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橋の話からアカデミーまで

第29章

 ベル親子は、着ている服などはボロボロだったが、仕事はキチンと行っている。


 「ギルド建設の仕事で、ヒュウマルは働いた事があったのだけど、やはりまだ仕事量が足りず、年齢的にも毎日の就労が厳しいと判断になって、1日おきにしか働けなかったの、だから賃金も2日に1回、お父様のマイクさんは、やはり戦争で受けた傷がひどく、長時間の立ち仕事は出来ない」


 「今回、男性二人に頼むにあたって、もしかしたら不平不満が起こるかも知れないけど、ミリバードさん達の家の建築の仕事が始まれば、その不満は解消されるでしょう」


 「こんな事を頼んでは、失礼なのは承知していますが、ミリバードさん、よろしいのですか?それとも、やはり王都にお帰りになりますか?」


 「まさか、王都に戻るつもりはありません。わたくし達もこの町が好きです」


 「それにしても、ヒュウマルさんは、本当に賢いです。平民の14歳で、文字も計算もできるなんて、マイクさんが教えたのですか?」


 「私がいたお屋敷の坊ちゃんが、丁度、この子と同じ年で、小さい時は、遊び相手に呼ばれて一緒に勉強なども習っていました」


 「マイクさんは、そのお屋敷では何を?」

 「はい、コックでした。しかし、片足が動かなくなり、肩も不自由で、フライパンを振る事が出来ません」


 「今回、重たいポットなどはどうですか?」

 「はい、ポットは大丈夫です」

 「良かったです。料理人なら、お茶を沸かすだけではなく、何か売りたい物があれば、慣れた頃にどうぞ売って下さい。私も暇な時は、ポテトを売りたいと思っています」


 「今はまだ仕事に慣れて、二人で失敗しないか心配で……」

 「そうよね。明日から4人です。頑張りましょう」


 「ウインターノさん、私達は、明日からもこちらに出向いてよろしいでしょうか?家の相談などを行うスペースが家にはありませんので、ギルドをお貸し願いませんか?」


 「いいですよ。どうぞご自由に、新しいスペースを用意しておきます」


 ×××××


 翌日は、ギルトの仕事が忙しく、この町中がミリバードさんの家の仕事の受付がふえたからだ。設計から始まり内装、インテリア、庭造り、その後は、道や街灯まで住民の夢は膨らんでいく。


 「人が集まってカフェが儲かり、その恩恵を受ける為に、ちゃっかりしている人間は、ギルドの外に屋台をだしています。しかし、ミリバードさん達は大丈夫でしょうか?」


 「遠くから見ているだけだけど、あの二人は元々この国で暮らしていて、各地を転々としていただけあって、とても優秀です。モーリモさんなんて、今までのキャラを一新して、学校の先生のように、大男たちを諭してます」


 「それに、現在のウイル家の遺産は、国家予算並みに膨大です。アシガー皇子の誠意が感じられます」


 「そして、この町は、もっと栄えるの?」


 ベアドックは、身分証明書の発行が終わって、片づけをしながら、答える。


 「そして、もう一つの国にも雇用がうまれ、経済が活性化します」

 「そうなの?」


 「そうでしょう。ミリバードさん達の望む品物は、王都に国では購入できる品物が多いです。それには、必ず橋が必要になって、女性が多く暮らすこちらの国は、憧れの国です。もっさい男どもはどんな事をしても橋の工事を始めるでしょう」


 「橋が出来れば国境が出来、お互いの国に税収入を得る事ができます。アシガー皇子にとってミリバードさんへの謝罪は、大きなビジネスチャンスです」


 「確かに、このままでは人口減少が起こり、この国は消滅してしまうけど、そんなに容易く猛獣をこの国に入れる訳には行きません」


 「そうですね。何かしらの対策は必要でしょう」


 ×××××

 

 一方、王都では、霧の後は雨が降り出し、殺伐としている町並みは一気に静まり返った。多くの国民たちは、こんなに長く降る雨を経験したことがなく、時間を忘れるくらい窓の外の雨を見ていた。


