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後悔 ~自信がもっと付いたなら~
自信を持って明るくポジティブに生きている人なんて、どれほどいることだろう。
後悔することを後悔するとは、中々に辛い話だろうと僕には思えた。
僕は深くは考えないし、楽観的な方だとは思うけれど、自信のある方でもなかった。
想桜ちゃんのことを見ていると、特に僕は自信がなくなった。
ちゃんと育てられているだろうか。
僕は間違ったことを教えてしまっているのではないだろうか。
無垢なこの子が僕の悪影響を受けているだろうことが心苦しかった。
たぶん、僕は常識から外れている。
非常識というわけではないのだろうが、一般に当てはまるような人でもない。
個であることを悪いことだと口に出して言うことはない。そんな人は今の時代にはいない。
僕が知らないだけで、どこかにそういう人はいるのだろうけれど、減ったのは確かだろうと思う。
とはいえ、個の排除は文化として根付いてしまっている。
きっともうしばらくなくなるものではない。
大勢だいたいとも思わないし、話を合わせてまでだれかと一緒にいたいとも思わない。
彼女と一緒にいたいと僕が思ったのは、合わせなくても合っていたからだと僕は思う。
もし意見が合わなかったとしても、お互いにそれを受け入れる関係性も持っていた。
その幸せを知ってしまっているせいもあるのだろうか。
中身のない関係性を欲する気にもなれない。
世間を渡るためには、想桜ちゃんには教えておくべきことなのだろう。
それでも僕が知らないことを教えようにも教えられまい。
後悔を僕はしない。
彼女がいたあの頃に戻りたい、それを思うことはある。
だけど彼女としたいことをしてきた。
彼女がしたいと思うことを、させてあげようとした、そのつもりはある。
あの日々に戻れたところで何が変わるでもない。
無理な夢を見るくらいなら、僕は想桜ちゃんがいる今を大切にしたい。
だから後悔を僕はしないようにしていた。
呟きが耳に入った。
「信頼できる相手がいるなんてとても羨ましいわ。私はどうせ孤独、どうせ永遠に独りぼっちだもの」
思い悩んでいるように見えて、無責任な言葉はさすがの僕にも掛けられなかった。
涼しい顔をした少女に僕は声を掛けかねた。
想桜ちゃんが学校に行ったときに、僕のせいで輪に入れなくて、それを気にするようになってしまったなら、そのときに僕はどんな声を掛けられるだろう。
少女の姿は、未来の想桜ちゃんにも思えた。
僕が無責任でいられなかったのは、想桜ちゃんが重なって見えてしまったからなのかもしれないな。
結局、他人のために親身にはなってあげられないのだろう。
「学生時代を僕は一人で過ごしていたけれど、それを孤独だとは思わなかった。自分がやりたいようにするのが何よりだ。楽しめば幸せが手に入ると僕は信じている。好きなことを、周囲の目など気にせずに生きてきて、僕は彼女に出会った。あまり悲観ばかりするものでもないだろう」
予想外に語ってしまったもので、なんだか僕は照れくさかった。
僕が思っているよりも僕は熱血なのかな。
それもまた照れくさいものだね。




