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四月一日の嘘

作者: 7016

・今日は四月一日。

廖俊りょう しゅんは大学で経済学の講義を受けている。

·前方では高齢な教授がのんびりと資料を見ながら黒板に経済用語を書いている。

・講堂の空席は講義ごとに増し、出席している廖俊もやる気はなく昼食に何を食べるかを考えていた。

・後ろの見知らぬ女子学生から紙切れが回ってきた。

・紙切れには1行の文字が書かれていた。


・あなたを好きな人は誰でしょう、と。


・「あの、これどこから?」

・廖俊は小声で後ろの女子学生に尋ねた。

・「知らない…後ろから回ってきたの」

・女子学生は邪魔そうに廖俊を睨みつけた。

・廖俊は一瞬後ろを見たが、諦め黒板に書かれた経済用語をノートに書き写した。

・講義が終わった後もう一度講堂を見回してみたが、手紙の送り主は探しだせなかった。

・四月一日らしく、友人や先輩からたわいもない嘘をたくさん聞いたが、廖俊は今年のエイプリルフールをあまり楽しめなかった。

・(結局誰からなんだろう)

・廖俊は学生食堂でひとり牛肉麺を食べた。

・疑問が脳内を満たし、食欲は少なかった。

・一日の授業がすべて終わると、廖俊は大学図書館に本を返しに行った。

・館内には少なからず自習する学生がいた。

・廖俊は歩きながら紙切れの文字に似た字を書く学生がいないか探そうとしたが、できるはずもなかった。全部同じ字に見える。

・帰り道、廖俊は何人もの女子学生とすれ違ったが、自分を好きな人が誰かはわからなかった。

・廖俊は彼女を探すのをあきらめた。

・(今日はエイプリルフール、これもちょっとした嘘かもしれない)

・廖俊は近くの小石を蹴った。

・「ちょっと、危ないじゃないですか」

・小石は自転車に乗った女子学生のそばを転がっていった。

・「すみません、わざとじゃ…あれ、キミはたしか経済学で一緒の…」

・「あはは、キミを好きな人は見つかった?」

・彼女はいじわるそうに笑った。

・廖俊は「いや、でももう探さないよ」と答えた。

・女子学生は少し寂しげな表情を見せた。

・「えー…つまんない。これじゃキミに告白した子がかわいそう」

・廖俊は紙切れを取り出した。

・「そうかな?いたずらかもしれない」

・「どうなんだろうね」彼女は薄く笑った。

・「もうどうでもいいよ。破いちゃおうか」

・言い終わる前に廖俊は紙切れをバラバラにし、女子学生に手渡した。「返すよ」

・女子学生はうなだれ、破られた紙を元に戻そうとした。

・しかし、書かれた文字はすでに判別しづらくなっていた。



・紙に書かれていたのは……


・……H…A…P…P…Y…A…P…R…I…L…F…O…O…L……!?



・「…ははは!嘘だよ、キミが僕にくれた紙はまだポケットの中にある」

・「だましたの?…びっくりした…」彼女はまた笑いはじめた。

・「…小さな嘘だよ、お互いにさ…やっと誰が僕を好きなのかわかったよ」廖俊は顔に笑みを浮かべながら彼女に向き合った。

・「全くヒヤヒヤしたわ、鈍感すぎ!私のヒントに感謝しなさいよ!お礼におごってよね」

・彼女は学生食堂に向かって走りだした。廖俊は慌てて彼女を追いかける。

・四月一日の夕陽はゆっくりと沈んでいく。

(完)



・ドット小説第二弾、四月一日の嘘、翻訳完了しました。

描写の追求が甘いので、次回はそこを改善できたらと思います。


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