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まだ未定  作者: rei.
第1章
8/15

8.




「どういうこと?」



響様は首を傾げる。



「居酒屋のチェーン店ってさ、どっこにでもあるの!地方だろうとなんだろうと!別に高校生の私には非常にどうでもいいんだけどね」



そして響様に詰め寄った。



「なんでないんじゃい」


「実花、キャラが崩壊してる」



実花は「なんでないんじゃい」ともう一度凄んでみるが、響様は知らぬ存ぜぬで通すらしく、「細かいことは気にするな」とまた肩を叩こうとしてきた。それを素早い動きで避ける。そして地面に座り込んだ。



「響様がちゃんと答えてくれるまで私、動かない」


「居酒屋のことなんて気にしなくていいじゃん」



私は無言で響様を睨みつけた。すると、「わかったよ」と言って私の手を離す。



「実花、ここで待ってて」



そう言って、近くの店の中へと入っていった。



「・・・なんだ」



ショッピングしたかっただけなんだ。デート自体はどうでもよかったってことね。面倒くさいから置いてかれたってことね。あぁ、そうですか、はい、そうですか。



「・・・普通に腹立つ」



私はそのまま思い切り立ち上がると、足を踏み鳴らしながらその場を離れた。


イケメンだからってしていいことと悪いことがある。彼氏いない歴=年齢でも私は一応レディなんだから。あぁ、てかこのくだりいい加減悲しくなってくる。



「勝手にすればいいわ」



私は自販機が側にあるベンチを見つけ、ドカッと座り込んだ。端に座っていたイチャイチャしたバカップルが「いこうぜ」と席を立つ。その後ろ姿に舌を出すと、苛々を抑えられず頭をグシャグシャにした。


なんだか悲しくなってくる。



「なんで怒りの後って悲しみが襲ってくるんだろう。火を水で鎮火して気持ちを鎮めるってことなのかな?」



そんなどうでもいい台詞を口走りながら、目尻を拭う。


喉は乾かないが、飲み物でも買おうと服を探るが、やはり財布は出てこない。それに携帯すらない。ため息をつく。



「こんなとこ・・・くるんじゃなかった」



口に出すと更に悲しくなり、涙が落ちた。





(響様は私を探しているだろうか。戻った方がいいかな、やっぱり。私の勘違いって可能性もある・・し)



重い頭を上げ、立ち上がる。すると何人かの若い男がこちらに近づいてくるのが見えた。



(あー、やばい。これフラグたってるな)



できるだけ下を向いて、早歩きで通り過ぎようとしたとき、「ねぇねぇ」と声をかけられた。



「あのさ–––」



恐る恐る顔を上げようとしたとき、話しかけてきた男が凄い勢いで目の前から飛んでいった。



「え?え?」



周りでテンパっている男たちも次々と飛ばされていく。



「実花っ!」



(えー・・・)



顔を上げると私の前に響様が立ち塞がった。



「お前ら、実花に何をした!」



(いや、まだ、「あのさ」しか話しかけられてない・・・)



心の中で軽くツッコミを入れつつ、男たちの言葉を待つ。最初に吹っ飛んだ男が辛うじて意識があり、震える指で何かを指している。



「そんなハッタリは聞かないぞ」



(いや、もう戦闘不能状態だろ、そいつ)



私が指差した方を向く。男たちの訴えたかったことを理解し、「響様、行きますよー」と手を引いた。


そして意識を朦朧とさせている男に「本当にごめんなさい!忠告ありがとうございます!」と深々と頭を下げた。男は笑顔で親指を立てると、そのまま意識を失った。



「はい、行きましょー」


「ちょっ、まっ、え?」




状況が理解できない響様を引っ張って、その場を離れた。




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