 「国王陛下、ありがとうございます。我が国では初めての長雨です」

 「カフェの方はどうだ?」

 「はい、落ち着き始めています」


 「この雨はどのくらい降る予定ですか?」


 「――1週間位にしようと思っている。その間に、橋の建設、鉱石類の発掘の方の話を進めてくれ。……人材は集まって来たか?」


 「はい、この前、ウインターノさんやマリヒューイ様たちから頂いた品物を、無償提供した時に、一緒に王宮で働きたいと申し出た人間が大勢いました。その後、必要な人材を選び職に就かせています」


 「橋は作れそうか?」

 「この国には川がなく橋を作った経験がありません」

 「でも、橋は確かにありました。私が落ちた橋が……」

 「あの橋は、既に撤去している。それに、水の流れていない橋だったからな……」


 「まずは、簡易的な橋と国境となる立派な橋を同時に進行して行けばいい。物資を輸送する簡易橋は、私が魔法で補強するから大丈夫だ。しかし、未来永劫残る橋は必ず必要になる。それにはやはり専門家が必要になるだろう」


 「はい、こちらは規模が大きくなって、ウインターノさんのように、ギルドで募集とはいきませんので、公募しようと思います。幸い、情報誌を出している機関を見つけましたので専門家を雇いたいと思います。、時間をかけて立派な橋と門の建設いたします」


 「2つの国にとって大切な橋になる。専門家がいいな。その為の国家予算は残っているのか?」


 「はい、大丈夫です。しかし、雨が降ると緑が一層鮮やかで、次の朝、目が覚めると木が延びているように感じます。今回の雨は、国全体に降っているのですか?」


 「ああ、ウインターノは、まだ、国中に雨を降らせる事が出来ない。本当ならこっちの国もウインターノの雨が降ると、もっと早く作物が育つのだが、私ので我慢してくれ」


 「ウインターノさんの雨は、そんなにスゴイのですか?」

 「ああ、なぜか、その点はズバ抜けている」


 その後、アシガー皇子の専門家公募の記事は、国中にばら撒かれ建築家が、大勢、王都の王宮に集まり、コンペを開催し決定した。木材が少ないこの国は、鉄の生産量は豊富で、本当に立派な橋が出来そうだと、魔王もウインターノも思った。


 ウインターノが、王都のバンダ家から王宮にやって来て、その設計図を見ながら、

 「うわぁ、カッコいい、簡易橋と同時進行なのがいいわ~~助かる」


 「本来なら、そんな魔法で橋ぐらい作れるが、人間が作る事に意味がある」


 「鉄が多く生産できるのなら、こっちの国にも欲しいかも……」


 「そちらの国では、木の伐採が始まって、材木として商売が始まったと聞きますが本当ですか?」


 「そうなの、そうなのよね……、材木は、まだこちらに渡せる程生産がされていないの、木はもうすでに大木に育っているけど、切り出す人間に限りがあって、それに、今は、ミリバードタウンの建設で、ほとんど使っているからごめんね」


 「ミリバード、町をつくるのか?」

 「町というか、学校を作るみたい」

 「アカデミーと言う魔法学校」

 「魔法学校?」


 

 この話は、ヒュウマルの学力向上から始まった。


 ある日、父親のリオールが、いつも会議をしているミリバードさん達に、朝食を出したことが発端となった。リオールがほんの気持ちとして出したサンドイッチが、とても好評で食べたい人が続出したのだ。


 本当なら、原価計算をして価格を決め、端数を揃え、受け渡しの時間や能力を費やす事を減らす。

 しかし、あまりにも突然の事で、ヒュウマルも戸惑い、お客と口論になってしまった。


 「結局は、お客もヒュウマルも、その合計代金を間違っていたのだけど、14歳の結構ガタイのいい男の子が、悔し涙を流しているのを見て、ミリバードさんは、教育の大切さを思いついたみたい」


 「でも、なぜ、魔法学校?」



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