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真魔王カロンの目的

『バフン!』 


 煙と共に大魔王化したファンクの巨体が出現する。


 それを見上げて北の大魔王が腰を抜かす。

「ひっ!? ひやぁあああ!」


 叫びながら失禁する北の魔王を見てネムが顔をしかめる。

「情けないなぁ、魔王のクセに」


 ところが、ギルバートも尻もちをついて震えている。


 それを見てラルクが呆れる。

「なんでお前までビビるんだよ。何回も見てるだろ?」


「い、いえ……何回見てもチビりますよ」

「チビるのかよ!?」


「ま、まあ、慣れてきたので量は減りましたけど」


 ファンクは小指の爪を北の魔王のガウンに引っ掛けて凄む。

「フ〇ック! 俺をどうするって?」


 宙ぶらりんになった北の魔王は、ガウンの下に何もつけていない。

 なので、裸が丸見えだ。

 下から見上げると丸出しの下半身が、どうしても目に入ってしまう。


 ラルクがゲンナリする。

「汚い絵面えづらだな……」


 爪に吊られた北の魔王はジタバタする。

「あ、あわわわ、ひえっ」


「フ〇ック! お前、石鹸臭いぞ? さては、またハーレムごっこしてやがったな?」


「ひええええ! も、も、申し訳ありましぇん!」


「ファッキン・ドングリみたいなポコチン見せやがって! 引っこ抜くぞ?」


「いやいやイヤン、でひゅ! 勘弁してくだちい!」


「ファ〇ク! 嫌なら質問に答えろ。カロンの野郎が真魔王だと? 奴は何を企んでる?」


「し、知りませんよぅ! ボクチンに言われても!」


「ファ〇ク! お前、何か命令されてるんだってな? さっき下で変態親父に会ったぞ?」

 

