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16~19

 夜酒 ~君の香りに溺れて酔うも酒の所為か~


 それほど多くの酒が手に入るとは、裕福な方なのでしょうか。それとも、産地の方の方なのでしょうか。

 そうした魅力的な産物のあるところならば、田舎もまた素敵だと思えます。

 私が行ってしまったらそこはもう田舎ではなくなってしまい、新たな都となってしまうわけですから、私が田舎に住むという願いは叶いません。

 けれどたとえそこが都会になってしまったとしても、魅力的な産物がなくなるというわけではありません。

 ですから人が多く商業が発達しているだけの都会ではなくて、卑しいながらも何か一つでも取り立て出来立てを頂ける田舎をあえて選ぶようなことも、最近は気持ちがわかるような気がするのです。

 それでも奈良に勝る地はないと思いますけれど。


 話を伺ってみたらわかるものもあるでしょうか。

 しかしこの私が話を聞くような相手だとは思えませんでした。

 卑しくは見えませんけれど、身分を感じられないお姿です。

「術か何かで、頭でもおかしくなっているのですか?」

 恐る恐る尋ねてみますと、どこか虚ろな瞳を私に向けてくれました。

「言葉は、わかりますか?」

 もしかしたら同じ言語を使えるような人ではなくて、どこか本当に地方からお越しの方なのかと思い、尋ねてみました。

「……」

 これにも答えがないということは、やはり言葉がわからないのだということなのでしょうか。

 或いはすっかり術にやられているのではないかという可能性も私には考えられました。

 何にしても憐れでした。



 守護 ~いつでもあなたの傍で~


 これはまた、最高に憐れな方が現れたものです。

 何よりも欲しているものが手に入れられず、連鎖的とまで言えるほどに全てにおいて報われないのだというのですから、不憫でなりません。

 けれど私が同情などしてはそれはそれで……ね?

 私は全てを持っていて、この方は何も持っていません。

 ほら、そういうことでしょう?



 永久不滅 ~僕たち二人の愛は止まることを知らない~


 そうですか。

 これほど見ていてつまらないお二人はいないのではないかと私は思います。

 何か試練を与えてやらないではいけない気がしてしまうのですよね。

 そこにも私の力が届いていたならば、どれほど楽しかったことでしょうか。



 変化 ~種はいつの間にか植えてあった~


 戦争というのは、支配域を広げるように見せながら、支配力を縮小させるようなものでしかありません。

 その程度のこともわからない人が主だとは、これを悲劇と言わないでどうしましょう。

 私は幸せは提供しなくとも、平和は平等に作りましょうよ。


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