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魔王軍の攻勢

 玉座へ続く扉をまもるガーゴイルの石像。

 そのうち、一体はラルク達が始末した。


 一方、もう一体のガーゴイルにグラン達は苦戦している。


 リッツは「こいつ、速すぎだよ!」と、やたらめっぽう斧を振り回す。

 バルガードの魔法も空振りばかり。

 ティナは回復魔法で手一杯、グランも防戦一方だ。


 ラルクは小さくため息をついて手助けしてやることにした。

「やれやれ。じゃあ、ちょっとだけテイムを」


 そこでテイムを発動してガーゴイルを足止めする。

 

 敵が無防備になったところにリッツの大技が炸裂する。

「どりゃっ! 回転猛虎斬り!」


 前方宙返りの勢いを利用して斧を叩き込むリッツ。

 ガーゴイルの肩口に斧が『ドスッ!』と、深く命中する。


 続いてグランが「ギガント・スラッシュ!」と、剣技を放ち、ガーゴイルの羽の付け根を豪快に斬った。


「よし!」と、リッツがガッツポーズ。

 グランも手応えを感じたようで「決まった!」と、決めポーズ。


 だが、ガーゴイルは、さほどダメージを受けていない。

『グギャーオ!』と、羽を震わせ、かえって動きを活性化させた。


「そ、そんな!」と、リッツが目を見開く。

「あり得ねえ!」と、グランも棒立ちだ。


 そこに怒り狂ったガーゴイルが飛び掛かる。


「まったく、世話がやける連中だ」

 ラルクは仕方なく、もう一度テイムを発動した。


 ラルクの動きをトレースしたガーゴイルは引っ掻き攻撃をキャンセルして半回転する。

 そして深くお辞儀する。


「今だ!」と、ガルバードが氷柱つららの大群をガーゴイルの頭上から降らせる。


『ズドドドド』と、結構な密度の氷柱が大量に落下してガーゴイルを包んだ。


 ガルバードが肩で息をしながら一息つく。

「ふぅ。弱点特攻。少しオーバーキルしてしまったかな……」


 ところが、氷の破片がきらめく白の空気がけると原型を保ったガーゴイルが現れた。


「なに!?」と、ガルバードが驚愕する。

 そこに『グゥワォウ!』と、ガーゴイルが飛び掛かってくる。


『ガリッ!』

 ガルバードを狙った爪は、寸前で方向を変えられて壁を引っ掻いた。

 ラルクがテイムで攻撃を逸らしたのだ。


 ラルクがピピカに指示する。

「ピピカ! やるぞ!」


「あい」と、ピピカがドングリをひと粒、壁際に落とす。

 そしてスキル発動の準備を整える。


 ラルクは「こっちだ!」と、ガーゴイルの注意を引き付ける。

 それに反応したガーゴイルが低空飛行でラルク目掛けて加速する。


「ピピカ!」「あい!」


『ポフン』に続いて『ガツッ!』という音が生じる。

 それはガーゴイルが頭から壁に突っ込んだ衝撃音だった。


 壁際のドングリと位置を強制交換されたガーゴイルは、壁に激突してよろめく。

 すかさずチキが『ぼええええ!』と、渾身のゲロ!


『シュゥウウ!』

 湯気のような白い冷気がガーゴイルの頭部を凍らせる。


 そこにラルクが、とどめの木槌をふるう。


『パリィンッ!』


 木槌で殴られたガーゴイルは、まるでガラス細工を落としてしまった時のような高音を発して粉々に砕け散った。


「あれ?」と、ラルクが思わぬ手応えに戸惑う。

 そして転がっている胸から下だけになった石像と木槌を見比べる。

「なんか、割れたような音がしたぞ?」


 ラルクが首を傾げていると、ガルバードが呻く。

「ううむ……絶対零度か。何という強力な氷魔法……」


 ガルバードはチキに尋ねる。

「教えてくれ。今の魔法は氷魔法の最上級だな? どこで覚えた?」


 だが、チキは困ったような顔で答える。

「ただの氷結草ですわよ?」


「嘘をつけ! あれほどの威力が草なんかで出せるはずがない」

 ガルバードはまるで信じようとはしない。

 

