オマエとは離婚だ!離婚離婚!」


「え、チョット待ってよぅ」


「いや、ちょうどよかった。実はね、オマエには当然内緒だったが、フランス出張で出会ったステキな女性が居るんだ。カトリーヌってんだ、大の犬好きでね。」


「な、何ですって?カ、カトリーヌ?」


「そうだよ~ん、残念だったね」


「な、何よ!アンタこそ!どうせその女アバズレね!」


「いいえ、貴族のお家柄だよ。君とは大違いさ!」


「ならいいわ、こっちだってアンタのことなんてとっくの昔に愛想尽かしてたのよ!じゃあ慰謝料タップリと戴けるわね!」


「ハ?オレの大事なポンタをホッタラカシにした罰だ、オマエには一銭もやらん」


「く、クッソォ~!だったら今から口座凍結してやるっ!」


「ま、待てよぅ~」


急に弱弱になったロドリゲスに向かって吐き捨てるように叫ぶ悪女セザンヌ。

カトリーヌだか何だか知らないけど、ホント身勝手な人。

子供が居なかったからまだ良かったけれど、これでアイツとはオシマイ。

は、清々した~!さてと・・・・


セザンヌは早速銀行に電話し、ロドリゲスの貯金300億を自分の口座へ移す算段をする。

他の口座の2億円はキャッシュで後日受け取りに行くと手配した。

そしてロドリゲスのカードを全て凍結するようにも。

紛失という扱いにして・・・

元IT企業戦士だったセザンヌにとってこの手配など朝飯前だった。

そして住居及び賃貸物件の名義も変更する算段に入った。

悪女ロドリゲスはワインセラーから取って置きのロゼをデキャンタし、グラスに並々と注ぐやゴクリとやった。

やったった、これで私も正式な資産家ね!ダンナなんてポイよ!

正式な悪女となったセザンヌはニヤリと不敵な笑いを浮かべる。




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☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



その頃ロドリゲスは焦っていた―――――

なんという早業、既にカードは凍結されていた。

そしてセザンヌとも着信拒否されて茫然自失となっていた。


「ど、どうしたのよアナタ、そんなに青い顔しちゃって!」


「お、オレはもうダメだ。オシマイさ・・・」


「何よ、一体どうしたって言うのよ」


「き、聞いてくれカトリーヌ・・・」


ロドリゲスから事の本末を耳にしたカトリーヌは立ち上がった。

玄関前にリムジンをチャーターすると、執事にジェットの手配を命じ飛び乗る。

シャルル・ド・ゴール空港には真っピンクに塗られた派手な自家用ジェットが二人を待ちわびていた。


「いいわね!いざ、成田へ出発!」


さすがのロドリゲスもこの迅速な展開には慌てふためいていた。

なんとも貴族カトリーヌの短気さにポッカリ口を開けて見とれているだけだった。

カトリーヌの横顔は、それはそれはオゾマシく、いずれ出会う宿敵、悪女セザンヌとの一騎打ちを構想する武士の横顔になっていた。


ロドリゲスも負けじと、以前利用していた探偵事務所にセザンヌのスパイを依頼した。

同時にポンタの行方についても・・・





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Scene.03



ヨネキチはスマホを置くと思案に暮れる。

どうしたというのでしょう、その電話はかつて依頼のあったロドリゲス公爵からのものであったのだから。


しかも、今家に居るポンタと瓜二つの画像が送られてきていることに動揺は消えなかった。

ヨネキチは居てもたっても居られず、家へと向かう。そう、何を隠そうポンタの元へ。


ヨネキチの真っ赤なアルファロメオが首都高速でスピードを増してゆく。

そして・・・何か赤いきらめきが眼をさした・・これって?

すると、後ろからけたたましく響くサイレンの覆面パトカー。

そしてヨネキチは切符を切られた・・・


「あのう、今急いでるので、どうか見逃してはくださいませんか?」


「なんだと、だめだめ!」


「そこをなんとか・・・」


するとスマホが鳴る。ロドリゲスからだ。


ロドリゲス公爵に事の次第を伝えると、その警察官に代われと言った。

一体全体これって?


