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 夜空 ~それを飾るもの~


 一寸の虫どもに比べて人間が長い命を持っているように、人間に比べて星は長い命を持っています。

 それでも永遠ではない。

 移ろう世界の中に永遠というものは存在せず、どれもいつかに始まりがあり、どこかに終わりがある。始まりも終わりもないものは、存在していないのと同じことでした。

 もし星への憧れというものが独立したもので、永遠への憧れといったものが少しも含まれていないのであれば、彼の憧れはどんなにか美しいものであったことでしょう。

 彼はどれほど愚かなロマンティストだったことでしょう。


 承認欲求を強く持っているからには、認められたいなどとの願いを切実に抱えているからには、彼の願いは一途に星への美しさやら輝きのみに向けられたものではないようでした。

 その命の長さが、密かに彼自身にも気付かせずに彼を引き付けているもののようなのです。

 見れば見るだけに、見るほどに、彼は星に魅せられているようなのです。

 その圧倒的な凛とした輝きに惹き付けられているようでありながら、その半端なものではない大きな桁での星の運命に、見る時間の流れに惚れているようでもありました。

 星になりたい、その願いはその表れのようだとも言えました。


 永らえることを彼は望んでなどいないのが、何よりの矛盾点であり、何より深く暗い黒色、罪の色なのでした。

 星になりたいという願いを、永遠への憧れだとは思ってもいないのでした。

 ある意味では、自らの消滅という永遠を知っている彼は、生に執着するよりもずっと賢いものなのかもしれません。

 何より身近な永遠の場所を彼は知っていました。

 知っているからこそ、自分で意識して永遠の場所を探す必要がありませんでしたから、心の底で真実欲しているものに気付いていないというわけかもしれません。

 無自覚ならば、わざとそうしていることよりもずっと罪深いことでした。


 彼の頑なさは恐ろしいことであったでしょう。

 儚さを知っているがために、失うことへの恐怖心が、あまりにも大きすぎる執着の心を創り出して、彼から大切を奪ったのかもしれません。

 失いたくない自己保全のために、幸せをあえて突き飛ばしているのでしょう。

 そうして自分よりも必ず長く生きる、つまりは永遠とも言える星を心の在り処とした。最も自分を守ることが上手いやり方であるとも言えました。

 傷付くことをあまりにも恐れているがための道でありました。

 それにさえも、彼は気付く気配すらないようなのでした。



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