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夢大陸 ~届かない平安を求めて~
力がないというのはなんとも憐れなことですね。
私のように力を持っていましたら、このようなくだらない苦しみをする必要はないわけではありませんか。
「強い権力をお持ちなのでしたら、是非、私の家を守っていただきたいことです。強い後身を手にできたら、幸せはどれだけか確実となることでしょう」
姫君がすぐに何が賢いか悟ったのか、私にそう言ってきました。
気に入らないのは、この方が私自身も認めざるを得ないと思うほどに美しいことでした。私よりも美しいと、言うしかありませんでした。
これに対して、私の方が美しいなどと言っていますと、かえって虚しくなって来るくらいなのです。
それが救うのにも救う気がしませんでした。
このようなことを言っている方が私は虚しいに決まっておりますのに。
「意地の悪い人間が大きな力を持ってしまうと、大変なことになってしまいますものね」
たとえば、私のように。
嫉妬するのも馬鹿らしく思える美人です。
それどころか、これほどの美人を妻としている男の方に嫉妬をしてしまいそうになるのでした。
しかしよく見ると妙でもありました。
「本当に女の方?」
「あ……、いえ、すみません。騙すつもりはなかったのですけれど、はい、とある理由から女装をしていますけれど男です。私を女だと信じて通ってくださったこの方のことも騙してしまうことになってしまいました」
思ったとおりです。
意外だったのは、この方の秘密管理が徹底していたことでした。
「結婚するまで、性別を教えていらっしゃらなかったのですか? でしたら、よくそこから……」
中々のやり手だというわけですか。
「卑怯ですよね。惚れてくださったのを利用して、最初から私が男だって言っておけばこんなことにはならなかったはずですのに。歌なんて読まなければよかった。目にしないで変わらず構わないと捨てていれば、こうもまで惹かれることはありませんでした。結果として、戻れないところまでお互いに来てしまっていたわけです」
思った以上に正直なもので、これは可愛いと思わされるところがあります。
私の権力に縋ろうとしているのに、それが痛快でもなければ、そう腹立たしいものでもないだなんて。
これは新しいものでした。
何をどう言ったものでしょう。なんとも言いがたいのだから困りましょう。
「あなた、可愛いですね」
思わずこんなことを言ってしまうのでした。




