ルナ・イルミナル6歳になりました
転生してから約6年が経ちました。日本で言えば小学生くらいでしょうか。言葉もちゃんと喋れるようになり走り回るくらい元気に育ちました。両親も相変わらずの親バカ具合で、走り回り転んだ時には私の元へ駆け寄り物凄く心配してくれます。過保護の域を超えていますね。そんなところも好きですけど。
この6年間でここの世界のことも大分、分かりました。当たり前かと思われますが、ここは日本ではありません。魔法と言う摩訶不思議なことが出来るメルヘンチックな世界です。ルナ・イルミナル、それがこの世界での私の名前みたいで、両親からはルナと言う愛称で呼ばれています。捻くれる事もなくここまで育っています。ただ、子供のような可愛さがないのは許して下さい。だって中身が大人なのですから、幼児のように今更なるなんて、無理な話です。
ですので、本物の幼児とは少し…いえ、かなり違う訳であって、えっと、そのですね、小さい頃には誰しも経験するとは思うのですが父親とお風呂に入ることもありました。
えぇ、もうそれは三十路の私にとっては、とても刺激的でしたね…はい。何があったかは察して下さい、あまり思い出したくないのです。
あ、そう言えば、
「ルナ、起きていたのね。おはよう」
「おはようございます。母様」
私の思い出話ばかりで家族の紹介をしていなかったですね。
私の名を呼び、私を生んだ母親、名前はクレアと言うらしいです。愛ある声色に応えるように笑顔で挨拶をします。それが、今での日課であり、至福の一時です。
父親はスタロと言い、魔導師らしいです。
魔導師と言うのは、魔術を極めた人の事を言います。そして、父様は魔導院で一番強いみたいです。つまり、最強の魔法使いということですかね。
早寝早起きがモットーなお年頃。昨日も早く寝ましたとも。自然と眠気が来るんですよね、前世だったら眠くてもパソコンとお見合い状態で仕事をしていました。
今は、朝7時位でしょうか。沢山寝ても、眠いものは眠いです。しょぼしょぼとしている目を擦り、覚まします。
「今日はどんな事をして、遊ぶのかしら」
「魔術の練習をしたいです!」
即答で答える私に母様は苦笑します。6歳で、朝一番に魔術の練習をしたい発言は、実に可愛げがないことでしょう。私が魔術を習い始めたのは去年、5歳の時です。父様に魔術を習いたいと言ったのですが、ルナにはまだ早いと言われ教えてくれませんでした。
それなのに何で教えてくれるようになったかと言いますと、父様は私達家族には凄く…甘いんですよね。ですので、そこを利用…コホン、活かして、上目遣いで目に涙を溜めながらお願いしました。あ、上目遣いの時に軽く服を掴む事も忘れずに。
そんな私を見て、仕方がないかと言わんばかりの表情をして、渋々了承してくれました。
とは言え、普段から仕事で忙しい父様。私に教えている時間は極限られています。そこで、父様は私に講師を付けてくれました。
それがまた凄いんですよ。何が凄いかってそれはですねー…
「でもまだ時間的には早いわよ?」
「そうですね、じゃあ、兄様の所に先に行ってきます」
「分かったわ」