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天才テイマー!?

 空が黒く染まるほど大量のドラゴン。

 その数、軽く100体は越えている。

 それがネムの上空を中心にひしめき合っている。

 

 ラルクが「こ、これは……」と、呻く。


 チキが口をポカンと開けて空を見上げる。

「あれが全部ドラゴンですの……」


 ギルバードが腰を抜かす。

「ひっ! 食べられるっ! ちびりそう……」


 ネムは笑顔で言う。

「大丈夫♪ みんな友達だよ?」


「フ〇ック! モンスターを飼い慣らすのがテイマー本来のスキルだが……このクラスのドラゴンを同時にだと? ありえねえ!」


 ネムは無邪気に説明する。

「お兄ちゃんに教わったテイムの練習しようと思って、夜中に色んな所に忍び込んだの。でも、どうしてか分からないけど、ドラゴンの雄だけがやたらと懐いてくるのよね~」


 ラルクが引きつった顔で尋ねる。

「ドラゴンだけなのか? テイムが効くのは?」


「そうねぇ、他の動物も言うことは聞くんだけど、檻を破ってまで付いてくるのはドラゴンばかりだね」


 それを聞いてラルクが胸をなでおろす。

「そ、そっか。じゃあ、盗んだんじゃなく、勝手にドラゴンが脱走してきたというわけか」


 そこで山賊の親分が胸を張る。

「おうよ! 俺たちゃ盗みなんぞしてねえ!」


 ラルクがジロリと親分を見る。

「そういえばお前、頭に巻いてるソレ。新調したのか?」

「前はンコ巻いてたでしゅ」


「ウンコじゃねえ! 洗ったんだっつううの!」

 山賊の親分のターバンは、本来は黄色なのに汚れていただけらしい。


「なんだよ。汚れすぎてたから茶色だったんだな」

「ンコ色でしゅ! ばっちいでしゅ」


 ギルバートとファンクは飛び交うドラゴンを観察しながら感心する。

「あれはシャイン・ドラゴンですね。キラキラしてて綺麗です」

「ファ〇ク! ああ見えてヤバい光線を吐くんだぜ」


「あの緑色のなんか利口そうですよね?」

「ファッキン・エバー・ドラゴンだな! にしても希少なドラゴンだらけじゃねえか! 獰猛どうもうな奴も少なくない」


「あはは……このドラゴン達がいれば一国を壊滅させることができますね」


 そこでなぜかトカゲの兄弟がイキりだす。

「おうおう! 先生を舐めんなよ?」

「舐めるといっても唾液をつけるってことじゃないぞ!」


「先生の本気を見たか? 先生は凄いだろ?」

「これが先生の『ミのチカラ』なんだぞ!」


 そこでトカゲの片割れが「ん?」と、変な顔をする。

「おい! ミのチカラってなんだ? それをいうなら『実力』だろ!」

「そうなのかあんちゃん? 『じつりょく』って読むんだ!」


 ファンクがゲンナリする。

「フ〇ック……ミの力ってギルバートじゃあるまいし」


 トカゲ兄弟の独演会は続く。

「こんだけのドラゴンを手下にしてるんだぞ!」

「そうだ、そうだ! 先生はドラゴンの王様だい!」


「いや、違うぞ! 先生は女だ。王様じゃない」

「そっか! 兄ちゃん、鋭いな! じゃあ、ドラゴンの王女様だ!」


「おいおい。王女は子供だ。女王様だろ!」

「そうなのか! 兄ちゃんは物知りだなぁ!」


 相変わらずのバカ兄弟ぶりをスルーしてラルクがネムに尋ねる。

「ネムネム。どうしてラーソンに行こうとしてたんだ?」


「ああ、それね。なんだかドロボーに間違えられて追いかけ回されてたから。それに、お母さんの行方、手掛かりを見つけたの」


「あの女……やっぱり会うつもりなんだな」

「うん。やっぱり会いたいから」


 ラルクがネムを連れて家出をする原因となった母親……。

 正直、ラルクは二度と会いたくないと思っている。


 ラルクは、やれやれと首を振って、ため息をつく。 

「こっちはクソ親父に会った」

「え? お父さん? 生きてたの?」


「ああ。とんでもねえクソ野郎だった」

「ええっ!? でも、また家族みんなで一緒に過ごせるかも?」


「それはどうかな。あの親父は、そういう人間じゃない。むしろ、魔王をそそのかして、この世界を無茶苦茶にしようとしている」

「うっそぉ! それって酷くない?」


「とにかく、あのクソ親父こそ元凶だったんだ。奴を倒さないことには平和な暮らしなんてできっこない。俺も酷い目にあわされたしな」


「ファ〇ク! カロンはとんでもねぇ野郎だ。おそらく、奴はもう普通の人間じゃねえ」


「僕も穴の仇! いえ、父上の穴の仇を取りたいです!」


「そうなのですわ。今はダーリンの呪印を解いて、義父様に『ざまあ』することが目的ですの。それが終わったらアッチョンブリ家で暮らしましょう!」


「なんだよ……既定路線かよ」

 ラルクは小さくぼやくがチキとネムはすっかり、その気になっている。


「わあ! 素敵! お義姉さまのおうちに住めるなんて」

「大歓迎ですわ。私もダーリンも賑やかなほうが嬉しいですもの」


「フ〇ック! そろそろ町の連中がパニックになるぞ?」

「そ、そうですよ! ここを離れた方がいいです!」


 町の上空にドラゴンが100頭以上集っているというのは異様な光景だ。

 既に異変に気付いた住民の人だかりができている。


 そこでネムが空に向かって叫ぶ。

「みんな解散!」


 するとドラゴン達は蜘蛛の子を散らすように思い思いの方向に颯爽と飛び去って行った。


 ラルク達も逃げるように郊外に移動する。


     *     *     *


 ネム達が指名手配されているので宿には泊まれない。

 なので、ラルク達は山に近い森の中で野宿をしていた。


「ネムネム。一緒に来るよな?」

「そうだね。ハミマには居られないし。サブンは寒そうだけど」


「フ〇ック! 山賊どもはどうすんだ? あいつらも連れていくのか?」


 ラルクが首を竦める。

「置いていけばいい。足手まといだからな。というか、ネムネム。仲間は選んだ方がいいぞ? 兄としてアレはちょっと……」


 ラルクの言葉に山賊の親分が狼狽うろたえる。

「そ、そんなぁ! せんせー! 捨てないでくだせえ!」


 トカゲの兄弟も必死に訴える。

「おいら、兄ちゃんと一緒に頑張るから! 連れて行って!」

「先生無しで俺ら兄弟は生きていけねえ!」


「ちゃんと歯磨きもする! ウンチもトイレでするから!」

「見捨てないで! 良い子にさせるから!」


 ネムが困った顔をする。

「いっつも、これなのよねぇ。いい加減、自立して欲しいんだけど」


 ギルバートが心配そうに言う。

「しかし、この人数で行動するのは危険じゃないですか? 少なくともハミマ国内は戦時中ですし、この人達は指名手配中ですからね」


「ファッキン・戒厳令かいげんれいがしかれる可能性もあるしな」


 しばらく考えてラルクが決断した。

「ネム、飛ぶのが速いドラゴンを4頭、見繕ってくれ」


「え? いいけど、どうするの? お兄ちゃん」


 ラルクは宣言する。

「もちろん、強行突破だ!」



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