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16.伏線の種類③ 謎すぎてワケわかんない伏線etc

3.謎すぎて訳わかんない伏線

──────────────────────


 これ行きます。

 ‎伏線が【これしかない】と思ってる人、多いと思います。特に、前の話の2と今回の3だけだと思ってる人。

 ‎この3の伏線は、かなり難しいです。下手すると【分かりにくい小説】になって、読者が減ります。


 拒食症の話で例文を書くと、こうなります。例のファミレスのシーンとは、全く別のシーンです。


******

例文1


 優斗は真美の肩をとんとんと叩いた。真美が振り返る。


「おい、ちゃんと……飲んでる? 大丈夫か?」

「大丈夫よ。気にしないで」

「あの人はなんて?」

「やっぱり時間はかかるって……。それにほら、わたしあの場所嫌いだから……」

「そうも言ってられねえだろ。ちゃんと行かなきゃ。それにほら。なんつうか、選択すればまだ──」

「選択? ああ、そういうことね……」

「おう……」


******


 何が起こってるか分かりました?笑笑笑笑


 謎すぎてワケわかんないですよね?笑笑笑笑



 こういう伏線、多いと思います。現代ものとかじゃそこまで見ないけど、例えば【悪の裏組織】とか【裏組織のやり取り】とかで書いてる人いませんか?

 ‎群像劇とかやってる人で、主人公とかと全く関係ないキャラたちが会話してるシーン、入れたりしてませんか?



 今回のこの例文解説すると、


*****

例文解説


「おい、ちゃんと……《薬》飲んでる? 大丈夫か?」

「大丈夫よ。気にしないで」

「あの人《=医者》はなんて?」

「やっぱり《治るのに》時間はかかるって……。それにほら、わたしあの場所《=病院》嫌いだから……」

「そうも言ってられねえだろ。ちゃんと行かなきゃ。それにほら。なんつうか、選択《=好きな物だけ食べる》すればまだ──」

「選択? ああ、そういうことね……」

「おう……」


******


 《》で補足説明してみました。

 ‎これで分かりやすくなりましたね。


 こういうことしてる人多いと思うし、ダメとは言わないです。私もやります。

 ‎でもこれは、【多すぎると嫌われます】。


 だって、何やってるかわかんないから。


 もしかしたら例文1の方でなんとなく意味が分かった人はいるかもしれませんね。

 ‎だって【真美が拒食症って知ってる】から。


 ネタを知っていれば、楽しめるんですよ。主人公のいないところで、真美と優斗が怪しい会話してる……フフフ。みたいな感じでね。

 ‎でも、【真美が拒食症】って知らない人は、【なんにも分からない】んです。



 読者はこのシーンをみても、

 【何も分かりません】


 ▲置いてけぼりになります▲



 ここが問題なんです。【置いてけぼり】になること。

 ‎読みやすい小説を書くなら、特に例の[ライトユーザー]を意識するなら、この訳分からない伏線は減らした方がいいです。

 もちろん、こういう謎の会話が多い物語が好きな人もいると思います。あえて多くするのは構いません。それがこだわりならば全く問題ないです。

 でも、[ライトユーザー]が離れることを、覚えておいてください。



 怪しいシーン、全部なくせとは言いません。

・シーンを減らす

・1ページまるまる使わない

 この辺を意識するだけで大丈夫です。


 そして、【読者がこの伏線の意味が分かる(てい)】で物語を進めないように気をつけてくださいね。【のちのち分かる】とも思わないでください。


 つまり、【真美が拒食症】だと知っている上でこの文章を読めばわかりますが、

 この文章を読んだあとに【真美が拒食症だった】と知っても、【優斗と真美の会話は覚えてません】。


 例えば【真美には拒食症のための医者がいるんだよ】っていう(てい)で書かないでください。拒食症だと分かったところで、「読み返してさっきの謎のシーン意味わかった!」なんて読者は()()()いないからです。



 それと、伏線とはちょっと違いますが、過去編を書く人。気をつけてください。私も書きますが笑。


 過去編ってぶっちゃけ【つまんない】と思われることが多いです。なんでかって?