 そこでチキが残りゲロを『ぺっ』と、床に吐いた。

 真っ青な絨毯に落ちたゲロの周辺が『シュゥウウ』と、激しく凍る。


 ガルバードが、しゃがんでそれを観察する。

 そして、胸ポケットから出したペンの先で『つんつん』と、絨毯の白い箇所を突く。

 すると、あっという間にペン先が凍ってしまった。


「こ、これは……」

 ガルバードが指先でペンを弾いて振動を与えると、凍ったペン先が『ペキペキ』と、崩れて粉々になった。


 呆れるやら驚くやらでガルバードが「何なんだ? お前は?」と、チキを見る。


 一方、リッツとグランは、ラルクの木槌に群がる。

「あんた! この武器は何なんだい? あのガーゴイルを一撃とか信じらんないよ!」

「ラルク! ずるいぞ! ひとりだけそんな強力な武器を使いやがって!」


「いや、ただの『木槌』なんだが?」


「へ!? 木? ただの木槌だと!?」

「嘘だろ!? うちの斧でも効かなかった相手に?」


 ティナはドングリを拾い上げて、ピピカに目を向ける。

「このドングリ……まさか、入れ替えた? 場所を……」


「フ〇ック! さっさと行くぞ! 玉座がある間は扉の向こうだ」


 ラルク達の能力の凄さ。それに気付き始めたグラン達。

 ガーゴイルとの戦いで差を見せつけられたグラン達はテンションが下がりまくっている。


 口数も少なくグラン達は、ラルクに続いて扉の前までついてきた。


「この先だな」と、ラルクが扉を押し開く。


 扉は簡単に開いた。


「これは凄いですわね!」

 広い部屋だ。謁見の間という造り。

 そして、壁際に全身鎧の兵がズラリと並んでいる。衛兵の代わりなのだろうか。


 ギルバートが「また動き出したりして」と、苦笑する。

 すると、室内の至る所で『キィキィ』と、金属を引っ掻くような音がして、やがてそれが一斉に鎧兵の動きとなって強まった。


「う、う、う、動いたぁ!」と、尻もちをつくギルバート。

「あなたが変なフラグ立てるから!」と、チキが叱る。


 グランも動揺を隠せない。

「す、すごい数だぞ! 30体はくだらない」


 ガルバードが警戒する。

「おそらく、個々の戦闘力も相当なはず。さっきのガーゴイルと同等……いやそれ以上かもしれん」


 ティナは半泣きで逃げたそうにしている。

「嘘でしょ? さっきのであんなに苦戦したのに?」


「バカ! ビビんな!」と、リッツは気丈に振舞うが足が震えている。


 その間にも鎧兵の集団は、ぎこちない歩みではあるが、徐々に包囲網を狭めてくる。


 チキがファンクに尋ねる。

「あの鎧兵は何のモンスターですの?」


「フ〇ック! 鎧が生きてるわけじゃねえ。中の寄生虫が動かしてんだ」

「弱点は何ですの?」

「ファッキン・火だな」


 それを聞いてチキはポシェットに手を突っ込むが、ハッとする。

「まずいですわ! これじゃ足りないかも?」


 立ち尽くすグラン達をしり目にギルバートが前に出る。

「仕方がありませんね。僕がやります」


「ファ〇ク! お前、何色の屁を使うつもりだ?」

 ラルクも心配する。

「本当に大丈夫か?」


「ええ」と、ギルバートは自信を見せる。

「密かに開発していた技を、ついに披露するときがやってきましたよ!」


 そう言ってギルバートは胸を張った。


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