暫く警察官はスマホの向こうのロドリゲスとやり取りし、こちらに向き直る。


「そうぞ、お乗り下さい。ロドリゲス様から案内するようにとご指示がありました。」

そう言うやヨネキチをパトカーに乗せる。


事の次第を把握できぬままのヨネキチ。

ロドリゲス公爵って一体・・・


するとまたもやヨネキチのスマホが鳴る。


「あ~、市役所ですが。お宅のワンちゃんが脱走しまして・・・今キャンプ場で預かっていただいてますのでそちらに引き取りに言って下さい!」


な、何と言うことでしょう、ポンタが脱走?そして今キャンプ場にいるだと?

なんともこれにはまいった。




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☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



やがて覆面パトカーは警察署へ行くでもなく、成田空港に到着する。

すると、空港ロビーへと連れて行かれた。


「やぁ、お久しぶり。ヨネキチ君。」


それは、今しがた到着したばかりのロドリゲス公爵と愛人のカトリーヌが立っていた。


「ようこそ、ロドリゲス公爵様、では正面玄関へ」


覆面の捜査員がそういうと皆を案内する。

屋外へ出ると、まるで事件でもあったかのようにパトカーの車列が並んでいる。


「さぁ、参りましょう!」


これにはロドリゲス公爵も呆気に採られていた。

そして何やらロドリゲスにカトリーヌがウィンクする。

ヨネキチは思わず捜査員に質問する。



「これって一体?」


「カトリーヌ様からのご指示によって我々は動いております。正式にはカトリーヌ様のお父様である国王からのご依頼でありまして、我々はあなた方を国賓扱いでご招待させて降ります。」


「こ、コ・ク・ヒ・ン?」


「はい、然様で。今からロドリゲス公爵様の奥方の下へお送りする次第であります。」


ヨネキチはポンタのことを思い出すとロドリゲスに向き直る。


「ええと、実はロドリゲス様にお伝えしたいことがありました、実は、あなたの探されているお犬様であるポンタ様の行方についてですが、実は全くそっくりなのがウチに居りまして・・・」


「な、なんですとぅ~!」


「そのぅ~正確にはウチというか、脱走して近所のキャンプ場にて捕獲されております。」


「おお、そうだったのか!見つかったか、ポンタよ!」


「でしたらそちらへ参りましょう。」


パトカーの車列は首都高速をまるで刑事ドラマさながらに突っ走っていった。



~*~*~*~*~*~*~*~*~*~



そして市役所からの知らせのあったポンタの居るというキャンプ場に一行は到着した。

既にキャンプ場の主夫婦は、沢山のサイレンの音に驚いて出迎えていた。

その奥さんの胸にはずんぐりむっくりのポンタが抱きかかえられている。


慌てふためきながらそそくさとパトカーを飛び出すや駆け出すロドリゲス。

一同も後を追う。


「おお、ポンタよ!無事だったか」


「ゴメンよ、お父ちゃん」


「おお、オマエも少し成長したようだな、そうか、喋れるようになったのか!」


何故かそのずんぐりむっくりは、ロドリゲスと会話をしているではないか!

一同は唖然として、ただ口をポッカリと開けている。


キャンプ場のご主人が言う。


「このワンチャン、子供達に大人気でしてね、さっきまでそこの川原で遊んでいて、この子本当に水遊びが好きなんですね。それでね、もし飼い主さんが現れなかったらこの子を引き取りたいって人まで現れまして・・・ほら、あの方です。」


そこには一人のハンサムなフランス人とその息子と思しき少年がこちらを見ている。


カトリーヌはハッとしたように動揺する。

その様子をロドリゲスはただただみつめている。


すると遠くから又もやサイレンが山に反響しながらこちらに近づいてくる。

サイレンの音は次第に大きくなると、一台の白バイが到着する。

後ろには女性を乗せているようだ。

女性が颯爽と白バイから飛び降りるとロドリゲスの前に現れた。

そして被っていたフルフェイスのヘルメットを脱ぎ捨てる。


「お、おまえ・・・・・」


ロドリゲスは思わず声を震わす。

そう、それは妻であり悪女のセザンヌだったのだから。


「あ~ら、お久しぶり。お元気?」


「オマエ、酷い奴だな」


「何よ、アナタだって。それよりどうしたのよ、そのヘアースタイル。金髪なんかにしちゃって!フフッ」


「う、うるさいっ!黙れ」


「そして、その生え際、おかしくな~い?あ、そうそう、あなたがカトリーヌさんよね。チョット見てよ、ここの生え際、不思議でしょ」


するとカトリーヌはロドリゲスの傍らへ近づくと頭を観察し始めた。


「アナタ、騙してたアルの?」


「いいや、決してそういうつもりでは・・・」


「じゃ、何よこれ!」


そう言うや咄嗟にカトリーヌはロドリゲス公爵の生え際を引っ張る。すると・・・・


「アッ、やめろ!」


ロドリゲスがそういうのが早いか、被っていたズラが取り払われて、辺りが閃光に包まれたではないかっ!

