表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/274

29


 初心 ~初めてだから~


 この二人は穢れを嫌い純情を貫き続けたのだろう。

 もし僕が世間と隔離されて生きることになってでも、初恋を大切にし続けることになっていたとしたら、僕もこのようになっていたのだろうか。

 だれだって初恋を乗り越えて、そういった経験を乗り越えて、僕たちは大人になっていっているのだろう。

 大人になることを拒まなければならないほどに弱かった場合のみ、その人の時間は止まり、世間には着いていけなくなってしまう。


 僕は一般的だったのか、器用だったのか、こんなにも君のことを今でも大切に想っているのに、普通に生きていけるんだ。

 君のことを忘れたふりをして普通に生きていくことができるのだ。

 いつだって家族のことを大切に想っているし、今更君に出会ったとしても何というわけでもなく、僕にとって守るべき相手は家族だけだ。

 あくまでも僕にとっての君の存在は想い出として輝いている。現代、現実と重なってはいけない想い出。


 もしかしたらこの二人は心の中で輝いているはずだったものが、現実と結びついてしまったのかもしれない。

 そのせいでこれほどのことになってしまっているのではないだろうか。

 幻は幻と切り離して、それを心の奥にきれいに収納することができなかったから、それが現実に重なるまで粘り続けてしまったから。

 それはだれにとってもありえなくはない、無邪気な欠陥だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