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「嫉妬とかはなさらないのですか? 私は少し、少しだけ、嫉妬してしまいますよ。いつだって私に愛を語ってくださるあの人しか、私は知らないわけですから……。別の女性とああもまで盛り上がっているとなると、下心はないとわかっていても、どうしてもね、おかしな気持ちが胸に宿ってしまうのです」
僕に話し掛けてくれた美人の姫君は、優雅な所作だけれど、同じ人間だと感じられるところがあって嬉しかった。
だけど嫉妬なんてするのは、その人も立派であって、釣り合っているからこそだ。
「僕には嫉妬などできません。あれほど雅な方が、少しでも僕のために時間を割いてくださるのが嬉しいのです」
姫君の目がそこに見えた。
彼女はじっと僕の方を見ている。
優雅な笑顔はもうどこにもなくなっていた。
「純情で素敵ですね。穢れてしまった私には、できないことなのですよ。どうしても嫉妬してしまうのですから、愚かで小さな心です」
まっすぐな瞳は宝石のような輝きを持っていた。
こんなにも美しい石を拾ったら、献上することさえできないで、紐に通して飾りでも作ってしまう。そうして外から見られないように、自分だけの飾り物にするんだ。
他の人から隠したい、こんな気持ちが嫉妬というものなのかな。
だったら、彼女の瞳に、僕はどうして嫉妬しているのだろう。
「あんまり男とは話してほしくありません」
やがて姫君にそう言う男性に、
「こちらだって同じ気持ちです。あんまりお美しい女性と、いいえそれだけでは済みません、あんまり私以外の人とは、お話をしてほしくありませんよ」
怒った様子で姫君も返す。
「裏切りはしないのだと信じておりますし、頼みとしておりますから、不安になるようなことはありませんけれど、それでも少し……寂しいな」
あの美しい瞳で男性を見上げているのかと思うと、二人は伝説に聞く七夕の二人なのではないかと思った。
二人の叶わない恋とは、二人を妨げていた人物とは……。
そんなことを考えて、僕は空を見上げた。




