-4-本題へ
以前掲げた?目標通り2週間に1話ペースです。
なんか今回の話は文の書き方が感情的なものばかりになってしまった気がするので、あとで結構描写とか追加する修正入れるかもしれないです。
新作として投稿再開し、旧作時代よりプレビュー数は減った気がします。
作品数昔より更に多くなったんだろうなぁと。
まあ元々大したことしてませんが……
でも以前よりは楽しく小説を書けているので、引き続きこんな作品を見てくださる方に感謝しつつ、精進していきたいと思います。
*名前
どうしたものか。
通学路に向かう道。学生寮からほとんど切れることの無い桜並木が、綺麗な春色に道を染める。
結那は名前を考えてあげるとかなんとか言ってたけど、これは俺も考える流れなんだようか。
「じゃああなたの良い名前を考えてあげるからね、柚斗が」
「おい、俺かよ!?」
思わず突っ込んでましまう見事な流れだった。なんか昔より結那はお茶目になってきた気がする。最近は特に弄ばれてる感が……
それについてはひとまず置いておくとして。
「そうだなぁ、今は春だからなんか花とかの名前がぴったりかもしれないけど」
「まあ、そこら辺が決めやすいのよね」
思いつきで出した花の名前案だったが、結那的にも季節にちなんだものが浮かんでいたのか、素直に案が採用される。
と、なると。
あとはパッと思いついた花の名前を挙げていく事にしよう。
「桜」
「まあ春って感じするけど」
「梅」
「名前に梅って古風じゃない?」
名前の候補を出すたびに結那からのコメントが帰ってくる。
これは結構面白い、と思い、更に出そうとするも、そもそもあまり花に詳しくない俺にはこれ以上案が浮かんでこない。
そして様々な議論をされている本人である女の子といえば、俺と結那のやり取りをポカンとした顔で見ている。
……さて、本当に全然思いつかない。
結那には「もう出ないの?」と、催促される。そういう結那は何も出てないけど喧嘩になるから黙っておこう。
「あー、胡桃とか? 俺的には結構良い感じの字なんだよな」
そう言いながら携帯端末を取り出して、『胡桃』の文字を見せる。
結那は「そんなの知ってるわよ」と言いながら手で携帯端末を払う仕草をする。
「うん、これでいいんじゃない? 君もそれでいい?」
結那が女の子を見て確認すると、すぐに頷きが返ってくる。
「じゃあ改めてよろしくね胡桃ちゃん!」
「よろしくな、胡桃」
少しキョトンとした様な表情で俺と結那を見てから。
「うん……ありがと!」
この日一番の笑顔で、そしてちょっぴり恥ずかしそうに頷く胡桃だった。
その後、通学路を進む俺たちにしばらく無言が続いた。周りにはすっかり同じ学校へ向かう生徒で溢れかえっていて、桜並木と混ざって景観が出来上がっている。
もうすぐ仙王学園が見えてくるというところで、胡桃と手を繋いでいた結那が手を離して後ろに下がる。つまり俺の横にきたのだ。
「ねえちょっと」
潜ませた声で話しかけてくる。おそらく胡桃に聞こえないようにしているんだと思うけど。
「ん、どうした?」
結那に合わせて小声で聞くと、端末を取り出して『胡桃』についての説明を見せてくる。
「胡桃の花って5月って書いてあるわよ!」
その記事には胡桃の花について細かい記載があり、確かに5月と書いてあった。
「……5月も春だろ!」
結那は何やら渋い顔でこちらを見つめてくる。そうだけどそうじゃない、なんて言いたげな視線だ。
「まあ、いいわ。確かに春といえば春だし、本人が気に入ってくれてるようだから」
そう言って結那は、また胡桃の横に戻っていく。
名前が出来た喜びからか、胡桃は若干興奮気味で結那に学校のことを聞いている。
その光景を見て嬉しくなると同時に、「名付け」について少し疑問が浮かぶ。
世の中ほとんどの人は生まれた時に名前を貰うんだと思う。でも稀に、本当にごく稀にだろうけど胡桃みたいにあとから名前を貰ったりすることもある。
