6~11
虹色 ~濁ってしまった色~
過去には戻れない。時間は戻せない。
僕はきっと虹色に夢を見て、すっかりそれを黒にしてしまうタイプの人間なのだろう。まんま、そうなのだろうな。
虹色への憧れが僕にはあんまりに強い。
だから濁らせてしまうのだろう。
でも僕が好きなのは夜。夜。夜。
つまりは僕は黒にされたとしても、それを好きでいられるのではないだろうか。
夜は好きだけれど、黒に染められることが好きなはずはない。それを望むはずはない。
夜への憧れは、虹への憧れと同じようなことなんだ。
僕は夜を暗いとは思うけれど、濁っているのだとは思わない。
美しいその色を僕は見てみたいものだ。
虹色を望んでしまうのは、悪いことなのだろうか。
来世 ~縄文の恋心~
恐怖 ~強くなれずに弥生の時を~
部屋の中に引き籠ったままでヒーローになれるなら、それはどれだけ愉快なことだろう。
僕は夜に憧れすぎてしまっている、この自分の痛々しささえ気付いてしまっている上で、好きなものを好きと言っている。夜を好きでいる。
けれどそれが英雄の思考だとはとても考えられはしない。
英雄というのものが、どういう姿であるかのイメージを持ってしまっているからかもしれない。
僕は偏見を抱えてしまっているのかもしれない。
死後 ~受け継いできた古墳~
人間というのはちっぽけだと思うことがある。
星を見ていると、よくある。
どうしたら永遠を恐れずにいられるだろうか。
永遠を望んでしまっているのに、ひどく恐れてしまっているのだから、心が苦しくてならないのだ。
死後も遺せるものは素晴らしいと思うけれど、それでもいつかはなくなってしまう。僕が生きた証も、僕が生きていたという事実も、すっかり消え去ってしまう。
それはどれだけ苦しいことだろう。
それはどれほどに痛いことなのだろうか。
夢 ~遥か遠く飛鳥~
忠犬 ~奈良の主はだぁれ?~
生にしがみ付いて独り善がりに偉そうにしていられるなら、楽しい人生を送れることだろう。
この人は本当に裕福で、本当に幸せな立場にある人なのかもしれないけれど、そうでなくても本心がそうと信じていればそれは簡単に辿り着ける境地だ。
反対に、どれだけ人から見て幸せだとしても、本人がそう思えていなければそうはあれないということだ。
美しいとは思わないが、それにしては憧れた。
僕は不幸ではない。
不幸な方ではないと思うのだけれど、この恐怖心のせいで僕は何があるでもないときからひどく苦しめられているのだ。
どこか苦しいのだ。
心も体も、ひどく、ひどく……。




