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守護 ~いつでもあなたの傍で~
「愛する人のためには、なんでもするのが正しいことよね。愛する人を穢す猛毒は消毒して、抹消して、いつでも彼を見守っている私こそ、素晴らしく神に愛されるべき存在よね!」
まだ返事をできないでいるというのに、続けられた。
「レンズ越しにいつだって彼は私に笑顔を向けてくれる、私にだけ特別な笑顔を、これが証拠ってわけよね」
更に続けられそうになってしまい、結局僕は何も言えない。
愛する人のために行うことだったらば、それが悪になるとは僕は考えない。
けれど悪にならないとしても、それが正しいことだとは僕には思えなかった。
むしろ僕には、それが間違ったことであったとしても、彼女のためにならしてしまうであろう覚悟があったのだ。
彼女のためでも、想桜ちゃんのためでも、どちらにしても、僕は悪になることを拒みはしないだろう。
ただ、僕がそうあることによって迷惑を掛けてしまうことは嫌だから、そうすることで愛する人が救われるというのであれば、悪として僕は姿を消すだろう。
物語の主人公のようにかっこいいものではなくても、自己満足でも、僕はそうしたい。
愛が必ずしも神に祝福されるものだとも、僕には思えなかった。
「恋は盲目という言葉をご存知でしょうか。恋をすることによって、心から愛することによって、見えなくなってしまうものもあるのですよ」
オブラートに包んだつもりで僕はそう微笑んでみせた。
永久不滅 ~僕たち二人の愛は止まることを知らない~
死が訪れたとしても、それこそ死が二人を分かつようなことがあったとしても、愛というのは永久に不滅だと。
それだけがただ残り続けていてくれるのだと、そういうのだろうか。
随分と魅力的な話ではあったが、信じられない話ではなかった。
元より僕は現実主義者と言ったような人間ではないからだろう。受け入れるのは自分が思っていた以上に容易だった。
先に行って、少しばかり彼女に待ってもらう形になりはする。
それだって死後の世界で合流して、また幸せに彼女と暮らせることは確かな事実であるように思えた。
四十年やら五十年やら、今度はそれくらい二人で寄り添ったなら、僕たちのところに想桜ちゃんがやって来るのだ。
そうして三人で、全てが無に返るその瞬間の、永遠の先にある場所へまで一緒に過ごしていくんだ。
永遠の幸せを生きていくんだ。
途轍もなく壮大な夢で、けれど同時に素朴な夢でもあった。
「愛は止まらない、か……」
僕の口から漏れた声は、心なしか寂しげに聞こえた。




