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帰路

作者: 春風 月葉

 生きるということはいつか死ぬということだ。私は日々、いつかはわからないがいつかは確実に訪れる死という結末を抱えて生きている。それは大切な人との幸せな時間に訪れるのかもしれないし、一人孤独な時間に訪れるかもしれない。それは事故かもしれないし、それは病かもしれない。どんな形でどんな時間にどうして死ぬのか何一つわかってはいないが死ぬということは確定している。

 死が形を求め私の命を喰らい現実に起こるときまで、死は静かに私の中で眠っている。目を覚まし、胸を撫で、息を吸う。その日死ぬのかもしれない。そんな不安に怯えてしまわないように、いつ失うのかもわからぬ目前の幸せで心を誤魔化す。

 そうやって今だけに向き合い命を燃やす。そうやってまた死に近づいていく。時間が経つほどに手元に幸せは増え、時間が経つほどに命の蝋燭は減っていく。

 幸せだと感じるほどに死は近づき、死にたくないという気持ちは強くなる。それでもその日はきてしまい。その時間にその形で死ぬ。そのとき、手離すことの恐怖は消える。

 重ねた時間は回り灯籠のように自分の中を流れる。くるくると自分の軌跡を辿り手にした幸せの重みを実感する。死が私の命を喰いつくし、私の身に現れるとき、私は恐怖から解放された。

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