21~23
言葉 ~不器用なままで~
馬鹿みたいに外に出て、馬鹿みたいに星を見て、馬鹿みたいに魅せられて……。
僕は地学だけを学ぶことを決めた。それ以外を学ぶ気がしなかった。地学、加えて化学や物理学くらいしか、僕は学んでこなかった。
椅子に座って机に向かって勉強らしい勉強なんてしないで、空を見上げるばかりだった。
文学だとか言語学だとか医療だとか、それらについての知識は一切ない。
文字が読めない、耳が聞こえない、そんなことを僕は知らない。
僕が当たり前にできることを、できない人がいることを僕は知らない。
僕は自分勝手だから僕は知らないのだ。
自分のことしか僕は知らない。自分のことしか僕には考えられない。
話ができないというのは、会話ができないというのは、どういう状態なのだろうか。
僕にはわからなかった。
人と一緒におらず、星を見上げるばかりの僕にはわからない。
星と会話ができないのは当然のことだが、そういう状態になってしまうということなのだろうか。
しかし人を通せば会話にならないことはないのだろう?
じゃあ僕は、それじゃあ僕は、どうなんだろう。
人との会話自体が少ないのに、僕に気持ちを理解することができる人なのだろうか。
僕が理解できる何かとは、本当にあるのだろうか。
そもそも自分ではない何かについて、理解なんてものができるものなのだろうか。
病弱軍師 ~桜の花のように美しく散ることを彼が望まないのなら~
病気とも戦争とも縁のない場所で生まれ育っている僕はどれだけ幸せなことだろうか。
これからがどうであるかはわからないけれど、これからどうなっていくかなんて一切わかりようがないけれど、それでも僕は今のところとんでもない幸福の中を生きていることになる。
今現在でも紛争に巻き込まれている人はいくらでもいるし、この国でも戦争で荒れていた時代はいくらだってある。
それでも僕は場所も時代も運良く、こんなにも治安が良い。
僕はどこまで幸せなのだろう。
こうして好きに星を見られている、そんな時間があることを僕は心からありがたがらなければならないだろう。
星を見上げるのはいつだって、だれだってできる。
けれどこれをこうもまで楽しめているのは、僕が恵まれているからだ。
僕が恵まれているからこそなんだろうね。
人生 ~たった一度を楽しもう~
いろいろな世界の、いろいろな常識を見せられて、いろいろな心を見せられて、いろいろな日常を見せられて、いろいろな人生を見せられて、それで僕が学べたことはただそれだけなんだろう。
僕が思うことはただそれだけなんだろう。
ほんとにそれ!
美しい星空を眺めていられることに、なんだか誇りを持てる気がした。




