表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/274

23、24



 人生 ~たった一度を楽しもう~


 自分のペースで楽しんで、前向きにポジティブに生きていく。

 自分のために、自分のやりたいことをして生きていく。

 それほど幸せなことはないだろう。

 それが上手くできていたら、それほどの幸せはないことだろう。

 そうであることは、みんな知っているのだ。

 知っているんだけど、そう上手くはコントロールできないものなんだよ。


 そこに関しては彼女は上手だったな。

 最早、悟っていたからだというのもあるんだろうけれど、彼女は本当に自分のやりたいことをやっている、楽しんでいるという様子だった。

 死に対する恐怖がなかったわけではないと思う。でも、僕にだって感じられないようなものだった。

 僕にだって彼女は笑顔ばかりを見せていた。

 心を開いてくれていないわけではないんだろうけど、物理的な苦しみを見せることはあったにしても、精神的な苦しみを彼女は僕にも見せなかった。


 我慢をしていたのだとしたら、それは望ましいものではないのだろう。

 そうなんだけど、本心から彼女が悟りを開いてたんだったら、好きなことをして好きなように生きられてたんだったら、彼女は何よりだれより素晴らしく生きたことになるんだね。

 悟りのための禁欲というのはまた違う。

 死を恐れず悟りながらも好きなことを好きにする、やっぱり彼女には敵わないよ。



 運命 ~避ケラレナイ運命ナドナイ~


 先に進むことは、終わりへと近付くこと。

 前向きな思考回路を維持し続けるために、それなりの努力はしている。元より、後ろ向きな方でもない。

 そうなのだけれど、多少、僕にはそう思ってしまうところがあった。

 割り切っては考えられなくて、想桜ちゃんを見ていると尚更、終わりへと刻一刻と近付いていくことが怖いと思うんだ。

 繰り返しは、なんとも楽で幸せなことだ。


 実際にそこに迷い込んでしまったのなら、終わりを求めることになるのかもしれない。

 先に進むことは悪いことなわけはない。

 それなのに僕は素直に終焉を目的として定められよう自信はなかった。

 今がこんなにも幸せだから、繰り返しも悪くないと思ってしまうのかもしれない。


 そこに彼女もいてくれたなら、どれほど素敵なことだろう。

 だけど僕の記憶に彼女が登場するとき、そこに想桜ちゃんはいない。

 二人が同じ舞台に登場している日々が僕の中にはないのだ。

 幼い想桜ちゃんを腕に抱き、その名を授けた散り際の彼女の美しさを、僕はひどくよく憶えている。

 それでも僕は彼女と想桜ちゃんが重なる景色を知らなかった。

 失いたくない大切な彼女との時間に、戻りたいとは思わなかった。

 それが無駄な願いだと知っていることもあるからだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