7~12
来世 ~縄文の恋心~
恐怖 ~強くなれずに弥生の時を~
死後 ~受け継いできた古墳~
夢 ~遥か遠く飛鳥~
忠犬 ~奈良の主はだぁれ?~
夢大陸 ~届かない平安を求めて~
「お会いしたいと思っていたのです。理由を求めないなんて、そんなことはできないものですから。どうしたらそれだけ自然のままに生きられるのか、お話をお聞きしたのですよ」
やはり人を引き寄せる魅力を持った人で、貴族というようなことだから走ってこなかったというだけで、そうせんばかりの勢いで彼女は君へと語りかけたのでした。
君のその強さは、どんな世界においても稀有なもので、素晴らしいものなのでしょう。
ゆっくりと君は女性の方へと歩いて行き、御簾の中にまで入って行きました。
「男性として生まれながら、女性の格好をしなければならないことが嫌? 苦痛であり、恥であると思っている?」
静かに、けれど重い声で君は尋ねます。
「すみません、嫌……でした。なぜこのように自分を隠さなければならないのだろうと、なぜそうでもしないと生きることもできないのかと、悔しくてなりませんでした。けれど、今はそれも悪くないと思っております。徹底的に女性として振る舞い続けたおかげで、想い人までできたのですから。今のところ彼は心移りされていないようですし、待つしかない女の不安というのは残りますが、この境遇への悔しさというのはもう随分と薄らぎました。だから、今は幸せですよ」
「そう、それは素敵ね。好きな人に認めてもらえたら、他にどう思われたって構わない。それくらい恋に盲目なだけ、そうしたら、理由なんてどうでもよくなるのよ」
彼女たちの言葉に、僕たちは感動で泣いてしまいそうでした。
隣でその感動を歌に詠んでいるようですのに、そういった洒落たことをできない僕は、嬉しさににやにやとするのみでした。