【今まで追ってきたキャラクターがほとんどいないから】

【まるで新しい小説を読んでいるかのように錯覚するから】


 です。


 だから、かなり慎重に入れてください。マンガですら、飽きられることが多いと、私は思っています。


 例えば過去編を入れるにしても、3~5話連続で過去編にしないとか、過去編に【みんなが知ってるすごい人気なキャラクター】を【たくさん】入れるとか。そういう工夫をしてください。

 過去編が必要な理由は分かるんですよ。分かるんです。私も書きます。でも、【飽きられることが多い】っていうのはよくよく分かっておいてください。


 それが分かって書くのと分からないので書くのでは大違いです。

 過去編にはかなり気を使ってください。みんなが【読みたいと思う過去編】の作り方を意識してください。




A.全体に関わる(クライマックスなど)伏線

──────────────────────


 ‎まぁ書いてある通りです。一番重要な【隠していること】のための伏線ですね。



B.ほとんどすぐに回収される伏線

──────────────────────


 3~5話分くらいで回収される話です。

 ‎ちょっとした謎を出して、そのあとすぐに回収してって感じです。



 私の小説で言うと、


(ここから『愛した人を殺しますか?――はい/いいえ』のネタバレになります。第18話まで読んでない人はネタバレです。でも大した話でもないので、あんまり気にしなくてOKです。無人島の話のネタバレです)


 【人が消える無人島】の話が出てきます。


第12話

謎の無人島に到着。


第13話

一人、人間が消える


第14話

人間が消えたのはニンフという種族のせいだと発覚。

二人目が消える


第15話

ラムズ(超重要なキャラ)死ぬ


第16話

やっぱりラムズ生きてた。

超強そうな怪物を見つけた。襲われた。


第17話

怪物と戦う。

怪物の名前を主人公が思い出す。そして無人島の正体に気付く

(まだここでは読者には明かさない。半分くらい明かす)


第18話

無人島でなんで人が消えるようになったのか、

怪物の正体はなんなのか、

無人島で見つけた謎の言葉とは?



 っていう流れになってます。


 ネタバレをします。

 ‎この無人島は、【人が消える無人島】です。


 伏線を並べていきます。


伏線① メアリという主人公は、とある事情で海にある島は全部分かっています。見たことがない島なんてないんです。なのに今回は島の正体が分からなかった! なんで? 


 ‎これは、aの伏線の貼り方です。 


[2.あからさまな伏線]のうち、

[a.一人称の文章で、主人公(喋ってる人)に疑問に思わせる‎]伏線です。


 引用

******

第12話

 島は小さそうだ。目を凝らせば島の端も見える。木々が生い茂っていて、全く未開拓地なよう。全然人が住んでいる雰囲気はないから、たぶん無人島。恐らく魔物はいるわね。

 それにしても、全く見たことがない島だ。わたしが知らない島なんてないはずなのに。

******


 あーけど、わりと、分かりにくくしてましたね。とりあえずaのやり方であることは確かです。



伏線② 島で何回か骨みたいなものを見つける


 これは、 ‎

・[1.気付かれなくてもいい伏線]


・[1.気付かれなくてもいい伏線]

だが[a.一人称の文章で、主人公(喋ってる人)に疑問に思わせる‎]伏線


・[パターン1]だったかの、【真美が何回もトイレに行くシーンを書く】的な伏線


 これらを複合して使っています。


 ‎

 引用

******

第14話 (冒頭)

 森の中が暗いせいで、時間すらも分からなくなってきた。けっこう歩いてたし、たぶんお昼は回ったはず。日が沈むまでには帰るってことだったわよね……。

 石に座って、足をブラブラとさせる。眼前に落ちていた、何かの(つの)みたいなものを蹴った。どっかの魔物の角かな。


────

第15話 (会話の途中)

「一人で生きていく、って……。分からないけど、今この森に取り残されたら死ぬわね」


 わたしは怪しい雰囲気の森をもう一度眺めた。足元で魔木(まき)の根っこが少し動いて、わたしは慌てて脇に避ける。魔木は襲って来なかった。でも急に動いたせいで、()()につまづいて転びそうになる。ジウはわたしの様子を見て、ケラケラと笑った。