 そこでギルバートが見上げながら抗議する。

「父上は変態ではありません! 変態という名の紳士です!」


「ファッ〇……どっちでもいいが、あのオッサンはお前を監視しに来たんじゃねぇのか?」


「ふ、ふぁい。そうです。ボクチンが、ちゃんと連邦政府をきつけてるかどうかを」


「フ〇ック! やっぱりそうか! サブンの政府が戦争する気になってんのは、お前のせいなんだな!」


「ぼ、ぼ、ボクチンの意思じゃないれす! そういう命令なんですって!」


 ラルクとギルバートが下で怒鳴る。

「やっぱりそうか! ふざけるな! お前のせいで少数民族が酷い目に遭ってるんだぞ!」

「そうですよ! 戦争まっしぐらじゃないですか! 戦争反対派を弾圧するなんて!」


 北の大魔王が足をバタバタ、股間のドングリをフリフリしながら反論する。

「そ、それは連邦の権力者たちが勝手にやってることでしょ? ボクチンは悪くない!」


「ファ〇ク! で、カロンの野郎は、今どこにいる?」


「し、知りましぇん! 教えてくれないですよぅ! 西の魔王のところじゃないですか?」


「フ〇ック! ハミマか……てことは、西の魔王もハミマ政府に戦争させようとしてんだな?」


「しょ、しょうですぅ……ボクチンと同じですぅ」


 ラルクが下から声を掛ける。

「どうするファンク? このまま南下して西に向かうか?」


「ファ〇ク……いや。お前の呪印を解くのが先だ。今のままじゃ、カロンのテイムに対抗できねえ」


「そうだった! あのクソ親父を倒すには俺のテイムを進化させないと……」


 カロンのテイムは言葉だけで相手を服従させることができる。

 大魔王のファンクですら、その能力に敗れてしまった。


 ワルデンガ島で能力の差を見せつけられたことを思い出してラルクは唇をかんだ。。


「ファッ〇! 満月の夜までにラーソンに戻るのが先だ! ドク爺さんに教わった呪印の解除方法を試してみるんだ!」


 そこで北の魔王がモジモジする。

「あ、あのう、そろそろ下ろして貰えないでしょうか? さっきからお腹が冷えて……」


 ガウンがはだけて露になったお腹から『ゴロゴロ』と、不穏な音。


「あっ、あっ、ああっ! も、漏れるぅ!」


 それを見てラルクが慌てる。

「まずい! このままじゃ、下痢の雨が降るぞ!」


「いやだ! 汚ったなぁい!」と、ネムも逃げ出す。


 ギルバートはなぜか暢気のんきに頷いている。

「分かります! その痛み! そういう時ってありますよねぇ」


 苦痛に顔を歪める北の魔王。

「あああああ! 駄目だぁああ! 漏れりゅぅうううう!」


「フ〇ック! うるせえ!」


 ファンクが軽く手首を振る。

 北の大魔王は『ヒュッ』と、飛ばされて、『びたーん!』と、壁に激突した。


 そして限界を迎える。

「ああああああああ!」


『ブリュリュブリブリ、ブベッ、ポペル、ブブブブリブリラリアラ、ブブブブ、ぷぺぇ、ブッブッブリブリ、ブポッ、ブブピィーブリュリュ』


 思わずラルクが「長えよ!」と、突っ込む。


 一方、ギルバートの目は魔王の醜態にくぎ付けだ。

「す、凄い! 負けた……脱帽です!」


 まるで壁に貼り付いた濡れタオルが剥がれて落ちるみたいに、一時的に壁に張り付いていた北の大魔王は、自らの汚物溜りに落ちた。


 ネムがゲンナリする。

「汚いなぁ! 最っ低! あんなのが魔王とか信じらんない」


 だが、ギルバートは弁護する。

「まあまあ、ネムさん。許してやりましょうよ。便を憎んで人を憎まず、です」


 汚物を撒き散らした床を背に茫然と天井を見上げる北の大魔王。


「ファッキン・ざまあ、だな」


 カロンに寝返っただけでなく、ファンクを舐め切っていた北の魔王には、キツイお仕置きになった。


 ファンクが北の魔王に命じる。

「フ〇ック! とにかく、お前はサブンの連邦政府に戦争を諦めさせろ! それから戦争反対派とか、独立運動とかを武力で押さえつけないように指導しろ!」


 北の魔王は天井を見上げながら「はぁ」と、気のない返事をする。


「ファァアアック! 返事は!?」

 大魔王の一喝は、建物を揺るがすような迫力だ。


「は、はひぃっ!」と、北の魔王が怯えながら返事をする。


「ファ〇ク! 次に来た時に査定すっからな! 場合によってはクビにするぞ!」


 ファンクに脅されて北の魔王は、サブン連邦政府に戦争を止めさせるように動くことになった。


 既にサブンの軍隊は、ラルク達の活躍によって、かなりのダメージを負っているので、後ろ盾となっていた北の魔王が手を引けば、開戦寸前の緊迫した状況は改善されるに違いない。


 だが、ラルクは懸念する。

「けど、また裏切るんじゃないか? 真魔王に指示されたら……」


 ネムも信用していない。

「そうねぇ。なんか頼りないというか、クズっぽいし」


 ラルク達の心配を受けてファンクが北の魔王に念押しする。

「ファ〇ク! 次に裏切りやがったら、そのドングリみたいなポコチン引っこ抜いて、ユルユルのケツ穴に突っ込むぞ!」


 その脅しに「ひょえぇええ!」と、パニックに陥る北の魔王。


 その様子では、さすがにファンクの言いつけは守るだろう。


 無事にファンクの目的を達成して、ラルク達は魔王の城をあとにした。


     *   *     *


 いったん、ナルゲン族の隠れ村に戻ってチキ達と合流する。


 そして一気にハミマ共和国を突っ切ってラーソンに戻るための行程を確認した。


 テーブルに広げた地図を囲みながら皆で相談する。

「フ〇ック! ハミマまでは来た道を戻れば大丈夫だろ」


 ラルクが頷く。

「ああ。入国する時に通った国境の峡谷だな。あそこの軍隊は一掃したから問題ない」


 チキが腕組みしながら眉間にしわを寄せる。

「問題はハミマですわね。今、どういう状況なのでしょう?」


 ハミマ共和国は、真魔王カロンの意向を受けた西の魔王が背後で糸を引いていることは確実だ。


 それは北の魔王の証言で裏付けられている。


 周辺国との戦争にまっしぐらなハミマが国境に軍を集結させていることは、容易に想像できた。


 ギルバートが怯える。

「い、嫌ですよ。サブンを出た途端に袋叩きにされるのは……」


「強行突破するしかないな。俺の呪印を解くにはラーソンに戻らないと。次の満月まで日が無い」


「フ〇ック! なるようになるだろ。行ってみなきゃ分かんねえ」


 満月の夜までにラーソンに戻りたいところだが、ハミマ共和国内をどのように縦断するかが問題だ。


 ラルクは、ごり押しで押し通るつもりのようだが……。


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