No.0
キーワード、悩みました。
皆様初めまして、作者です。
以前は別名義で活動していました。再びやってきました。
(あっ 呼んでないとか言わないで……!)
リアルでは猫派、犬嫌い。でもキャラ的にはどっちもアリ!
というわけで、ファンタジー的に言えば獣人。SF的に言えば突然変異。
本編をどうぞ。
彼らは闇に潜み、獲物が隙を見せる瞬間をただひたすらに待つ。息を殺し、殺気を抑え込んで。
そして哀れな獲物が気を緩めた瞬間、飛び出し、その喉元に食らいつく。
「――あ、もしもし教官? 俺でーす。ユーヤ」
少年は通信端末のむこうにいる相手にのんびりと言う。
「任務終わったぜ。あちらさんは全滅したから。ん? ……いまさら言うなよなぁ、そんなこと。全部殺しちゃったよ」
きわめて物騒な単語を、まるで軽い失敗のように語ってみせる少年。
暗がりの中で彼の姿をはっきりと見ることはできないが、もしこの部屋に誰かまともな感覚を持つ者が入れば、辺りに充満する匂いに吐き気を覚えるだろう。
「それよかさぁ、アスに伝えてくんない? そうそう。アーシス・レオン。風呂沸かしといてーって。ほら、数が多かったじゃん? 俺もリラも血まみれでさ。ええー、いいじゃん。伝言くらい。俺頑張ったんだから。……ちぇっ はいはい。分かりましたよ、自分で連絡しますぅー」
ユーヤは通信を切り、再度舌打ちをした。
「チッ なんだよ、ケチ臭いな。こっちからかけたら二度手間じゃんか」
悪態をつき、足元に目をやる。
「あいっかわらず手応えのねー連中ばっかだし。伝言は断られるし。散々じゃんか、まったくさぁ。おい、リラ。帰ろうぜ」
ユーヤの声にこたえるように、突如何もなかった部屋の隅に人影が現れた。それは少女の形をしていながら半透明で、足が床についていなくて、どう見ても幽霊だった。
『ご機嫌斜めだね、ユーヤ』
「斜めにもなるっつーの」
大げさに溜息をついたユーヤは、少女に近付きにやりと口角を上げた。
「でもまっ リラがたーっぷり甘やかしてくれるんなら、機嫌もなおると思うけど?」
『じゃあ、ずっと不機嫌でいいよ』
「お前も相変わらずつれないよなぁ……」
ユーヤは苦笑し、少女リラの頬に手を伸ばす。
「実体化しろよ。キスしたいんだから」
『却下。帰るんじゃなかったの?』
「いいじゃんか。ご褒美ご褒美」
『却下』
リラはユーヤの身体を通り抜けて、部屋のドア付近まで移動する。
ドアを半分通り抜けた状態で、不満顔のユーヤを振り返った。
『おいてくよ』
「へいへい。てか、飼い主がペットおいてくなよ。動物愛護に反するだろー」
『愛護すべき動物を飼った覚えがない。うちには猛獣とけだものしかいないから』
「そのけだものが今ちょー不機嫌なんですけどー。寝込みを襲われるぞー」
『しばらく実体化しない』
「鬼か!」
『幽霊』
「けち」
『おいてく』
「あ、おい!」
リラの姿がドアの向こうに消え、ユーヤは「あーもう」と頭を掻いた。
「待てって、リラ! 団体行動は基本だろー!?」
ユーヤもリラもいなくなった部屋。
翌日、この部屋に警察が捜査に入る。
太陽が室内を照らす昼間、そして彼らは目にするのだ。
マフィアの組織員たちが一人残らず、喉を食いちぎられて絶命しているのを。
……で、今後どうしよーかなーなんて思うわけですよ。
最終目標、みたいなのが無い話なので、ゆるーく、何となーく、進めていきます。