 でもなんだろう、これ。なんだか白い骨みたいに見える。そういう魔植(ましょく)(※魔物の植物版)なのかな。


 ジウは話を続ける。


「たぶん人間は誰かがいないと生きていけないんだ。それは物理的に生きられないとかじゃなくて、精神的にも。誰かに認められないんじゃないかな。だから彼は正義を求めたんだよ。誰かに『ありがと』って言われたかったんじゃない?」


────

第16話

 わたしたちはあれからずっと洞窟の通路を歩き続けていた。たまに道が狭いところや、普通より暗いところもある。魔物は相変わらず少なかったけど、代わりに床にいくつもの骨が落ちていた。人間やエルフの骨とはちがう気がする。魔物の骨って訳でもない。

 それに、魔物が頻繁に襲ってくるわけじゃないのに、どうしてこんなに骨があるんだろう。後ろにいる人間だけは骨に怯えていたみたいだけど、わたしも含めて、他の五人は気にしていなかった。


******


 分かりますかね?

 ‎段々怪しくなってるんですよ。


 第14話の時点では、メアリ(主人公)が【角を蹴ったけどすぐに自己解決してる】ので、大半の読者はそれで満足します。

 ‎そもそも、地の文にちょっと入ってるだけだから見逃します。


 第15話の時点では、「白い骨」っていう単語が出てきます。骨ってちょっと怖いですよね? しかも「()()」と、ルビを振っています。


 第16話の時点では、かなりメアリが疑問を持っています。人間の骨でも、エルフの骨でもない。魔物の骨でもない。


 ──じゃあ誰の骨?


 そう思わせるために書いたんです。



 でもこの辺一帯、おそらく見逃してる人がいます。

 ‎だからこれは基本は[1.気付かれなくてもいい伏線]です。


 ただ、読み返した時に【ああああ!】ってなります。あと、勘が鋭い人。



 じゃあこれのネタバレはなんなのか。

 ‎この骨の正体は【パーン】という種族の骨です。


 パーンというのは、羊と人間が合体したような見た目の種族だと思ってください。

 ‎ニンフは、森の精霊みたいなイメージでOKです。


 さらに、襲ってきた怪物の名前は、《スキュラ》と言います。また、この島は《ニンフによって人間が連れ去られます》。

 ‎

 ‎

 この無人島はですね、昔、このパーンが大量にニンフから殺されたことによって出来た島なんです。

 そもそも、なんでパーンがニンフによって殺されたのか。


 ここから、神話風にネタバレをしていきます。


①あるスキュラという名前のニンフがおりました。ニンフという種族は、みんな純潔を貫いています。一方、パーンという種族は、好色です。純潔とは正反対の種族でした。


②あるパーンの男が、スキュラちゃんのことを好きになり、めちゃくちゃアピールしました。そしてなんと、スキュラちゃんはパーンの男を好きになってしまいました!


③でも、そもそもニンフは純潔で、パーンは好色なんです。ニンフを作った神様が怒りました。

「好色なパーンに恋をするなんて、ニンフの風上にも置けない!」


④ニンフのスキュラちゃんは、神様に怒られ、姿を変えられてしまいました。怪物になってしまいました。どんな怪物かというと、狼が6頭下半身についた怪物です。上半身は人間の女の子みたいな怪物です。

(スキュラでネット検索)


⑤ニンフのみんなは、スキュラちゃんが怪物になったことに悲しみ、怖がりました。そしてパーンを皆殺しにすることを決めました。そうすれば、パーンに(ほだ)されて恋をすることはなくなるからです。つまり、もう怪物になるニンフはいなくなるからです。


⑥パーンたちはニンフによって絶滅させられました。そうすると、パーンを作った神様の方が、今度は怒りました。


⑦パーンを作った神様は、ニンフたちに罰を与えます。ニンフとパーンが住んでいたこの島を、【神出鬼没の島】にしてしまったのです。

 つまり、いつどこで、どんな姿で現れるか分からない、伝説の島のような形にしてしまったのです。


⑧ニンフは人間が好きです。島にやってきた人間とお喋りするのが好きなのです。でも、神出鬼没の島になったせいで、島に来る人間が減ってしまいました。

 ニンフは悲しみました。


⑨ニンフはそれからというもの、たまたまこの島に上陸した人間がいたら【必ず連れ去る】ことにしました。また、怪物になったスキュラちゃんは、いつまでも洞窟の中で訪れる人を襲い続けています。



 長い……。

 ‎読んでくれてありがとう……。

 ‎とりあえずこういう、神話チックな流れになってます。もう分かりましたよね?


