第1話「序章~プロローグ~」
時代を超える赤い糸-魂は繰り返される。-
幼い頃から何度も同じ夢を見ている。
心地がいいとは言えないレム睡眠の中で
今日も【ソレ】なんだろうとか思っている。
………
……
…
「ふわぁぁぁ~…んしょっ」
朝が来た。
目を擦りベットからのっそりと起きる。
枕の横に置いていた、スマホを手に取り時刻を見る。
スマホの壁紙にしている
某アニメ(坂道の途中で躊躇しているか弱そうな女生徒、
自分に勇気を与えるために食べたい物を口に出し…'イカ'省略)
のキャラクターに挨拶をする。
「おはぁぁぁぁぁ…」
2017年4月8日7時15分。
今日もアラームより早く起きた。
よっ。と伸びをする。
俺はぼーっとしながら考えていた。
春休みはとても充実していた。
家族旅行や友人と遊んだり。。。
………「男とファミリーとしか遊んでねえェ~orz…」
ああ神様ぁ~どうして彼女が出来ないのですか(絶望)
ふと下半身を見る。
忠太「拙者の息子がビッグバンッ!www」
皆さま、これが宇宙誕生の瞬間である。
はっはっはっと高笑いをする。
そんなバカな事をやる(定期)
今日も今日とて、まあ健康体ではあるな。
高校生になってはや一年。
今日から新学期が始まるのだ。
つまり二年になったって事。
ダイニングキッチンから母親の呼ぶ声がした。
ボサボサ頭を掻きながら階段を降りる。
忠太「おはようママン」
忠太の母「おはよう、今日から新学期ね」
忠太「そうだよ(便乗)」
挨拶を終え、テーブルに並べられた朝食をガツガツ食べた。
そして自分の部屋に戻り、身支度を整える。
さあ、新学期の始まりだ!
彼女が欲しい!絶対作るんだ!
そんな決意に満ちた言葉を胸に刻む。
忠太「行ってかまして来まーすっ!!」
忠太の母「何をー?…」
母の声が聞こえたような気がしたが、気にせず家を出る。
ここは都内のある街。
住宅街に立つ一軒家。
'片岡'俺の苗字でもあるその名が刻まれた表札が目に入る。
2階建てで大して大きくはない、いかにも中流家庭だ。
俺は左打席に構え、ガニ気味のフォームをしてみる。
忠太「代打片岡っ!!」
明日香「ちょっとお兄ちゃん…何やってるの?」
一人の少女が問う。
忠太「お、おう明日香か…片岡は神だ」
明日香「もう、まーたわけのわかんない事して~ご近所で変な噂になったらどうするの~…」
呆れた顔を覗かせる。
我が妹、明日香。
一つ下で中学生のーーー。
…んっ?て今日から明日香は高校生だった。
そうかいつもとふいんき(何故変換出来んのだ…?)が違うと思ったら…
明日香「な、何よ。私の顔に何か付いてる?」
少し頬を赤く染めた明日香が言う。
ウチの学校の制服は、某ブランドが手掛けているだけあって
非常に可愛く仕上がっている。都内でも屈指の人気を誇る。
ちなみに私立ではなく公立だ。
ふむふむ…
じーっー…
じーっー…
少し背伸びしたのかその短めのスカートから伸びる
白い華奢な脚、我が妹ながら………実にいいっ!!
明日香「な、何っ!?変な目で見ないでよ!?」
人を変質者のように見る。(実際変質者だがな…)
忠太「なあ明日香よ…」
明日香「な、何よ…?」
忠太「パンツ見せてく…」
刹那、ドカッとまるで漫画の'ソレ'みたいに宙を舞う拙者。
明日香の回し蹴りが、横っ腹にヒットしたみたいだ。
ん?今何か白いモノが見えた様な…
明日香「このド変態っ!バカっ!!一緒に学校行こうと思ったのにもういい!ついて来ないでっ!」
風のように吹き飛ばされる中で俺は
忠太「びーあんびしゃすっ!!!!!」
などと意味不明な言葉を残し、
空中でくるくると回り着地する。
忠太「98点っ!」
びしっと両腕を大地に上げ、体操選手かの如くポーズを決める。
……
忠太「置いてくなよ…お前だってBLいけるクチじゃないか…」
雄一「いよう!忠太!相変わらず仲がいい兄弟だねえ」
聞きなれた声が俺を呼びかける。
忠太「…おはよ雄一。見てたのかよ…」
雄一「まあ…偶然通りがかったってとこかな?」
忠太「へーへーそうかい。っと学校遅れちまう、行こうぜ」
雄一「白…だったな…」
それも見てたのかよ…
忠太「ああ、間違いない。白だ。」
………
中学時代からの親友である、杉杉本雄一と
共に少し駆け足気味で学校へと向かう。
