11.
やっとのことで私たちは注文し、席に着く。
「並ぶ前はそんなに人がいるように見えなかったのにね・・・」
「あぁ、無駄に疲れたな。ごめんな」
「別にいいけど・・・。自販機のジュースでもよかったんじゃない?」
疲れてテーブルの上でだらける。注文したタピオカ入りのミルクティーをジッと見つめた。
「まぁまぁ、そう言わずに。改めて一息つこうではないか」
響様はタピオカ入りのメロンソーダを飲んでいた。あまり聞いたことのない組み合わせだったので、ゲテモノ好きなのかと思ったが、本人はとても美味しそうに飲んでいる。
(まぁ、いいや)
そこはスルーすることにして本題を切り出すことにした。ミルクティーを一口飲み、手を組む。
「それで、ここが異世界ってどういうことなの?」
響様はまた一口メロンソーダを飲むと、「どういうことって・・・どういう意味?」と聞いてきた。
「ここは夢の中とは違うの?」
「うん、ここはれっきとした現実だよ」
「私は今起きている状況ってこと?」
「まぁ、そういうことになるよね」
響様がメロンソーダを飲む。私もまた一口飲んだ。
「じゃあ本当に連れてきたんだ」
「んー・・・まぁ、そうだね」
「なにその間」
「いや、特に深い意味はないよ。まだ飲み終わってないけど行こうか」
響様が席を立ったので、私も席を立つ。はぐらかされた感じもあったが、気にしないようにした。
そのままエスカレーターを上がって、ルンルン気分の響様にひたすらついていく。男性用のものを見るのかと思いきや、立ち寄るのは女性もののショップばかりだった。気になったものを1つ1つ手にとっては私に合わせ吟味する。「これは違うな。これはどうかな」などと独り言も聞こえた。
「さっきから何してるの?」
「いや、実花に似合うのあるかなーと思って」
そう言いながら服をまた合わせる。
「んー、どれも似合ってるんだけどね。ビビッとくるやつには出会わないね」
服を戻し、私の手を引いてしょんぼりした様子で店を出た。
「別に私の服なんていいのに・・・」
「だって、さっきのペンキで汚れてしまっているし。そのワンピースも可愛かったけど、他にも似合うのが絶対–––」
言い終わる前に、また別の店を見つけたのか、スキップをしだした。私はため息をつく。