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第4話「The Birth of Tragedy」
-1997年3月6日-
気が付くと私は病院のベッドの上に寝ていた。
とっさに忠弘君の事が気になって
看護婦さんに聞いてみた。
どこか悲し気な瞳をして知らないわ、そう告げられた。
不安感と恐怖心を覚えた。
とっさに私は忠弘君の元に行こうと起き上がりーーー。
桜花「痛い、何これ…?」
両足に括りつけられた包帯に目が行った。
脚が動かないーーー?
鉛のように重く感じた脚は私の脳からの指令を全く聞かず、
ただ棒の様にベッドに乗っていた。
両足複雑骨折。
後からお母さんに聞いたらそう言われた。
すごく怒られた。
顔をくしゃくしゃにしながら怒られた。
お母さんは泣いていた。
そしてこんな言葉を口にした。
どうして「あんな事」に巻き込まれないといけなかったのかと。
あんな事ーーー。
そう…
忠弘君と一緒に私は校舎の屋上から飛び降りたんだ。
手を握り合ってーーー。
まだ手が暖かい気がした。
忠弘君、会いたいよ。
顔が見たいよ。
今どこに居るの?