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まだ未定  作者: rei.
第1章
2/15

2.




「あー、さっぱりした」



夜ご飯を食べ、お風呂に入った私は部屋に戻ってきた。光様の抱き枕に飛び込む。私にとってはこの瞬間が一番の至福の時だった。



「あ、そういえば明日テストじゃん」



ため息をつく。この前のテストは赤点で、ママに見せたらめちゃくちゃ怒られた。その時のことを思い出すと寒気がした。



「だるー」



勉強机に座る。鞄から教科書を乱暴に取り出し、ノートを広げた。


一旦やり出すと止まらなくなる。別に楽しい訳ではないが、夢中で目の前のことに打ち込めるところも自分の好きなところの1つだ。


時計を見るといつの間にか2時間も経っていた。



「まだ30分くらいかと思った」



そう言いながらも教科書をめくる手や、ペンは止まらない。


しばらくしてまた時計を見ると、始めてから5時間も経っていた。凝り固まった体をほぐすように伸びをする。



「キリいいし、やーめた!」



教科書を鞄の中に放り投げ、ノートをそのままにベッドにダイブする。



「すごいなー、私の集中力」



疲れが一気にきたのか、頭の中を整理する間もなく、眠気が襲ってきた。



「明日のテストはこれで–––」



言い終わる前に私は意識を失くした。




「み––・・!」


「みか!」



呼ばれて我に返る。



「え?」


「どうしたの?実花、いきなりボーッとして」



辺りを見渡す。



「デート中だってのに。全く」



私は俯きながら苦笑いをした。



「ご、ごめんね」



そう言いながら、声のした方をチラッと盗み見る。


途端に目が離せなくなった。


頬づえをついてふてくされたような顔をする男性。正面からは見てないが、光様にそっくりだった。



(でもこれは現実の世界・・だよね)



椅子から立ち上がり、角度を変えてまじまじと見てしまう。



「な、なんだよ」



頬を染めながらもこちらをムスッとした表情で見つめ返してくる。ドキドキしてしまう。


でも人間だ。普通の。


光様じゃない。



(でもこうもアニメのキャラと似ている人がこの世に–––)



その時、不意に顎を掴まれた。



「そんなに俺の顔見つめて・・・どうしたの?」



不敵な笑みを浮かべた顔が目の前にある。



(ち、近い・・・!)



「うわーい!」



気づいたら偽光様は吹っ飛んでいた。私は震えながら自分の手を見る。



「な、なに?この力は–––!」



そして天を仰いだ。



「こんな厨二まがいな・・・こっ、ここはどこ?私はだ–––」



そこまで言いかけて頭を小突かれる。



「そこじゃないだろ」



我に返り、偽光様を見ると腕を組んでそっぽを向いていた。



「なぜあんなに俺を見つめていたんだ」


「え?」



恥ずかしくなり、下を向く。



「それに俺を殴る時「うわーい」と言ったのはなぜだ?喜んでたのか?嫌だったのか?感情がまるでわからん」


「あ、あれは、ビックリすると出てしまう・・・掛け声的な?」



指を合わせてモジモジしていると、頭上に影が落ち、頭を撫でられた。



「まぁ、お前は変わってるからな。俺のツッコミは収まらんが良しとしよう」



許してくれたことに感動し、顔を上げる。



「許してくれるの?ありがとう!偽光様!」



すると今度は頬を片手で潰される。



「うぶっ」


「偽光様とは誰のことだ」



少し怒ったような顔をしている。



「あ、ごめんなさい。名前が・・その–––」


(思い出せないって言ったら傷つけちゃうよね)



「あぁ、そういえば名乗ってなかったよな」



「え?」


(デートするほどの仲なのに名乗ってない?)



「俺は、響だ」


「響・・様。いや、デートする間柄なのに様はおかしいか。響くん・・響さん・・・うん、響様だ」



腑に落ちないところはあったけど、無理矢理納得し、笑顔を作った。



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