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 汗 ~努力は影でするものです~


 努力をする意義なんて、見出すことができなかった。

 僕が自分のためにできることなんてきっとないのだから、それどころか努力をするほどに自分が望まない方へと進んでいくのだから、だったら努力しないことが僕のせめてもの抵抗だ。

 もしもそれさえも否定するというのなら、僕は人形でしかなくなってしまう。

 愈々僕は兵器になってしまう。


 兵器と呼ばれるのは耐えられない。

 それでも我慢できるのは、辛うじて自分自身はそれを否定しているから。

 僕は戦うことしかできない。

 その中で努力をするということは、更に強くなるということ。手柄を、つまりは人を殺すということ。知らないだれかを傷付けるということ。

 もう、たくさんだ。


 命令されていたから、従わないという選択肢はなかったから、だからといって僕のしてきた行為は到底許されることではない。

 わかっている。わかっている。わかっているんだ。だから、だからこそ、汗が美しいものだとは決して思えないのだ。

 努力が素晴らしいものだなんて、忠誠の証であるそれを素晴らしいことだなんて、言えるはずがないんだ。

 僕たちのしていることが正しいことだと信じられているのなら、それもまた可能なのかもしれないけれど、それこそそれ自体が不可能だという話ではないか。

 数多くの人を傷付けてきたんだ。だれが僕たちを、僕を許してくれるだろうか。

 僕は、許しを請うことさえも許されない存在なのだ。


 だって僕は”兵器”なのだから。


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