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ハンバーガー

第1章

 まさか、ある日、平凡な女子高生が、転生されるなんて……、どうして、私、何かしたの?


 その日、ポテチを食べながら、ネット小説をどんどん読んでいると、意識が遠くなって、目の前に、神様らしき人が現れる。


 「今しがた、あなた様は旅立たれ、この後……異世界の国で人生をやり直す事が出来ます」



 そのまま、ぼっとしてその神を見ていると、自分は、現在進行形のまま右手にスマホ、左手にポテチはそのままで、なぜかその神は頷いて、


 「望みを聞きます。何かありますか?」


 「え?旅立ち? ……私、死んだのですか? どうして?まだ、私、健康な高校生で……、なんで? 病気? 事故?」


 「え~~と、多分、○○です」


 「え?それ! 本当ですか?」


 「……」


 「私が渡したのではありませんが、あなたは誕生時から、大切な転生可能な権利を持っていますので、私は、あなたの希望を聞き、転生先に送り出す事ができます」


 冬乃は、神様らしい人物にうまく言いくるめられて、急いで、考え始めた。


 「そんな……、いきなり……、えーーと、高校まで、特に楽しい事もなかった。両親は、年を取ってから自分を産んで、早めに天国に召され、それでも、愛されていたし、家も財産も残してくれて、高校を卒業までは、何とか生きて行けると思っていた。だから、親戚にも頼らず、結構、節約して生活してきたのに、イヤイヤ、どうして? 一体、どうしてこうなったの?」


 「あ~~っ! バイト入れておけば良かった。そうすれば、あの特性ハンバーガーを食べてから、死ねたかも知れないのに……。そんな、私の願いって……、ハンバーガーだけしかないの?」


 しばらく考えるが、

 「ハハハハ……、本当にナイや! 彼氏もなく、両親もいない。泣けてくる。スマホが、すべてのこんな人生、おかしくって泣ける……」


 「だったら、魔法を下さい。万能な魔法!!! 現代社会の便利な道具、言語、知識、諸々再現できる強力な魔法が使える様にしてから転生させてください」


 「それだけでいいのですか?」


 「いいです」


 「美貌とか、若さとか、優秀な知能、宝石やお金は、要らないのですか?」


 「え~~と?容姿は今のままでいいです。後……、年も今のままの16歳でいいです。色々変わると混乱して覚えられないので、後……、言語や知識は必要で……、宝石は、多分必要ない、でも、お金は必要です。下さい」


 「その世界のご両親に、希望はありますか?」


 「え? 両親? ありません!! 出来たら、天涯孤独な魔法使いが希望です」


 その神は、ハンドブックのような物を参考にしながら、スケルトンの画面で転生先を探し、

 「うん、うん、両親不要、容姿、若さ不要、宝石不要となると……あっ!! 丁度いい、ココが最適だ。あなたに頼みました。本当に、申し訳ないと思っています。お詫びに、望みのハンバーガーを製造できる、魔法の鞄をサービスしていきます。それでは、覚悟はよろしいでしょうか?」


 「え? もう? え~~と……、ちょっと……!」



 冬乃が、まだ、返事もしない内に、笑顔で送り出され、大きな風の中へ、グルグルと周りながら、現在の日常から転生先に送り込まれた。


 ドタ! と、大きな音とともに、粗末なベットに投げ込まれ、

 「どこ? ここどこ? どこ、どこ……どこなの?」


 見回すと真っ暗な部屋で、湿気があって……、おまけに寒い。


 「最悪だ」


 この汚部屋の状況を見て、もっと、いい条件を出しておくべきだったと、後悔し始めたが、他に人がいるかも知れないので、状況を把握するまでは、魔法を使う事を控える事にした。


 「……魔女の部屋って、普通、こんな物なのかしら? イメージ通りと言えば、そうだけど……。この湿気、ダニがいそうだし、カビも体に悪そうで……。これだけは、わからないように改善しておこう」


 初めて使う魔法は、空気の清浄とカビの駆除、そして、今の自分の状況を把握することだった。


 冬乃が転生された女性は、16歳のウインターノ・バンダ


 「ウインターノ・バンダ?ーーなんてあんちょくな名前をつけやがって!! あの神様 ! しかし、彼女、本当に一人っきりで、こんな小さな……粗末な……部屋に住んでいるの?」


