表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
241/274

11


 忠犬 ~奈良の主はだぁれ?~


 これもまた偏見であるのだとはわかっているけれど、僕は京都府民のようなことを彼女に言ってしまったことを覚えている。

「奈良にお越しいただいたことはございますの?」

 捨て台詞を忘れられているというのは思ったよりも恥ずかしいもので、完全に初対面というようだった。

「奈良はありません」

 僕はそう答えたけれど、奈良はではなく奈良以外もないというものだ。

 そして僕の回答に目を丸くしたのはこの女性だけでなく君もまたそうだった。


 まさか僕が旅行に行っていないことくらい知っているはずだろうに、どうして君が驚いているのかと思っていれば、その答えはすぐに出るのであった。

「あれ? 修学旅行、自由行動で外に出られなかったのだと話していたではありませんか。行けはしたのでしょう? 遠くへ行けたのは中学の修学旅行だけだって話していましたよね? だから、ちゃんと行けたのだとばかり……」

 君が何をどう勘違いしているのかは僕にはそれですぐにわかった。

「中学の修学旅行、東京良の主はだぁれ?~


 これもまた偏見であるのだとはわかっているけれど、僕は京都府民のようなことを彼女に言ってしまったことを覚えている。

「奈良にお越しいただいたことはございますの?」

 捨て台詞を忘れられているというのは思ったよりも恥ずかしいもので、完全に初対面というようだった。

「奈良はありません」

 僕はそう答えたけれど、奈良はではなく奈良以外もないというものだ。

 そして僕の回答に目を丸くしたのはこの女性だけでなく君もまたそうだった。


 まさか僕が旅行に行っていないことくらい知っているはずだろうに、どうして君が驚いているのかと思っていれば、その答えはすぐに出るのであった。

「あれ? 修学旅行、自由行動で外に出られなかったのだと話していたではありませんか。行けはしたのでしょう? 遠くへ行けたのは中学の修学旅行だけだって話していましたよね? だから、ちゃんと行けたのだとばかり……」

 君が何をどう勘違いしているのかは僕にはそれですぐにわかった。


「中学の修学旅行、東京だったのですよ。君は奈良へ行ったのですか?」

「はい、京都と奈良に行きました。そうか、東京だったんですね。修学旅行先、あの辺だと関東方面に行く方が多いのですかね」

「さあ、どうなんでしょう。聞いたことがないからわかりませんけど、半々くらいなんじゃないですか? 東京も大阪も同じくらいの距離なんですし」

 すっかり僕と君とで盛り上がってしまっていたものだから、不快だったのだろうか、女性はいつの間にか歩き去ってしまっていたようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