そうするともしかしたら、名前を付けることって凄く大事な……というより意味のあることなんだろうな、と。
名付けの意味を少し考え込んでしまった。
*仙王学園
歩き始めて10分。
桜並木が彩る通学路の先に、俺や結那が通っている『仙王学園』が見えてくる。
敷地内に中等部と高等部があり、学科は魔術科と魔法科の2つ。それなりに大きな学校だ。
魔術や魔法について学べる教育機関自体まだあまりないのもあるが、この世界、つまり俺たちの住み仙王学園があるメイハラムという世界に、魔法が持ち込まれてからまだあまり年数が経っていないというのもあって、学校の人気は高い。
俺的に面白いと思うのは、魔術科の生み出した魔術論を魔法科実践して魔法にし、魔法科の実践中に生まれた見たことの無い魔法を魔術科が分析して魔術論に落とし込む。この相互関係は中々刺激的で面白い。
なんて考えていると、徐々に人が増え賑やかになる学園内で、胡桃は大きなレンガ造りの校舎に目を輝かせて釘付け状態になっている。
「わぁー! 大っきいし綺麗な建物だね!」
「でしょ? 私も結構この学校好きなんだ」
結那も胡桃と一緒に改めて仙王学園の校舎を眺めている。
2人を見ていてふと興味が湧いてきたので、少女たちの間に入る形で校舎を眺めてみる。
今まで通っていた中等部から高等部に上がっただけなので、以前と別に変わっているわけじゃない見慣れているはずの景色。だが、高校生になったいま見てみると、確かに違った景色の様な気がしてくる。
「……入学式だからかな、確かに違って見える」
「そうね、やっぱり新学期って特別だと思うわ。先生たちも忙しいだろうし早く胡桃をオカ先生のところへ行って説明しましょ」
胡桃に優しい笑顔で接する結那は、聖女なんじゃないかと思うくらいに美しかった。
容姿的な話でももちろん整っているとは思うが、他人に向ける表情があまりにも優しい。俺にはそんな事ないけれども。
そういえば結那のお母さんもすごく綺麗な人だった記憶がある。最近の結那はますます母親に似てきていると思う。
校舎を眺めるのをやめて、再び歩みを進める。
胡桃のキラキラした表情を見て、俺も結那も少し申し訳なく思いつつ、職員室前で先生を見つけて説明する時間を考えると、あまりゆっくりはしていられない。
「よし、とりあえずとっととオカのところに行って何とかしてもらうぞ」
苦笑いを浮かべながら結那が頷く。
「中等部時代に引き続いて面倒かけちゃうことになるからちゃんとお礼言わないとね」
「そうだな。まだ教わりたいことは色々あるからこれからも迷惑かけますってな!」
俺の発言に、目を細めて呆れ顔の結那。
するとクスクスと笑い声が聞こえてくるので声の方を見ると、我慢できないといった様子で胡桃が笑っていた。
胡桃の反応に俺も結那も首を傾げていると、息を整えてその理由を説明し始める。
「あのね、結那姉も柚斗も仲が良いんだなって思って、話を聞いてて我慢してたんだけど面白かったから笑っちゃった」
結那と顔を見合わせる。そんなこと初めて言われて、とても驚いているキョトンとした表情。そして多分俺も同じ表情になっている。
相変わらず笑い続ける胡桃につられて俺たちも笑い出す。
校舎の入口が近いのもあって、周りには生徒が増えてきている。笑っていたため余計になんだなんだと人の視線が増えていくのを感じる。
でもそんなこと気にならないくらいに今が楽しい。そう感じている今でもわかる。
チラチラと見ているわけじゃなく、はっきりと俺たちを見据えた、とても目立つ特大シルエットの存在に。
それはまっすぐと柚斗たちへ向かってくるのだった。
最近は某有名バトロワをちょっとやり込んでいます。この作品上げた日にはサーバーエラーとかの問題で色々盛り上がっていますね。
あとぼちぼち仕事忙しいです。
仕事してゲームして小説書いて……充実してますね!
皆さんも充実した日々を過ごしてください!
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