 部屋なのか、家なのかわからないので、汚いドアをそっと開けて、外に歩いて行くと、小さなキッチンと、トイレ、洗面する場所、それとリビングのような部屋もあった。


 玄関ドアを開けて、びっくり……、そこは、まさに砂漠のような台地が広がり、この家以外、存在していないような場所だった。


 「なんだ! この場所……」



 大きな砂嵐が襲って来る気配を感じて、思いっきりドアを閉めて、この女性の前世の記憶をたどる事にした。


 ウインターノ・バンダは、バンダ家の令嬢で、内戦によって亡くなった両親の罪によって、幽閉されて、このような場所で、暮らしていたが……、力尽きて、死亡したようだった。


 「彼女、一時は、この国の皇子と婚約もしていたらしいのに、なんて、お気の毒に……」


 「幽閉って、どんな感じ?閉じ込められたみたいな?もしかして、牢屋と同じ?でも、ベットもあって、家からも出られて、しかし、外に出ても、砂漠のような土地が広がっているだけで、隣の家とか全然見えない……。ご近所さん無し……」


 「これでは、本当に死にたくなる。きっと、彼女が亡くなっても、発見する人もいないかもしれない。そんな所に送り込んだのね。あの、神様……、しかし、折角、魔法を授かったのだし、まずは、生活改善しましょう」


 窓を見ると、今度は、嵐のように砂が舞い上がり、まるでこの小さな家を飲み込もうとしていたので、結界を発動してみた。


 「最大級の竜巻が来る。――お願い、この家を守って!! 」


 授かった魔法は、本当にすごい魔法で、砂嵐は、この家を避け暴れまくっていた。


 「さてと、囚われの身としては、外見は、変えられないが、この家の中は、変えて行こう。テレビとか、つくかな?」


 色々試してみるが、テレビとスマホは、やはり使えない。無駄な物だったので、消去して、次に、家の中の家具、カーテン、すべてを近代化させ、キッチンは水が出るのかを確認すると、どうやら、水道は、備わっていた。


 透視能力で、水道の元を調べると、なんと! 地下に繋がっていて、地下水を利用しているようで、この仕様は、本当に素晴らしいと感心している。


 「しかし、食べ物がないわ……、どうして? 幽閉されているけど、食事は、届けられるシステムだったはず、どうして、今日は、届かないの?」


 外を見て、「うん、今日の配達はきっとない。仕方がない、特性ハンバーガーを出して食事にしましょう。現在あるのは、水のみ……、ああぁ、死ぬな、完全に終わる」


 固い木の椅子を柔らかいソファに変えて、暇つぶしに、その辺の本を読み始める。


 「――この国、大丈夫かな……。その本は、この国について書かれているが、歴史本のような物で、その歴史本の地図を頼りに、魔法で、現在のこの国について調べ始めた」


 「駄目だ! 調べれば、調べるほどに、この国、終わっていると感じられる。それも、今、終わる……。The ENDだ。頭の中で、この砂嵐が、すべてを飲み込んでいくのが見える。人々が泣き叫んで助けを求めても、既に、内戦を続けている軍部は、総崩れで、指揮官もなく、役に立たず、すべてが、砂に埋まって行く」


 「あああぁぁ……、天涯孤独の魔法使いを希望しましたが、ここまで希望していません。この国、本当に終わってしまうの?」


 魔力を一気に使った為、その後は、気を失い、結界が張られた小さな家の中で数日間、眠り続けた。


 目は覚めたが、この世界に来て初めて、人々が亡くなる姿を目にして、怖くなって、外の様子を見る事が出来ない。


 「私、魔法があるのに、どうして、助けを求めている人々を助けなかったのだろう……、本当にバカだ。でも、気を失っていたし……。転生したばかりで……、本当です、許して下さい」


 「もしかして、あの神様は、この国の人々を助ける為に、私をこの国に転生させたかも知れないのに……。どこで、暮らしても、本当に役に立たない……」


 ウインターノは、ただただ、ずっと泣いていた。


 「ごめんね。ごめんなさい、国民の皆さま、助けられなくて……、ごめんなさい。魔法初心者には、知恵がありませんでした……ごめんなさい」


 その後、たくさん悪夢に悩まされ、後悔と恐怖で、どれ程、涙を流したかわからないが、そのまま、この家から外出する事はできず、思いっきり引きこもりの生活を、納得がいくまで過ごした。


 しばらくして、メンタルが回復して来たのか? ある日、良く晴れた空を見上げ、行動することにした。


 「やっぱり、もう、ハンバーガーは、食べたくない。少し出かけよう」


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