・なんで謎の骨──パーンの骨があったのか

・なんでニンフは人間を連れ去るのか

・なんでどんな島でも知ってるはずのメアリが、この島ばかりは見たことがなかったのか

・なんでスキュラが存在しているのか



 ただこの話、12話~18話で終わっちゃうんですよ。つまりこれが、【B.ほとんどすぐに回収される伏線】です。

 ‎

 ‎物語の全体をなしている訳ではない。でも、小説の中のあるストーリーの中で提示され、そしてすぐに回収されていく伏線になります。


 ただ!!


 じゃあこの無人島の話っていらないんでしょうか? 小説の中で、なくてもいい話なんでしょうか?

 ‎いやいや、そんな事はないんです。これらは、【A.物語全体に関わる伏線】が入ってるんです。そもそも、これらがないと物語が進まないんです。


伏線①この島では、スキュラのいた泉のそばに【謎の石版】があった。その石版の文字は、以下の通り。


******

 (したた)り落ちた雫の輪


 肆龍(しりゅう) 壱精いちせい 弍極(にきょく) 壱中(いっちゅう)



 薄板(うすいた)畳船(たたみぶね)


 零使( れいし )

******


伏線②主人公が『海にある島は全部知っている』という発言。なんで全部知っているのか?



伏線③さらにこの、スキュラの怪物化に関する話について、引用。


******

 メアリはこの話を、よく他の仲間から聞いていた。彼女らの呪いと似通うところがあったのだ。そして話の最後には、いつもこう付け足された。


『わたしたちも人間に恋なんてしちゃいけないのよ』


 と。

******


 このような描写がある。


伏線①→物語のクライマックスに関わる伏線


伏線②→主人公の正体(種族)に関する伏線

(私の主人公メアリは人間ではありません。見た目は人間です)


伏線③→主人公にかかっている呪いの正体に関する伏線



 以上、この3点は、【A.物語の全体に関わる伏線】です。


 つまりですね。物語というのは、AとBの連続なんですよ。【Bすぐに回収される伏線】がたくさん出てきて、そのうち、Aに関わる伏線も少しだけある。

 ‎Aに関するちょっとした謎を残しつつ、次に進む。


 おそらく伏線は、こんな感じで出来ています。



───


 伏線というのは、物語を繋げるものです。

 ‎全て最後まで結末がわかってるからこそ、書けるものなんです。結末がわかってるから、後ろから計算して入れていくんです。

 ‎プロットが嫌いな人っていると思うんですけど、書き出さなくてもいいから、せめて【決めては】いてください。


 ‎結末を決めてない人に伏線は貼れません。


 私のように、伏線を貼りまくってる小説は、二回読むと分かるようになります。


 ああ、あとは、伏線を回収するときは、【全部の伏線を読者が気づいている】という体では書かないでください。

 ‎つまり、それなりに【解説しろ】ってことです。


 例えばさっきの無人島の話ですが、読者で骨のところ気付いた人、たぶんあんまりいないと思います。スキュラとか、人間が消えるとかは普通に分かるんですけどね。


 なので、こう語ってます。

 ‎『愛した人を殺しますか?――はい/いいえ』引用

 ‎

******

「怪物になったスキュラを見て、他のニンフは驚き、悲しんだの。そしてまた自分たちが同じ目に合わないように、パーンを皆殺しにした……」


 だから、あの島にはたくさんのパーンの骨があったんだわ。森の中にも、あの洞窟の中にも。洞窟の方が多かったのは、パーンがあそこを住処としていたからかしら。

 ‎

******


 こんな感じで、骨についてちゃんと【あとから触れる】んです。気付いてない人もたぶんいるから。


 こういう感じで、伏線についてはちゃんと【解説】していきましょう。これをしないと、【読者が置いてけぼり】になります……。



 よし。長かったなぁ。疲れた……。


 もう、このエッセイは次のページで終わりにするつもりです。他に聞きたいことがあったとしても、たぶん書かないかなぁ……。でも、感想欄に書いておいてくれれば、いつか完結させたあとにまた付け足すかもしれません。

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