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12、13


 夢大陸 ~届かない平安を求めて~


 どうして手の届かない恋ばかりなのだろうか。

 どうして不釣り合いな恋ばかりなのだろうか。

 どうして叶うことのない恋ばかりなのだろうか。

 幸せになれるなら、それはだれだって望むものに決まっている。

 だからこそその幸せが他人の幸せを妨げることになっているというのもあるのだろうけれど、僕には、それ自体が非道なことに思えた。

 神様はどうして幸せがそのまま当てはまる形に作ってくれなかったのだろうか。

 神様はどうして幸せが手に入らない作りにしてしまわれたのだろうか。


 必死さから解放されると、疑問ばかりが湧いてくるようだった。

 知らないことが多すぎるから、疑問に押し潰されそうだった。

 それは苦して、怪我でも病気でもないのに、なぜかひどく痛むのだった。その理由もわからなくて、その治し方もわからなくて、苦しくて、ただ知りたかった。

 知るのもまた、怖かった。

 知らない恐怖だったから、僕には何をしようもなかった。


 この人たちもまた神様によって苦しみを与えられているようなのである。

 どうして神様はそのようなことをなさるのだろう。

 神様の行動に対しては、疑問を持つこと自体が罪なのだとはわかっているのだけれど、そう思いながらも疑問は止まなかった。

 思うとおりにはならないことばかりで、自分のことさえ、いいやむしろ、自分の感情こそ思うとおりにはならなくて、それは苦しくてならないことなのだ。

 それならどうして、神様は人間をお作りになったのだろう。

 こんなことをする奴は、神様に魂を救っていただけない。

 わかっているけれど、振り払えないのだった。

 自分のこんな疑問を振り払えないのだ。

 こんな感情さえ、払えない。


 救いが、救いがほしかった。

「ちはやぶる神に望むる疑心だに消え給ひけれ行へばこそ」

 顔を隠している華やかな衣装の女性が、薄い木の皮みたいなものを渡してくれた。

 それが言葉を意味しているらしいことはわかった。

 記されている記号がそういう意味なのだろうか、女性は声を聞かせてくれた。

「私自身、恋心に塗れて溺れて欲望を抱えて、全てを奪われながら出家を考えもしていませんもの。信じる心を説けようはずもございませんけれどね」

 何を言ってくれているのだろうか、さっぱりである。

 神様の御心を代弁してくださっているのかもしれない。



 距離 ~背負う鎌倉の夢の夜に~


 兄弟の心が分かたれることは、どれだけ苦しいことだろう。

 一緒に君といられることが、僕には何よりだったから、君の他の人というものを僕は知らなかった。

 家族とか、そんなもの、何も。


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