桜が咲く坂道を登りながらふと思った。
何かが違う気がするんだ。
そう、何か。
春休みを挟んだ新学期で、久々の登校で新鮮だからなのか
春の陽気が心地いのか。
きっといいことが起きそうな予感がしてる。
そうなんだ、そんな気がする。
春の風が運んでくれる香りを全身で感じながら。
俺は、進んでいくー。
雄一「おい、あれ見ろよ!」
雄一が話しかけてきた。
忠太「んー?」
雄一が指さす方向…
忠太「あ…」
そこには森本先輩が居た。
雄一「相変わらず綺麗だよなー、森本先輩は」
森本佑香(永遠の17歳)、今年から3年生の先輩である。
超絶綺麗な近づきがたい見た目とは裏腹に
気取らず、明るく気さくで誰とでも仲がいい。
当然周りからはもてはやされているが
女子の嫉妬を買うことも無く、完璧な女性に見える。
忠太「…だな。何か雲の上の人みたいだ…」
雄一「んー?俺はそうとは思わんな」
ポツリと吐いた独り言に雄一が反応する。
雄一「だって同じ学校なんだぜ?他校の生徒よりはチャンスがあるだろうがよ?」
…ポジティブな奴だ。
忠太「なんだ?お前もしかして…」
言いかけると、雄一は手で俺を制する様な仕草を見せ
雄一「ノンノン!残念ながら俺のタイプではないのでね」
そう言い切った。
杉本雄一…こいつは悪友でもあり
いわゆる「親友」ってやつだ。
裏表がなくてはっきりモノを言う。
さっぱりした性格かと思えば情が深く
世話焼きな一面も併せ持っている。
聞き手上手で明るく活発。スポーツ万能、頭は…ご想像にお任せします(笑)
ルックスはいいしそりゃ女子にもウケる。
そんな奴。不思議とこいつと居るとすごく落ち着いた気分になるんだ。
まるで前世からの大親友って感じだ。
べ、べつに雄一を好きとかそういうんじゃないんだからねっ//(ツンデレ)
雄一「っつかお前はさ、好きな女子はまだ出来んのかね?」
ぶしつけにそんな質問をしてきた。
忠太「…またそれかよ、俺の彼女は右t(ピー!【自制中】)」
おっと運営さんに目を付けられる発言は控えないとな。
この作者は若干頭がぶっ飛んでるからな。(メタぁ…)
雄一「俺は左手だがな(キリッ)!」
雄一が真面目な顔で答えた。
…ダメだこいつ早く何とかしないと(定期)
そんなバカげたやり取りをしていると
いつの間にか校門に着いていた。
この街では平均的な偏差値の高校。
さっきも言ったが某ブランドが作った制服は異常に人気がある。
特に女子の制服には'マニア'と呼ばれる者達に
オークション(メルかrt)で高額取引きされているような噂がある。
スカート丈に制限はほぼ無い。
自由な校風である。
とある「制限」以外はー。
ここが俺たちの通う【都立桜が丘高校】。
校名をなぞるかのように'ソメイヨシノ'が至る所に植え付けられた
通称【桜の高校】。
我が校ながらこの季節はとても綺麗でちょっと優越感に浸る。
進路を決めるポイントの一つになった要因だ。
桜が好きだ。
何故だか分らないが懐かしいような感覚。
その短い生涯の中で独特の存在感を示す。
そんな所に惹かれるのである。
雄一「クラス替え見に行こうぜ」
忠太「ああ、そだな」
設置された掲示板にクラス替えを貼り出している。
雄一「えーっと、2年2年っと…」
雄一と共に貼りつけられた
クラス分けの用紙を縦へ横へと眺める。
……あっ俺の名前があった。
2-Bだった。
雄一の名前も探す。
雄一「…っしゃ!!今年も一緒だな忠太!」
グッと!腹で拳を握り、嬉しそうな雄一の顔。
俺は用紙を見直すと2-Bに杉本雄一とあった。
忠太「ったく、腐れ縁もここまで来るとなんか怖いな…」
若干ネガティブな発言とは裏腹に、笑顔満開といった感じの親友に
俺も自然と笑顔になる。
良かった、今年も雄一と一緒のクラスだ。
不思議と安堵感を覚える。
お互い女子の様にキャッキャと騒ぐ。(ホモォ…)
どこからかBL女子の声が聞こえたような気がしたが
それは放っておいて他のクラスメイトを見てみる。
おー!あいつも一緒か!とか
ん?おー学年のアイドルが隣のクラスだとか。
そんな事を思いながら2-Bをもう一度見てみる。
すると見慣れない名前が一つあった。
【荻原雪菜】…
そんな名前の子を俺は知らない。
俺は(まだなんかキャッキャやってる)雄一に尋ねた。
