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10~13


 夢 ~遥か遠く飛鳥~


「例えば、身分の差というものは、どういったものだと思いますか? 身分というものはもうほとんどないようなものですし、あまり、馴染みがありません。現在でも残っているところでは残っているのでしょうが、僕は一般人ですからね」

「さあ、どうでしょうね。同じく一般人ですから、よくわかりません。馴染みがありませんもの。ただ、どういったものだと思うかというような質問ならば、答えられるかもしれませんね。単なる感想ですが、……自らを残したいと望むのでしょうね。ある意味では、後世に自らの威を見せつけたいような壮麗な墓とも、同じなのかもしれません。墓に関しては、そもそも自らが極楽へと行けるようにというのもあるのかもしれませんが」

「なるほど」

 すっかり感心してしまった僕はそれくらいのことしか言えないのだった。



 忠犬 ~奈良の主はだぁれ?~


 その時々の権力者というのはいるのだろうし、そうであれば従うのが賢明であることはだれでもわかる。

 しかし一人の指導者が力を持つようなとき、必ず僕のようなものは最も弱い時代となる。

 個々でしか生きていくことが許されない、だれも力を持っていないような環境においても、僕のような弱者は生きていくことができないだろう。

 そうではあるのだけれども、たった一人が力を持つときには弱者の気持ちを伺うことや一人一人の意見を気にすること、倫理観さえ必要がないわけなのだから、役立たないものは無惨にも追いやられることが当然の道筋なのだ。

「奈良は、素敵なところですよね。また旅行に行きたいところです」

 僕が伝えたこれは、ただの嫌味であった。



 夢大陸 ~届かない平安を求めて~


 革命。貧乏であるがために環境が自分を責めるというくらいではなくて、裕福であるがために自分が狙われる存在となるのだ。

 革命。僕のようなものはそういったものに詳しいものではないのだから、何といわれるとフランス革命がうっすらと頭に浮かぶくらいのものだ。

 そんな状況下で、そういう意味での自由を奪われた中では、僕はどのように君と恋をしただろう。

 それでも僕は君と出会えていたのだろうか。

 君と何度だって恋をする、僕の確信はどこまで貫いていくのだろうか。



 距離 ~背負う鎌倉の夢の夜に~


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