一同はその太陽を反射した光にしばし眼をやられる。

そしてポンタが又もや口ずさんだ。


「みんな知ってる?ウチの父ちゃんハゲだを」


一同はポンタが喋れるようになったことも忘れさせるほどの衝撃を受ける。

そしてどうしたことか傍らに居たカトリーヌが、先ほどのフランス人親子のもとへと駆け出す。

それからそのハンサムな男に言う。


「さ、一緒にかえりましょっ!」


「おおカトリーヌ、何でここへ?それよりあのハゲは?」


「し、知りませんよぅ、あんなハゲ」


「それより、あの喋る犬、連れにきたんじゃないのか?」


「嫌よ、あんな喋る犬なんて!」


そういうと傍らの少年の手をつなぐや、覆面パトカーに乗って走り去ってしまった。

ロドリゲス公爵はむき出しになった頭を空高くハレーションさせながらその場に弱弱しくしゃがみこむ。

ポンタがキャンプ場婦人の手から飛び出すやロドリゲスに駆け寄ると、眼を眩ませながらその陽光に輝くハゲ頭をぺろぺろ舐め始めるではないか!

警察官一同もその光景に必死で笑うのをこらえている様子。



QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ

☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~



そして、悪女セザンヌがどうしたことかヨネキチのほうへと向かう。


「お久しぶり、アナタ」


「これはこれはセザンヌ、久しぶり」



それに気付いたロドリゲス公爵がセザンヌに言う。


「おい、オマエ。一体その男とどういう関係なんだ?」


するとヨネキチが話し始める。


「ああ、申し送れましたが・・・実を申しますと私達以前アナタの依頼の際にお会いして以来、良い仲でありまして・・・何れ機会があればと考えておりました」


「な、ナニィ!赦せん!」


そう言うや、セザンヌに飛びかかろうとするロドリゲスを警察官達が遮る。

同時に先ほどまでペロペロと頭を癒して見方であった筈のポンタまでが足元に噛み付いたではないか!


「おい、放せ!あの女が全て悪いんだぞぅ!亭主に黙ってあ奴とデキていたんじゃないかっ!しかも私の財産まで毟り取って・・・アイツは犯罪者だ!ひっ捕らえよ!」


悪女セザンヌはそれに反抗する。


「何よ、アナタこそ出張にかこつけて女なんか作っちゃってさ。それよりも今の見た?愛想着かされて子供と帰っちゃったじゃないの。そうよ、アナタは遊ばれていたのよ!さ、ヨネキチさん行きましょ。慰謝料が手に入ったから今からパァッと!ねっポンタもよ!」


どうしたというのでしょう、そのセザンヌの言葉にポンタは尻尾まで振ってセザンヌの下へ駆け出していくではないかっ!

するとセザンヌが最期にとどめの一撃をロドリゲスに食らわす。



「それと、このポンタちゃんだけど、実はね、タヌキなのよねぇ~ そう、アナタはタヌキにばかされたってことになるわねぇ!ププッ」



それを聞くや先ほどまで息巻いていた流石のロドリゲス公爵も弱弱しくそこへ崩れ落ちた。

セザンヌとヨネキチはポンタをつれて退散してゆく。


警察官達も役目を終えた様子で、ただの剥げたオジサンに成り下たったロドリゲスを置いて帰っていった。


秋の夕日の中、夕焼けが真っ赤にロドリゲスの頭を照り輝かす頃、ロドリゲスは毛だけに留まらず、全てを失った様子でとぼとぼと当て所なく歩いていった。


そういえば・・・・いつぞやも、こんな事があったような気がするのだが――――






~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~☆~~


///// To Be Continued ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

















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