忠太「なあ、雄一?」
雄一「ん?どした?」
雄一はゴレライ(?)を辞め俺の見ている名前を見る。
雄一「ゆきな?…おぎはら?…誰?」
忠太「お前も知らないのか?誰だろう…」
雄一「わかんねえ…おっと!んな事よりそろそろ教室行こうぜ」
そう言われスマホを取り出し時刻を見る。
忠太「だな。早く行こうぜ、新学期の始まりだ!」
教室に着くと見慣れた顔が並んでいた。
それぞれに軽く挨拶をし、俺は自分の席に着いた。
いや、正確には取り敢えず名前順だと思い
前後の奴の名前を確認して座った。
すぐに担任がやってきた。酒井先生、教師では一番古株であり
温厚でしわしわのおじいちゃんだ。
とりあえずは嫌な担任に当たらなくて良かったと思っていたら
酒井「え~っ片岡君だったかの?」
と声を掛けられた。
忠太「あ、はい?」
突然の事に俺は何だろうと思った。
酒井「あー君の席じゃがね、一つ後ろじゃよ」
ん?そう思ったが続けて酒井先生は
酒井「そこは荻原君の席になるから、席を空けといてくれ」
おぎはら…おぎはら…
はっ!と気付いた。
さっき見た名前だった。
俺が片岡だから荻原って子が前になるのか。
そうとっさに理解し、俺は席を空けた。
朝の朝礼の鐘が鳴った。
ぼんやり窓の外を眺めていたー。
桜が満開だ。
忠太「ええな」
そんな事をポツリと言った。
何やら酒井先生が色々と話しているが
聞く耳を持たずに桜に見入っていた。
酒井「で、あるからしてー。お、荻原君じゃったかの?来たか、入りなされ。」
おぎはら…?ん?何かそんな言葉が耳に入った。
ふと教室の入り口を見る。
一人の女生徒が少し緊張したような面持で立っていた。
…その横顔はすごく綺麗だった。肩まで伸びた綺麗な黒髪、
制服の上からじゃはっきり分らないけどスタイルの良さそうな。
…一目惚れって言葉があるならそれはこの事かも知れない。
俺は彼女に惹かれた。
酒井「ではのう、転校生の紹介をするでな。ほら荻原君入って来なさい」
酒井先生は手招きをし彼女を呼んだ。
彼女は少しぎこちない歩き方で教壇へと…ー
【ズドン!】その瞬間…
彼女は躓き激しく転倒したー。
一瞬クラス全体が静まり返ったが、すぐに笑いの渦へと化した。
ドジっ子…俺も噴き出してしまった。
真っ赤な顔をした彼女は必死で立ち上がり
身なりを整えてペロッと舌を出した。
…なかなかユーモアのある子だ。
酒井「おお、大丈夫かね?荻原君」
と先生に言われ彼女は
雪菜「だ、大丈夫です///」
照れながらそう答えた。
酒井「そうか。なら良かった、んじゃあ自己紹介でもしてもらおうかね」
そう言われ彼女は
雪菜「はい!…えっと」
彼女は言葉を選ぶような仕草をして
雪菜「埼玉の高校から転校してきました、荻原雪菜です!宜しくお願いします!」
ぺこりと頭を下げた。皆が拍手した。
彼女の真正面の顔。横顔さながらすごく綺麗だったー。
男子生徒の中にはピューッと手笛を吹く奴もいた。
そりゃこんだけ綺麗な子だったら、黄色い声も飛ぶわな。と思いながらー。
酒井「よし、では荻原君、君の席はあそこじゃからー」
そう指を差した。俺の目の前の席だった。
酒井「片岡君、とりあえず君が色々教えてやりなさい」
そう続けた。(なんで片岡なんだよー!とか言うブーイングは放っておいて。)
彼女が席に着いた。
振り返り
雪菜「荻原です!宜しくお願いします!」
すごく可愛い笑顔でそう言った。
忠太「か、片岡です、こちらこそ宜しく」
緊張の余りかぶっきらぼうにキョどりながらそう答えた。
あ、なんかちょっと悲しそうな顔した。
すぐに「分らないこととか遠慮なく聞いてな!」とフォローした。
すると彼女はすごく嬉しそうな顔をして口を開いたー。
刹那ーーーー。
強い風が吹き荒れた。
横目で見た窓の外は桜が舞い散っていたーーー。
雪菜「今度こそ…一緒だからね?」
ーーーーーーっ!?。
ガツンっ!頭が何かに打ち付けられたように衝撃を受けた。
意識が朦朧としていくー。
先生が大丈夫かとか
クラスメイトが保健室っ
なんて事を言っていたのをうすらぼんやりと聞きながら
堕ちていくーーー。
ーー。
ー。
意識が完全に遠のく瞬間、聞こえた気がした。
「わたしをもうひとりにしないで」
ーーー。
ーー。
ー。