野性の解放〈メタモルフォーゼ〉
思いつくまま即興で書いてます。
一応この後の展開も大ざっぱには考えております。
なにぶん初心者なもので読みにくかったり多々問題があるでしょうが
それも含めアドバイスなどいただけたら幸いです。
~ドクン…ドクン…~
体の奥が熱い。
まるで焼けた石をの飲み込んだみたいに。
みなぎる。
力。
怒り?絶望?
違う、そうじゃない。
守るんだ、ミュウを。ネーナ先生を。
身勝手な暴力と差別から。
だから頼む。
神さま、あんたのおふざけに付き合ってんだ。
だからさ、頼む。
力をくれ。
理不尽に抗う力を。
絶望を覆す心力を。
全てを守れる魔法の力を。
「ウオオオオオオッ!!」
今ここにいる人間は目を疑っているだろう。
ほんの数時間前まで、ちょっとゴリラ顔な子供がだ。
つぶらな瞳で夢を語った子供がだ。
~メキメキメキメキメ~
…ギチ…ゴキン、ゴリ…
5歳児には有り得ない筋肉。
黒かった頭髪は白銀に変わり、雷を帯びている。
衣服は爆ぜ飛び、先ほど砕けた右手は固く握られている。完治しているようだ。
瞳の色も黒から蒼へ変わっている。
「なっ?コレは一体?」
駆けつけた3人の騎士は倒れた騎士と俺を見比べて答えを探している。
明らかに戦闘があった形跡。
鞭で打たれた獣人族のシスターと幼子。
倒れた騎士の状態。
そして眼前で繰り広げられる信じられない光景。
~メタモルフォーゼ~
闘士は稀に己が野性を呼び覚まし獣の如き力を振るう者がいると言う。
それを子供が行っているのだ。
「メルギス、生きているのか?」
「恐らくは。しかしこの有り様は…」
メルギスとは俺が倒した騎士のことだろう。
「状況の把握を。シスター殿、ご説明願えるか?」
リーダーらしき騎士がネーナ先生へ告げる。
ネーナ先生から一連の説明を受け騎士はワナワナと震えた。
「愚かな!我ら何のための聖権騎士か!教皇様の教えに背き御子達を手に掛けようとは…!!」
あ、ダメだ。
なんか頭がぼーっとしてきた。
でもなんだ?
たぎってる。
力が。
解き放ちたい!圧倒的な暴力を!!
「ウゴアアアアアア!!」
白銀の猿人から放たれた咆哮は大気を震わす。
そして大地に叩きつけられた両の拳骨は雷を帯びていた。
刹那ー
白銀の猿人を中心に約5m、放射状の衝撃波と共に大地が砂と化した。
「ラリーゴくん、やだよー。怖いよ、帰ってきてよ…」
ミュウの願いが届いたのか、白銀の猿人はその場に崩れ、力を失った。
そこには全裸のゴリラ顔の少年が倒れていた。