表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
242/274

12


 夢大陸 ~届かない平安を求めて~


 顔を隠した雅な男性が優雅な所作で声をかけてくれる。

「呪いを身に受ける立場になくても、理不尽に襲われるところなのですね。運が悪く、鬼につけられたとかなのでしょうか。私は捕らわれの身とも呼べる立場になってより後、気分が悪くなることが多くなりました。だれかが私を呪っているのは間違いないことでしょう。けれどそういうようなわけでもなくて、恨まれる謂れも覚えもないのに、幼い頃から苦しめられ続けていたのでしょう?」

 病を鬼や呪いのせいだと思っているようなことなのだろう。僕の考えと感覚としては医学に頼りきりなわけだから考えたこともなかったけれど、もしかしたら本当に鬼によって僕の身体はやられてしまっているというわけなのかもしれない。

 なんとなく妖怪の類を信じるようなことは幼稚で、医学は信頼を置けるものとして僕なんかは思ってしまっているところだが、僕が信じている事実が真実であり正しいものだとは言い切れない。


「無自覚のうちに、恨まれてしまっていたのでしょうかね。例えば親とか、面倒をかける僕のことを呪い殺したいほどに嫌っていたのかもしれません。親なら子を憎みはしないとは言いますけれど、僕だって思春期の子どもではなくもうそれなりに大人だというのに、未だに親が僕のことを愛していたとは思えないのですよ。僕は病院で一人で過ごす時間の寂しさから当たっているだけで、忙しかっただろうことくらい想像できるはずですのに。年だけ大人になっても、やはり子を持たない僕に親の気持ちなんて理解できない、そうなのでしょうね」

 この中のだれも子を持ってはいないのに、わざわざこのようなことを言う僕はやはり性格が悪いものだ。


 僕は病名があって、だからこそ長生きができないこともわかっていた上で、君と幸せな時間を過ごしていた。

 何がどうなるかわからないようなものでもないのだし、それこそ呪いがどうのというようなものでもない。

 立場が悪くなってから気分が悪くなることが多くなったと言っているわけなのだから、この人は僕の感覚の中で言えば精神病のようなことなのだろうか。

 ストレスだって感じているだろうし、不安にだってなるだろうし、いろいろなものを失ったショックだって受け止めきれるようなものではないだろう。

 見たところ若い人であるようだから、尚更、輝かしい将来がいきなり奪われて平然と強く生きていけるようなはずもない。

 カウンセリングを受けたり薬を使ったりすることができないのならば、本人の思い込みで精神病は改善されることもあるだろうから、呪詛的な問題としてもお祓いや出家という道があったはずだ。

 それなのに耐え続けたこの人は、本能よりも強くあれるほどの意思を持って今笑えているのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