韓国へのフッ化水素輸出に関わるゴタゴタは制裁なのか? という話
政府は6月30日に、韓国を『ホワイト国』から除外し、スマートフォンなどの製造に必要な材料の韓国向け輸出規制を強化すると発表した。
なんぞ報道を見ると、『半導体材料を事実上の禁輸』だの『対韓輸出規制を発動』など、『自由貿易を掲げてきた日本へ各国から批判が集まる懸念もある』やら『各国に恣意的なルール変更ともとられかねない』といった指摘などなど、徴用工問題だの韓国軍の行為に対する制裁かのように報道されている。
まずそもそも、これは輸出規制を発動するって話では無い。本来、輸出の契約ごとに「個別許可」が必要なところを、3年間有効な「包括許可」を得ればいつでも輸出できる特別優遇措置を2004年の小泉政権下で韓国に与えていたが、この度、その優遇措置をそれ以前の、”一般国と同じ扱いにする”というだけの話である。
こうした特別優遇措置を受けられるかは、あくまでも”輸出管理の観点”で信頼できるかどうかで分類される。この貿易分類は4種類で、ホワイト国、非ホワイト(一般国)、懸念国、武器輸出禁止国に分けられる。
懸念国とは、内情は不安定で戦争しそうな国。北朝鮮、イラク、イランの3国が指定されている。武器輸出禁輸国とは、国連に指定されたヤベ~国々が11か国ある。その中には当然、北朝鮮も含まれる。
安全保障の友好国が「ホワイト国」であるかのように解説している報道もあるが、インド太平洋戦略を共有するインドや海上共同訓練をするインドネシアなどもホワイト国ではなく、個別許可な一般国である。また欧州連合(EU)が輸出管理のうえで特別優遇しているのは日本を含めて8カ国で、これに韓国は入っていない。
勘の良い人は、もう言わんとする事が判っているだろう。この度、輸出管理が強化された品目はすべて軍事転用が可能な代物だ。民生品の軍事転用という事は広く行われ、巧妙化している。自動車を作る工作機械が兵器を作る機械に、海水を淡水化するろ過シートも細菌兵器の製造に転用できる。こうした代物を北朝鮮のような国は欲しがっている訳だ。輸出も第三国を介して行うなど巧妙化している。そして、フッ化水素などは、ウラン濃縮工程に使われる物資である。そう、北朝鮮は日本製品で核の抽出をしている訳である。北の抽出ウランはほとんどメイドインジャパンなわけだ。その核を向けられ脅されておる訳。
これまでのように、韓国をホワイト国に指定し「包括許可」という甘い審査を継続していること自体が問題になるだろう。日本がテロ支援国家という事になりかねない。というか他人事でなく、完全に自分事である。北朝鮮はスカンジナビア半島にあるわけではない。九州から僅か200Kmにある朝鮮半島にあるのである。こんなことは、経済制裁とかそういう次元でなく、なんでやってなかったの? というレベルの話だ。